第46号 コロナ時代/暮らしとアート(2021年1月発行)
国内掲載記事概要一覧 (本誌 P.88「資料編」) (PDF 193KB)
特集1 コロナ時代
全国の公立文化施設は、新型コロナウイルス感染症による休館や事業中止、新たな感染症対策を迫られるなど多大な影響を受け、試行錯誤を続けている。そうした現状を踏まえた、新たな時代を切り開こうと奮闘する、ホール・劇場での取り組みを紹介する。
特集2 暮らしとアート
新型コロナウイルス感染症により、劇場やホールに集まり、自由に交流することもできなくなった現在。改めて暮らしとともにあるアートについて考える。
体験レッスン
空間のエスプリ
SCOPE
イラストSCOPE
座談会
海外STUDY
特集1 コロナ時代
1 兵庫県西宮市 兵庫県立芸術文化センター
どんな時でも歌を届けたい 心の広場プロジェクト
文:横堀応彦
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、全国の公立文化施設は休館を余儀なくされ、様々な公演が中止や延期となる状況の中、コンサートを実現するために感染症の専門家が参加した実験をいち早く行い、事業再開に漕ぎつけた兵庫県立芸術文化センター。6月には営業を再開、7月には緊急事態宣言解除後、全国で初の合唱・歌手・オーケストラが出演する公演を行なった。安心して音楽を再開するためにどのような挑戦がなされたのか、その取り組みと再開に向けた思いを探った。
2 京都府京都市 ロームシアター京都
新型コロナウイルス感染症をめぐるロームシアター京都と京都市の取り組み
文:山下里加
コロナ禍における劇場運営にあたり、“劇場の可能性を狭めない”道を模索したロームシアター京都。オンライン配信とリアルを組み合わせたプログラムの実施など、今できることを探り、新たな試みに取り組んだ。また、京都市による文化芸術関係者への活動支援は、京都芸術センターやロームシアター京都と連携し、現場の人同士の繋がりがあってこその手厚い支援策が実現した。
Column 静岡県静岡市 SPAC-静岡県舞台芸術センター
劇場のコロナ特別プログラム SPAC-静岡県舞台芸術センターの取り組み
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るうさなか、全国の劇場ではさまざまな特別プログラムに取り組む姿が見られた。なかでもSPAC-静岡県舞台芸術センターの取り組んだプログラムのうち、電話で俳優による名作の生朗読を聴くことができる「でんわde名作劇場」など、さまざまな形で演劇を届ける5本の企画を紹介する。
2 暮らしとアート
1 岡山県倉敷市 「IDEA R LAB」
コミュニケーションと創造力を引き出す「クリエイティブユース」拠点
文:永田晶子
日本のクリエイティブリユースの第一人者である大月ヒロ子さんが、故郷である倉敷市玉島地区に開設した国内初のクリエイティブリユースの拠点「IDEA R LAB」を中心に新たな地域づくりを展開している現場を取材した。また、大月さんのもとで、ともに施設運営やプロジェクトに携わるコミュニティの人たちに、各々の活動や思いについて話を伺った。
2 宮城県加美町 国立音楽院 宮城キャンパス
音楽に関わる仕事の多様性を学ぶ“田んぼのなかの音楽技能修得施設”
文:田中建夫
国内外の音楽家から音の響きが高く評価される中新田バッハホールを有する“おんがくのまち加美町”。「音楽と福祉のまちづくり」を掲げ、国立音楽院を誘致して宮城キャンパスを開設。演奏家だけでなく調律師や楽器製作者などの育成を行うとともに、卒業生が就ける仕事の創出を構想するなど、音楽院から広がる音楽のまちづくりについて聞いた。
3 石川県珠洲市 珠洲の大蔵ざらえ
蔵や納屋に眠る地域の歴史や生活の営みをアートの力で発信する「劇場型民俗ミュージアム」
