一般社団法人 地域創造

第28号 継続こそ力─市立ホール・美術館の挑戦(2010年度10月発行)

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特集 継続こそ力─市立ホール・美術館の挑戦

限られた予算、人員でありながら、市民と協力して「継続的な取り組み」を行うことにより、地元の文化団体や人材を育て、地域の交流拠点になっている市立ホール・美術館。指定管理者制度や合併などの影響により活動の継続性が問われている今日、壁に阻まれながらも地道に努力を重ねる公立文化施設の現場を歩いた。

空間のエスプリ

体験レッスン

座談会

SCOPE

イラストSCOPE

海外STUDY

特 集 継続こそ力─市立ホール・美術館の挑戦

1 長崎県大村市 シーハットおおむら
県内初のプロ室内楽団を結成 声楽家館長が挑む新たな地域文化の土壌づくり

文: 田中健夫

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© 大河内禎

 「予算が削減されるなかでの館長就任でしたが、事業を一気に広げてきました。<略>私の一番得意な分野で館を活性化したい。その一念で事業に取り組んできました」(抜粋)

2 福岡県筑後市 サザンクス筑後
地元の大学と連携し市民参加・育成・創造事業を実施 地道な積み重ねで文化を育む

文: 土屋典子

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© 大河内禎

「全部で3本のオリジナル作品をつくって、それを回していきたいと考えています。地域の誇りが出来ればしめたもの。絆が強くなり、地域の繋がりに還元されていく。」(抜粋)

3 栃木県足利市 足利市民会館
芸術・文化による現代版「足利学校」を目指す 第一世代公立ホールの底力

文:田中健夫

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©杉全泰

「足利学校には全国から3000人の学徒が集まりました。<略>これを芸術文化に置き換え、市民会館を芸術・文化を体験的に学ぶ場にしていければと考えました」(抜粋)

4 広島県尾道市 尾道市立美術館
市内の施設やNPO法人の活動とリンク地域に根ざしたネットワークを築く美術館のあり方とは

文: 山下里加

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© 大河内禎

「どんな内容でも尾道らしさを出していきたい。市民の草の根で生まれた美術館だからこそ、今起こっている町の動きとリンクした活動を行っていきたいと思っています」(抜粋)

空間のエスプリ

瀬戸内海の島々を結ぶ地域とアートの新たな祭典 瀬戸内国際芸術祭2010

文: 神山典士

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© 大河内禎

 「かつて瀬戸内海は海の高速道路であり、漁業も物流も交流も船で行われた。今回の芸術祭でも、集まった人々は船なしでは島を訪ねられない。7島を結ぶ航路は1・5倍に増便され、島間航路も所々で復活した。瀬戸内海の潮目が変わった。そのことを誰よりも実感しているのは、この地で海に生きてきた人々に違いない。」(抜粋)

体験レッスン

北九州芸術劇場にプロデューサー型劇場運営と演劇事業を学ぶ

構成:大堀久美子

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© 藤本彦

「地元の人材による劇場スタッフの育成をベースに、商業演劇から小劇場演劇まで多彩な鑑賞事業を実現するとともに、演劇プロデュースからアウトリーチまで総合的な事業を展開。再開発地域にゼロから立ち上げ、短期間に九州を代表する演劇拠点となった北九州芸術劇場に、プロデューサー方式による創造型劇場運営と、人材を育成する演劇事業のあり方について学びます」

座談会

多角化するアウトリーチの現場を語る

構成:坪池栄子

 財団法人地域創造では平成20・21年度に公立ホールを中心にしたアウトリーチのあり方に関する調査研究を行い、報告書『新[アウトリーチのすすめ]』をまとめました。今回は、そうしたアウトリーチの現場で汗を流している担当者にお集まりいただき、他分野との協働や学校との継続的な取り組みなど、多角的に展開されている第一線の取り組みについて語り合っていただきました。

SCOPE

東京都千代田区 アーツ千代田3331

文:山下里加

 ともすれば「アートな人たち」の集まりになりがちな、こうした場所で、全くこれまで接点のなかった人や出来事が重なり合う。それは、中村さんをはじめコマンドAのメンバーの、オープンまでのプランニングと日々の努力の賜物だ。(抜粋)

札幌市 札幌市教育文化会館 フィギュア・アート・シアターワークショップ

文:神山典士

 「公共劇場には市民と繋がるだけでなく、優れた芸術を見せていく重要な役割がある。ワークショップ等を通して人を育てること、市民芸術団体と組んでものづくりをするなかで地域と繋がること、大きく言えば市民を巻き込む自主企画を充実させることだと改めて思い至りました」(抜粋)

イラストSCOPE

町民が磨きあい、守り抜いてきた富山市八尾町の「おわら風の盆」

文:奈良部和美

踊りを統率するのは若者だ。そもそもは子どもが多かった昭和40、50年代、町で揃える高価な衣装は数に限りがあり、午後10時までの町流しで踊るのは自然に25歳まで、青年団卒業前の未婚の男女になった。すると、23、24歳がリーダーとなり下の世代を教える継承の形が出来た。(抜粋)

海外STUDY

すべての人へ音楽を─カーネギーホール附属ワイル・ミュージック・インスティテュートの試み

文:山﨑梨真

 「カーネギーホールは、ニューヨーク市そして音楽の世界において重要な『文化市民(cultural citizen)』です。そのため、この街や世界中の人々が最高の音楽体験をできるようにする責務があると考えます。<略>音楽に参加するということは、すべての人間の発達において重要なことだと私たちは信じています」(抜粋)

第28号 継続こそ力─市立ホール・美術館の挑戦(2010年度10月発行)