一般社団法人 地域創造

第6号 美術館と子ども(1998年度3月発行)

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特集 美術館と子ども

市民オペラ 整理学

空間のエスプリ

体験レッスン

座談会

SCOPE

イラストSCOPE

海外STUDY

資料編

Q&A/Voice

特 集

長野県岡谷市 カノラホール

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 「御柱祭っていうのはねぇ、人が死ぬ、怪我をするって言われるけれど、地元の人は祭のために長い時間かけて酒を断ち精神を高めていくから、そんなに事故はないんですよ。むしろ冷やかしで来た余所の人が事故に巻き込まれてしまうんだよねぇ」
 岡谷駅から「カノラホール」に向かう道すがら、乗り込んだタクシーの運転手がそんな言葉で祭の解説を始めてくれた。

富山県射水郡小杉町 ラポール

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 始まりは、地方新聞の片隅に載った小さな広告だった。1996年正月、北陸三県に配られる「北日本新聞」に、富山県射水郡小杉町の町立文化ホール「ラポール」からの呼びかけがあった。「合唱団員募集」。それは、同年秋に行われる予定の町民参加オペラ『蝶々夫人』への誘いだった。

青森県八戸市 八戸市民創作オペラ協会

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 この町では、すでに20年近くにわたって市民参加の「創作」オペラづくりが続けられている。青森県八戸市。外から見ると漁業の町という印象だが、実は青森県で第1位の工業生産高を誇る工業の町でもある。人口も、例えば茨城県水戸市に匹敵する約25万人を擁する東北の大都市だ。

市民オペラ整理学

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関水秀樹(藤沢市民会館)
吉村正信(韮山時代劇場)
吉本光宏(ニッセイ基礎研究所主任研究員)
「市民オペラ」と地域の関係について、3人のゲストの方にそれぞれの立場から現状と問題点をお話しいただき、整理してみました。

空間のエスプリ

ニューヨークの地下鉄駅をパブリックアートで埋め尽くす
アート・フォー・トランジット
AFT

 80年代初頭には、ニューヨークの地下鉄は世界に名だたる「都市の恥部」と成り果てていた。夜の地下鉄に乗るのはおろか者かならず者だけ、と言われたものだ。
 「アート・フォー・トランジット(AFT)」という名の部署が都市鉄道公社(Metropolitan Transit Authority、通称MTA)の中に設置されたのは、そんな流れの中、1985年のことである。

体験レッスン

チケットの販売・管理を考える

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 チケットの販売・管理やホールの会員管理にコンピュータ化の波が押し寄せています。地域の公立文化施設担当の方に、民間のチケット販売・管理会社を見学していただき、公演事業におけるチケット販売・管理のノウハウを学びました。

座談会

アジアと交流しよう

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 ここ10年、自治体の国際交流事業の一環として、アジアとの文化交流を取り上げるところが出てきました。現場の担当者とアジア交流の専門家の方にお集まりいただき、アジアの魅力について語り合っていただきました。

SCOPE

民話の里に根づいた新しい創作の営み
岩手県遠野市「遠野物語ファンタジー」

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 「昔、あったずもな・・・」
 しんしんと降る雪の夜、赤く燃える囲炉裏辺で婆さまが語る昔話の数々。岩手県遠野市は、民話の里としてあまりにも有名である。柳田国男の『遠野物語』以来、霊峰・早池峰山をいただくこの北国の盆地は、失われいく日本のふるさとの原型として、私たちの心に深く沁み込んでいる地である。その遠野に、毎年真冬に行われている市民による創作劇がある。「遠野物語ファンタジー」である。

10年間上演し続けているオペラ『アマールと夜の訪問者』
秋田県大曲市 大曲市民オペラ

 毎年夏の全国花火競技大会に、50万人もの観光客が訪れる秋田県南部の大曲市。ここで、クリスマスに市民オペラを開催するようになって10年経つという。演目は10回ともメノッティ作曲『アマールと夜の訪問者』。どうして同じ作品なのか。そして、どんな仕上がりなのか。それを確かめるため、昨年暮れのクリスマスコンサートを聴きに出かけた。

教師とアーティストを両立させる美術教育の最前線
兵庫県神戸市 松蔭中学・高等学校

 「ケショらなあかん!」
 「ケショらなケショらな!」
 教室に黄色い声が広がった。授業中の生徒たちにカメラを向けた瞬間だ。
 神戸市灘区にある松蔭中学・高等学校。1892(明治25)年に設立された松蔭女学校を前身とする、中高一貫教育の由緒ある私立の女子校だ。同校は特に美術の授業を重視しているわけではないが、なぜか美術関係者の間ではここの美術教育が話題になることが多い。

美術館のロビーが舞台の演劇を、美術館のロビーで上演する試み
宮崎県宮崎市 宮崎県立美術館

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 宮崎県立美術館のロビーは、正面がガラス張りで自然光が入る。冬の短い日が落ち、次第に背景が闇に沈んでいく。仮設スタンドに観客は思い思いの場所を占める。人々のざわめきから、これから始まる芝居への期待が伝わってくる。

イラストSCOPE

茨城県大宮町西塩子の組み立て舞台復元

 都市で生活していると、芝居をみる場といえば、おおかたコンクリートの建造物の中。飲み食い御法度の窮屈な芝居見物となる。だから、田畑の真ん中に舞台を組み立て、農村歌舞伎をみると聞いた時、好奇心が頭をもたげた。
 水戸市からJR水郡線に乗り30分ほどの茨城県大宮町。1998年11月7日、8日、「第九回全国地芝居サミットインひたちおおみや」が開かれた。

海外STUDY

地域に根ざした映画への助成を行うドイツの映画基金組織
ノルトライン・ウェストファーレン映画基金

 去る2月10日から21日まで、ヨーロッパ一番寒い季節にカンヌ、ベネチアと並ぶ3大映画祭のひとつ、第49回ベルリン国際映画祭が開催された。今年のオープニング・セレモニーの話題は、近年で初めてドイツの首相が出席しスピーチをすることだったが、それは久しぶりにドイツ映画がオープニング上映を飾ることになっていたからだ。

第6号 美術館と子ども(1998年度3月発行)