文:神山典士
高齢化が進む全国各地で見られる「家じまい」。家を維持できない一人暮らしの高齢者宅の蔵や納屋に眠る道具類を、地域の宝としてアートに活用する取り組みが石川県珠洲市で進行中だ。奥能登国際芸術祭のプロジェクトのひとつ「珠洲の大蔵ざらえ」について、プロジェクト関係者や、物や道具を提供する家主に取材し、民俗学とアートのコラボレーションについて話を伺った。
体験レッスン
江原河畔劇場にクラウドファンディングと地域での劇場づくりを学ぶ
進行:坪池栄子 構成・文:大堀久美子 講師:平田オリザ 受講生:丹治陽
江原河畔劇場の設立にあたり、クラウドファンディングの活用に挑戦した芸術監督の平田オリザ氏。兵庫県豊岡市に劇団「青年団」を移転、自身も移住することとなった経緯や、クラウドファンディングに挑んだ思い、今後の豊岡市での活動の展望について教えていただいた。
空間のエスプリ
PFI方式で歴史的建造物を再生「弘前れんが倉庫美術館」
文:田中建士
弘前市の中心市街地に立地する「弘前れんが倉庫美術館」は、約100年前に建てられた煉瓦造りの倉庫を大規模改修し、コロナ禍の2020年7月に開館した。この美術館の開設には、改修から管理・運営までを一括して特別目的会社(SPC)に任せる方式のPFIが導入された。サイト・スペシフィック(場所性)とタイム・スペシフィック(時間制)を運営の中心に据える、弘前ならではの美術館づくりについて取材した。
SCOPE
愛知県東海市 東海市芸術劇場
次の親世代を育てる東海市芸術劇場のひとづくり戦略
文:横堀応彦
「未来をひらく文化創造拠点~文化がひとをつくり、ひとが文化を創る~」をコンセプトに2015年にオープンした東海市芸術劇場。ひとづくり事業の目玉として取り組んでいる劇場が運営する4つの育成団体や、劇場を支える市民スタッフの育成など、次の親世代に向けて種を撒き続けている。開館以来実施している「東海市紅白歌合戦」を取材した。
愛知県知立市 パティオ池鯉鮒
コロナ禍の中でも市民全体で寿いだ開館20周年
文:奈良部和美
行政と市民が時間をかけて“私たちが求める文化施設”の理想形を探り、つくり上げた知立市民待望の文化施設「パティオ池鯉鮒」。開館20周年の記念プロジェクトとして企画された、地域に伝わる山車文楽の新作「立体パノラマ絵草紙『おさき玉城恋の八つ橋』」について話を伺った。
イラストSCOPE
半世紀ぶりに甦った伝統の門付け芸 阿波木偶箱まわし
文:奈良部和美
災厄を払い、一年の安穏や無病息災、家内安全や五穀豊穣を祈る正月には欠かせない芸能である「三番叟まわし」や、大道芸の「箱廻し」など、消滅の危機にあった徳島県の伝統芸である阿波木偶箱まわしを、復活・継承した「阿波木偶箱まわし保存会」の取り組みを報告する。
座談会
事業を前に進める“withコロナ”のマネージメント
進行:吉本光宏 構成・文:川添史子
コロナ禍の2020年、劇場、美術館それぞれの第一線で指揮を執った、ロームシアター京都副館長の足立充宏氏、兵庫県立芸術文化センター副館長の藤村順一氏、世田谷美術館副館長の橋本善八氏をゲストに迎え、休館や公演中止にかかる設置主体との調整、対応や、感染予防と対策への取り組み、またコロナ禍によって表出した課題などについて語り合った。
海外STUDY
コロナ禍におけるフランスの文化政策 舞台芸術を中心に
文:藤井慎太郎
コロナ禍がもたらした、フランスにおける文化セクターの未曽有の危機に対して、フランス政府が文化を守るために打ち出した、手厚くきめ細かい未曽有の規模の支援について、時系列を追って報告する。
文化生態系の連帯を高めた英国政府の新型コロナ支援
文:吉本光宏
芸術家や文化従事者、芸術団体等に対する英国政府の支援について、支援対象の類型ごとに制度の概要を解説する。
第46号 コロナ時代/暮らしとアート(2021年1月発行)
出版物・報告書