第2号 ホールが町をつくる(1996年度3月発行)
特集 ホールが町をつくる
- あるホール職員の一日
- レポート(1) コンクールが残したもの
- レポート(2) 道北からの報告
- 公立ホール整理学
- 図解・ホール職員への道
空間のエスプリ
座談会
出前レッスン
SCOPE
- 埼玉県立近代美術館「火の起源と神話ー日中韓のニューアート」
- 静岡市「大道芸ワールドカップ」
- CINARSモントリオール・ルポ
- 福野町スキヤキ・スティール・オーケストラ
- 対談 平田町タウンセンター公開設計競技をめぐって
- マンガ 上野市文化会館「ブルース伊賀の乱」
Q&A
資料編
特 集
レポート(1) コンクールが残したもの
コンクール終了後のパーティで、店村眞積(たなむら・まづみ)氏は、ちょっと興奮した面持ちだった。わが国を代表するヴィオラ奏者であり、この1月に初めて行われた「淡路島しづかホール・ヴィオラコンクール」の仕掛人のひとりである店村氏は、ふだんのクールな印象とは違い、たった今成功したばかりのイベントを振り返ってこう熱っぽく語ってくれた。
「とにかくゼロから始まって、僕たち審査員や実行委員も、ひとつひとつ提案したり検討しながらこのコンクールをつくってきた。町(兵庫県津名町)の人たちも、みんなが協力して実によくやってくれたと思う」
レポート(2) 道北からの報告
北海道ではここ数年、これまで住民がつくる文化団体が少なかった地域も含め、公立ホールが相次いで開館している。その中には、ホールを核として舞台芸術に対する住民の意識が変わってきた地域もいくつかある。小さな芽ではあるが、ホールが新たな文化活動を育てつつある道北の2つの町、鷹栖町と朝日町の例を紹介する。
公立ホール整理学
プロデューサー、コンサルタントとしてたくさんの事業、施設づくりに携わってこられた3人の専門家にお集まりいただき、人と施設を活かすためのホール戦略について大いに語っていただきました。
児玉真
(音楽プロデューサー、カザルスホールプロデューサー)
×
草加叔也
(劇場コンサルタント、JATET編集長)
×
津村卓
(財団法人地域創造チーフディレクター)
空間のエスプリ
素敵なレストランのもうひとつの顔
ロンドンの下町に元チョコレート工場を改装したレストランがある。自然光が入るゆったりとしたスペース。隣りにはギャラリーが併設され、安くて美味しい料理を目当てに裕福なビジネスマンたちがタクシーでやってくる。表向きはどう見てもレストランだが、ここは、アーティストにスタジオや宿泊施設を無料で提供し、彼らの創作活動をサポートしている民間の芸術家援助団体「デルフィナ・スタジオ・トラスト」の活動拠点なのである。
座談会
ホールサービスを考える
ホールの接客係を指す「レセプショニスト」の生みの親であり、コンサートホールに多くの新しいサービスを導入したサントリーホール。プロモーターの評判が高く、ポップス界の大物アーティストたちが恒例化したライブを行っている横浜アリーナ。
今回は、ホールサービスの良さでは定評のある2つのホールの方においでいただき、公立ホールの担当者とともにお話をうかがいました。
出前レッスン
笑いの劇場に学ぶ~吉本会館見学会
どっと沸き上がる笑い声。客席を見渡すと、平日の昼間にもかかわらず、1階席、2階席とも立ち見が出ている。観客はみな食い入るように舞台を見つめている。劇場は熱気をはらみ、一体感に満ちている・・・。
大阪・難波千日前。「なんばグランド花月(NGK)」は、お笑い王国・吉本興業の本拠地、吉本会館の2階にある。
SCOPE
埼玉県立近代美術館「火の起源と神話ー日中韓のニューアート」
北浦和公園の入口を入り、アプローチをたどると、不意に真っ赤な物体が目に飛びこんできた。それは埼玉県立近代美術館のエントランス前、薪の山の上に置かれた「消防車」だった。
1996年10月12日から12月8日まで開催された「火の起源と神話ー日中韓のニューアート」。これは、日本人、中国人、韓国人、計13名の現代美術作家が「火」をテーマにした新作を滞在制作、インスタレーションして新聞各紙で話題になった埼玉県立近代美術館の企画展である。
福野町スキヤキ・スティール・オーケストラ
全国でも珍しいスティールドラムバンド、福野町のスキヤキ・スティール・オーケストラの一行30人が2月6日から18日までカリブ海の島国、トリニダードトバゴを訪問、カーニバル関連行事のチャンプス・イン・コンサートにゲスト出演するなど、大きな成果を挙げて帰国した。スティールドラムを生んだ人々のナマの姿に触れ、その思いとカリプソのリズムをしっかり心に刻み込んだメンバーらの様子を紹介する。
平田町タウンセンター公開設計競技をめぐって
建築家が町にやってきた。山形県・平田町は昨年町の施設づくりのための公開設計競技(コンペティション)を開催した。その応募件数282件。人口約7500人の小さな町に全国の建築家が注目したのだ。
平田町は庄内平野の東部に位置する。最上川に接し、出羽丘陵を背にした平野部と山間部からなる。コンペの対象となった「平田町タウンセンター」は町の三次総合計画(平成4年度)や過疎計画(平成7年度)の重要事業であり、高齢化に対する福祉施設と若者を元気づける情報文化施設などからなる複合施設だ。担当の企画課開発係の佐藤良広さんに町づくりの熱い思いを語ってもらった。
第2号 ホールが町をつくる(1996年度3月発行)
出版物・報告書