第50号 文化交流施設/共生共創(2024年12月発行)
国内掲載記事概要一覧 (本誌 P.88「資料編」) (PDF 186KB)
特集1 文化交流施設
◎公立文化施設が芸術体験の場としてだけではなく、中心市街地の活性化やまちづくりに直結する交流の場として見直されている。多機能を集約した複合施設や、多世代交流・異分野交流などで人とまちが育まれる交流の拠点を紹介する。
特集2 共生共創
◎共生共創社会を実現するための法的な整備が進んでいる。公立文化施設や文化芸術を通じてこうした課題に向き合っている現場を紹介する。
空間のエスプリ
体験レッスン
SCOPE
イラストSCOPE
座談会
海外STUDY
特集1 文化交流施設
1.福岡県那珂川市 ミリカローデン那珂川
文:田中健夫
1994年に開館し、30周年を迎えた文化ホール・図書館・生涯学習センターなどの複合施設である「ミリカローデン那珂川」が4年計画の大規模リニューアル工事を実施し、新たな交流型の施設として生まれ変わろうとしている。「ミリカプラス(+)~成長する文化施設へ~」を改修のコンセプトとし、市民の第3の居場所、交流と成長を図る施設を目指すミリカを取材した。
2.秋田県秋田市 秋田市文化創造館
文:山下里加
2013年に閉館した旧・秋田県立美術館がリニューアルを経て、新たに秋田市の施設「秋田市文化創造館」として21年によみがえった。管理・運営しているのは、秋田公立美術大学が18年に社会連携を担う学外法人として設立した「NPO法人アーツセンターあきた」。既存のジャンルにとらわれることなく、誰もが新たな発想や活動を安心して育み、思いを形にしてチャレンジする場を提供する文化創造館を取材した。
3.兵庫県養父市 やぶ市民交流広場(YBファブ)
文:田中健夫
市民が気軽に集え、”新たな出会いを生む場”となることを目指し、2021年9月に養父市に開館した複合文化交流施設「やぶ市民交流広場」。整備計画時の「世界を広げ、まちづくりに繋げる”知と交流の創造拠点”」という基本理念を、開館から3年経った現在も受け継いでいる現場を取材した。
4.愛知県豊橋市 豊橋市まちなか図書館
文:永田晶子
2021年11月に開館した「豊橋市まちなか図書館」は、マンションやオフィス、飲食施設などを含む地上24階建て複合ビル「emCAMPUS」東棟2階、3階に立地する。本の貸出など図書館の基本的機能に加え、まちづくりに繋がる交流施設として整備され、開館から2年経たず累計利用者が100万人を突破。交流型図書館として注目されているまちなか図書館を取材した。
特集2 共生共創
1.神奈川県横浜市 横浜市民ギャラリーあざみ野
文:永田晶子
2005年に開館した横浜市2つ目の市民ギャラリーで、横浜市民ギャラリーに続く地域の創造と美術鑑賞の場として市北部地域の青葉区に設置された。市所蔵のコレクションがあり美術館の機能もあることと、多様な人に美術に親しむ機会を提供するプログラムが豊富であるといった2つの特色をもつ。24年8~10月に行われた「障がいのある子どもたちのための親子で造形ピクニック」など3つのプログラムを取材し、関係者に経緯や目的、今後の展望を聞いた。
2.奈良県奈良市 たんぽぽの家アートセンターHANA
文:山下里加
1973年に母体となる市民団体「奈良たんぽぽの会」が立ち上がり、以後、半世紀以上にもわたって日本における障害者福祉のあり方、考え方を更新し続けてきたたんぽぽの家。驚くほど多岐にわたる活動から、2004年に開設し20周年を迎えた「たんぽぽの家アートセンターHANA」でのアート活動を中心に紹介する。
3.富山県富山市 とやまPCAMP2024
文:乗越たかお
「多文化×芸術」をコンセプトとし、異なるルーツを持った14~19歳の若者たちを対象に開催された合宿「とやまPCAMP」。3泊4日で寝食を共にして交流し、演劇やダンスなど専門のファシリテーターと共にパフォーマンスをつくり、最終日には舞台上で発表会が行われた。富山での開催における関係者に、PCAMPにこめる思いを聞いた。
