第49号 アート×社会教育/シアターデビュー(2023年12月発行)
国内掲載記事概要一覧 (本誌 P.88「資料編」) (PDF 192KB)
特集1 アート×社会教育
2020年9月に文部科学省が「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」を発表。22年12月にはスポーツ庁と文化庁が「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定し、23~25年度の3年間を改革推進期間と定めた。部活動の地域移行については、その受け皿づくりなど多くの課題が指摘されている。青少年の文化活動の受け皿として地域課題と向き合ってきた社会教育施設・公立文化施設を取材した。
特集2 シアターデビュー
シアターデビューとは、子どもたちが初めて劇場やアートセンターで観劇体験や鑑賞体験をすることを指す。近年、公立文化施設ではこうした小さな子どもたち向けのプログラムを展開するところが増えている。海外招聘作品の県内ツアー、乳幼児のための新創作、アーティストによる「ニューあそびの創造」など、その最前線をレポートする。
空間のエスプリ
体験レッスン
SCOPE
イラストSCOPE
座談会
海外STUDY
特集1 アート×社会教育
1.神奈川県横浜市 神奈川県立青少年センター
文:大堀久美子
1962年に開館し、2022年11月に60周年を迎えた青少年の健全育成と若年労働者の福利厚生を目的とした社会教育施設。開館当初から舞台芸術分野において、青少年の活動をバックアップする充実した事業を展開する。8月の夏休み期間に行われた、「神奈川県中学校創作劇発表会」、「神奈川県中学校演劇講習会」、「神奈川県青少年ダンス講習会」を取材し、その取り組みについて紹介する。
2.静岡県浜松市 サーラ音楽ホール/NPO法人浜松生涯学習音楽協議会
文:横堀応彦
およそ30年にわたり「音楽のまちづくり」に取り組み続ける浜松市。部活動の地域移行の受け皿として浜松市は21年に市内の小学生有志による合同吹奏楽団「浜松ジュニアブラス」を立ち上げた。サーラ音楽ホールはその練習拠点となっており、NPO法人浜松生涯学習音楽協議会の認定指導員が始動にあたっている。11月にサーラ音楽ホールで開催した「ミュージックフェスティバル」を訪れ、サーラ音楽ホールと浜音協の活動を取材した。
3.沖縄県那覇市 那覇市若狭公民館
文:吉本光宏
那覇空港から車で10分ほどの那覇市若狭地区に立地する公民館。NPO法人地域サポートわかさが運営を行っている。住民に寄り添いながら地域課題に取り組む活動を展開し全国的にも注目されてる若狭公民館を取材した。
特集2 シアターデビュー
1 愛知県名古屋市 愛知県芸術劇場「ファミリー・プログラム」
文:鈴木理映子
2015年から愛知県文化振興事業団が愛知県芸術劇場の指定管理者になったのを機に、子どもたちが劇場で観劇体験をする夏休みのファミリー・プログラムを始動。これまで海外招聘作品5作を上演し、2017年から関連団体と協力し、県内公立ホールへ巡回公演を実施。
2 長野県佐久市 キッズ・サーキットin佐久2023
文:田中健夫
住民投票により総合文化会館の建設を中止し、既存施設の活用とソフト事業の充実を図る佐久市文化振興計画を2012年に策定。目玉事業として16年から市内の施設で開催される子供のための舞台芸術フェスティバル「キッズ・サーキットin佐久」を取材した。
3 兵庫県神戸市 新開地アートひろば
文:杉原環樹
神戸アートヴィレッジセンター(1996年開館)が、周辺環境とニーズの変化を踏まえて設置条例を変更。2023年4月に「子どもをはじめとしたあらゆる世代の交流による芸術その他の文化の創造、育成および発信の拠点」を目指す「新開地アートひろば」にリニューアル。「ニューあそび場の創造」をコンセプトにしたアーティストによるユニークなプログラムを展開。
空間のエスプリ
インドのコンテンポラリー・ダンスを牽引するアタカラリ・センター・フォー・ムーヴメント・アーツ
interview & text 乗越たかお
コンテンポラリー・ダンスの拠点として世界に広く認識されている南インドのベンガルールにある「アタカラリ・センター・フォー・ムーヴメント・アーツ」について紹介する。
体験レッスン
ビッグ・アイにインクルーシブシアターの取り組みを学ぶ
進行:坪池栄子 構成:羽成奈穂子 講師:鈴木京子 受講生:髙橋幸介
2001年に厚生省(現・厚生労働省)により設置された、国内初の”障がい者が主役”の文化交流施設。近年、障がい者を巡る文化芸術活動についての法的な整備が行われ、環境が徐々に整ってくることに伴い、公立ホールではインクルーシブシアターの取り組みを模索する動きが活発になっている。早くからこうした取り組みを進めてきた国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)にインクルーシブシアターにお話しを伺う。
SCOPE
徳島県徳島市 徳島県立近代美術館のユニバーサルミュージアム事業
文:永田晶子
1990年開館。「鑑賞教育推進プロジェクト」を立ち上げ教育普及活動を推進。2011年から手話通訳付き展示解説を行うなど、ユニバーサルミュージアム事業を立ち上げて障がいがある当事者が参画するユニークな取組を紹介。
京都府京都市 堀川団地再生まちづくり
文:山下里加
1950~53年に京都堀川通沿いに建設された6棟の店舗付き集合住宅「堀川団地」。老朽化により建て替えも検討される中、「アートと交流」をテーマに再生し続ける今を取材した。
島根県出雲市 出雲芸術アカデミー/出雲フィルハーモニー交響楽団
文:横堀応彦
出雲市は合併を機に「21世紀出雲芸術文化のまちづくり条例」を2005年に制定。音楽活動の基盤となる「出雲芸術アカデミー」と出雲フィルハーモニー交響楽団を創立し、人材を育成。16年から神楽をモチーフに未来の伝統芸術を創作する交響神楽プロジェクトに取り組む。
イラストSCOPE
貴重な衣裳や小道具を保存継承する美濃歌舞伎博物館 相生座
文:奈良部和美
岐阜県瑞浪市仕日吉町に建つ木造の芝居小屋。小栗克介が1976年に下呂から伝統芝居小屋「相生座」を移築するとともに、地芝居を復活。美濃歌舞伎保存会を設立して継承。後継者の育成や衣装の保管・貸出も担い、未来へつなぐ。
座談会
地域に根ざした邦楽事業を考える
進行:坪池栄子 構成:羽成奈穂子
生活様式の西洋化に伴い、邦楽にふれる機会が少なくなっている昨今。その機会の創出など公立ホールはどのような役割を果たせるのか。地域に根ざした邦楽事業を行っているホールで働く職員のみなさんに今後について語り合っていただいた。
出席者(左から):髙田大介氏(宇土市民会館)、藤井明生氏(ふくやま芸術文化ホール リーデンローズ)、加藤哲氏(木之本スティックホール)
海外STUDY
コミュニティとともにあるアクセシビリティ ニューヨークを中心としたアメリカのアクセシビリティの現場から
文:田中みゆき
アメリカの障害者に関する政策・法律の変遷と、美術館や劇場の現在の取り組みについて紹介する。
第49号 アート×社会教育/シアターデビュー(2023年12月発行)
出版物・報告書