第42号 新たな居場所~まちの文化・交流施設(2017年度10月発行)
国内掲載記事概要一覧 (本誌 P.68「資料編」) (PDF 160KB)
特集 新たな居場所~まちの文化・交流施設
コミュニティづくりや居場所づくりに力をいれる新たな文化・交流拠点に注目が集まっている。
新設の複合施設から個人のアイデアで運営するライブラリーまで、その最前線をレポートする。
空間のエスプリ
体験レッスン
座談会
SCOPE
海外STUDY
イラストSCOPE
特別付録
特 集 新たな居場所~まちの文化・交流施設
1 岐阜県岐阜市│みんなの森 ぎふメディアコスモス
本・人・まちを繋ぐ 年間120万人が来館する
“知”と“交流”の複合拠点
文:田中健夫
2015年に岐阜市が開設した複合文化施設(伊東豊雄設計)。開館2年で600団体以上が視察に訪れ、年間120万人以上が来場する注目の施設。本を通じて人が交流し、市民の気持ちのいい居場所となる新しいタイプの“滞在型図書館”を目指す中央図書館を中核に、市民協働の拠点となる市民活動交流センター、多文化交流プラザ、ホール・ギャラリーなどで構成。中心市街地に賑わいを取り戻す拠点施設。
2 東京都文京区│文京区青少年プラザ「b-lab」
“何かしたくなる場所”をつくり、子どもたちの自立を促す
文:神山典士
“教育立区”を掲げる文京区が「文京区教育センター」内に設置した中高生のための施設。多目的スペース、ホール、音楽スタジオ、キッチン、スポーツができる屋上広場など。「親と過ごす時間の中で多くを学ぶ小学生時代と異なり、中高生世代は親以外のさまざまな人間関係の中で、社会性を身に付けていかなければならない」(「文京区中高生育成基本方針」より)とし、中高生の出会いや自主的な活動を応援する拠点として整備。中高生スタッフによる企画など年間200本近いイベントを開催。
3 群馬県太田市│太田市美術館・図書館
駅前のサロンで“創造的太田人”を育む美術館・図書館複合施設
文:田中健夫
東武鉄道太田駅周辺の市街地再開発を推進している太田市が、2017年に北口駅前に開設した美術館と図書館の複合文化施設。“知と感性のプラットフォーム”をコンセプトに、美術館と図書館を有機的に連動し、新たな展覧会を企画するとともに、市民のサードプレイスとして居心地のいい空間を創出。駅前に賑わいをつくり出し、文化的な魅力を発信する拠点。
4 大阪府大阪市、北海道千歳市など│まちライブラリー
本を真ん中にした自由なコミュニティづくりが各地に広がっていく
文:神山典士
「まちライブラリー」は、オフィスやカフェ、商業施設の一角、個人宅、お寺、駅舎、病院などさまざまな場所にみんなで本を持ち寄り、本を通じて人が交流するみんなでつくる図書館活動のこと。提唱者の磯井純充が、2011年に大阪市の雑居ビルの一室にISライブラリーを開設したのが始まり。現在、全国500カ所で活動が行われ、本を通じた新たなコミュニティづくりを実践。
空間のエスプリ
“古書店の町”ウェールズのヘイ・オン・ワイ
文:田中伸子
リチャード・ブースというオックスフォード大学卒の本好きの英国人が両親の移住に伴いこの地に移り住み、元は消防署だった建物を62年に知人から700ポンド(現在の通貨で約10万円)で購入し、自ら収集していた本を並べ、古書店を開いた。そこから、彼はヘイを古書の聖地へと押し上げた。その後、古書店街の成功に続くかたちで、88年にはピーター・フローレンスの発起により文学祭「ヘイ・フェスティバル」が始まり、近隣地帯一帯を巻き込んだ観光産業の目玉として地域の発展に拍車をかけた。大手メディアをスポンサーにつけ、文学とアートのフェスティバルとして10万人を集める同フェスティバルは海外にまで広まり、さらに拡大を続けている。
体験レッスン
城崎国際アートセンターに地方創生の拠点となるAIR(アーティスト・イン・レジデンス)を学ぶ
構成:大堀久美子
日本有数の温泉街「城崎温泉」に2014年に誕生したアーティスト・イン・レジデンス施設。兵庫県から豊岡市に移管された宿泊施設を伴う会議場「旧城崎大会議館」をリノベーション。ホール(500席のロールバックチェアを備え、最大1,000人収容)、各種スタジオ、レジデンスルーム(7部屋、定員最大22人)、ギャラリー、キッチンなど。24時間利用可能で、公募で選ばれたアーティストに最長3カ月まで無料貸し出し。豊岡市が推進する「小さな世界都市」の文化芸術による地域再生拠点。
座談会
ダンス事業を考える
司会・構成:坪池栄子
公共ホール現代ダンス活性化事業(ダン活)がリニューアルされ、今年度から新たな枠組みでの事業が始まった。今回は、様々な形で継続してダンス事業に取り組む3館の担当者が集まり、その幅広い可能性や課題について話し合う。
SCOPE
石川県珠洲市 奥能登国際芸術祭
文:山下里加
能登半島の先端、珠洲市で新たにスタートした国際芸術祭。会期は2017年9月3日~10月22日。 1950年には3万8,000人以上だった人口が現在では1万5,000人を割り込むまで減少。40組のアーティストが参加し、巨大な行灯型の山車「キリコ」が巡行する祭りなど豊かな歴史と塩田などの暮らしを支えてきた豊かな自然の伝わる奥能登の魅力を広く発信。
海外STUDY
地域振興の仕掛けとしてのクラウドファンディング
文:山名尚志
インターネットを通じ、世界中の人々から資金を集め、イベントの実施や商品開発などを行っていくクラウドファンディング。今、この仕掛けを、地域振興に積極的に活用していこうという動きが広がりつつある。このクラウドファンディングによる地域振興の実際を概説する。
イラストSCOPE
生まれ育った町と祇園祭への愛が華やかな巡行を支える「函谷鉾」
文:奈良部和美/イラスト:田渕周平
日本三大祭りの筆頭に挙げられ、ユネスコの無形文化遺産に登録されている祇園祭。その主役である鉾を継承してきた町民がゼロとなった「函谷鉾(かんこぼこ)」では、財団法人を設立して鉾の所有を移し、通い町衆による新たな仕組みで継承。
第42号 新たな居場所~まちの文化・交流施設(2017年度10月発行)
出版物・報告書