空間のエスプリ
ソウルのデザイン政策の拠点 東大門デザインプラザとソウルアップサイクリングプラザ
interview & text 韓ヨルム
ソウル市で2006年に始まった「デザインソウル1.0」は、それまでの機能と効率、建設や産業などが中心となったハードウエア都市から、文化とデザイン、コンテンツを中心とするソフト都市へ変換する政策パラダイムである。23年に発表された「デザインソウル2.0」では1.0のデザイン哲学はそのままに、共感・包容・貢献・回復・持続可能なデザインの5原則を大きな枠組みに設定。その拠点となる東大門デザインプラザ(DDP)とソウルアップサイクリングプラザ(SUP)を紹介する。
体験レッスン
群馬交響楽団に地域オーケストラの変革と普及事業を学ぶ
進行:坪池栄子 構成・文:横堀応彦 講師:上野喜浩 受講生:柿塚拓真
文化による戦後復興を目指して、1945年に創立された「高崎市民オーケストラ」を前身とする群馬交響楽団。47年にオーケストラの小中学校に向けた移動音楽教室をスタートしてから、”音楽をもっと身近に”を合言葉に、地域オーケストラとして精力的に普及活動を展開。2025年に市民オケ時代から数えて80周年を迎える群響に、普及活動や新たな拠点となった高崎芸術劇場との協働について学ぶ。
SCOPE
愛媛県東温市 東温アートヴィレッジセンター
文:河野桃子
「舞台芸術の聖地」をキャッチコピーにした「アートヴィレッジとうおん構想」で知られる愛媛県東温市。2025年に実施10周年を迎える構想の中心となっている「坊っちゃん劇場」と「東温アートヴィレッジセンター」での取組みを紹介する。
鳥取県鳥取市 鳥取県文化振興財団プロデュース公演 新作バレエ『赤毛のアン』
文:高橋彩子
2023年に30周年を迎えたとりぎん文化会館(鳥取県立県民文化会館)は芸術鑑賞の一大拠点となっている劇場である。06年から指定管理者となっている(公財)鳥取県文化振興財団は、コロナ禍を転機に地元のバレエ人材を活用したバレエ公演のプロデュースを開始した。22年の「生演奏によるバレエ『コッペリア』」に次ぐ第2弾として、24年10月12、13日に上演された新作バレエ『赤毛のアン』の関係者に取材した。
イラストSCOPE
60周年を迎え、保存継承と観光活用の両輪で進む淡路人形座
文:奈良部和美
国の重要無形民俗文化財に指定されている淡路人形浄瑠璃を演じる、淡路人形座の60年の歴史と、新たな出発について取り上げる。
座談会
アートツーリズムを語り合う
司会:坪池栄子 構成:羽成奈穂子
地域型芸術祭の先進事例とされる「大地の芸術祭~越後妻有アートトリエンナーレ」と「瀬戸内国際芸術祭」、そして誕生したばかりの「森の芸術祭 晴れの国・岡山」。アートツーリズムで地域の課題と向き合う自治体の皆さんに、成り立ちから成果まで話し合っていただいた。
出席者(左から):増田敬一氏(香川県瀬戸内国際芸術祭推進課 課長/瀬戸内国際芸術祭実行委員会事務局次長)、藤原いずみ氏(岡山県産業労働部 参与/「森の芸術祭 晴れの国・岡山」実行委員会事務局長)、渡辺正範氏(十日町市 教育長)
海外STUDY
欧米における舞台公演の映像配信の現状
文:山名尚志
EPADは「Eternal Performing Arts Archives and Digital Theatre」の略称で、関連団体と協働し、舞台映像、戯曲、舞台美術、ポスター、その他資料のデジタルアーカイブ化と利活用を推進するプロジェクト。2023年には実行委員会を発展させ、2団体が一般社団法人EPADを設立し、文化庁の支援を受けて事業を発展させてきた。こうした活動を続けているEPADが23年度に実施した調査研究から、欧米における舞台公演の映像配信や映像のアーカイブ化の現状について紹介する。
第50号 文化交流施設/共生共創(2024年12月発行)
出版物・報告書