一般社団法人 地域創造

令和8年度「公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)」全体研修会

p2.jpg

 

左上:多田淳之介さんのワークショップ

右上:グループワーク

左下:登録アーティストプレゼンテーション (鈴木舞さん)

右下:登録アーティストプレゼンテーション (小野寺光さん)

 

 公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)では、 実施館の担当者、コーディネーターや登録アー ティストなどが一堂に会する全体研修会を実施しています。今年度は4月20日〜22日に開催 し、21日には2025・2026年度登録アーティスト5名がTOPPANホールで公開プレゼンテーション(各25分)を行いました 。

みんなが学びあう研修会

 研修は、地域創造のリージョナルシアター事 業派遣アーティストでおんかつコーディネーターも務める演出家の多田淳之介さんによるワークショップでスタートしました。今年度の事業 を実施する全国12館の担当者に加え、コーディネーターなど、おんかつを支える関係者が 初めて顔を合わせ、シアターゲームで楽しく交流しました。

 グループワークでは、事前課題として各担 当者に提出いただいた地域資源シートを元に、 コーディネーターも交えてアクティビティ先の選定やコンサートのコンセプトの検討等も行いました。

 2日目には 、事例紹介と2年目となる登録アーティストによる公開プレゼンテーションが行われました。事例紹介では、事業担当者の立場から令和5年度に実施した荘銀タクト鶴岡の増子そらのさん(タクトつるおか共同企業体)と、令和6年度に実施した飯山市文化交流館なちゅらの佐藤恭史さん( 飯山市教育委員会文化交流課)からお話を伺いました。いずれもモデトロ・サクソフォン・アンサンブルと事業を進めましたが、地域や担当者によって企画や内容もぞれぞれで、質疑応答の時間では多くの質問が投げかけられました。

 2018年に開館したタクトと16年に開館したなちゅらは 、世界的な建築家が設計したユニークな建築として知られています。鶴岡城跡の公園に隣接し、ガラス張りで開放的な前者はSANAA(妹島和世+西沢立衛)、北陸新幹線 飯山駅前に立地し、地元木材を外壁・内装に ふんだんに使用した後者は隈研吾の設計です。両者とも後発の公立文化施設として、開かれた交流ができる空間設計に特徴があります。

 タクトでは、おんかつを通じてこれまでホールと関わりのなかった地域の多様なコミュニティに働きかけることを目指し、認定こども園、 小学校、高等学校吹奏楽部へのアウトリーチを行いました。また、ホールの人気企画であるワンコインコンサートシリーズとして、障害のある人も楽しめる鑑賞サポート付きで派遣アーティストの演奏会を実施しました。観客数がシリーズ最多の448人となるなど、確かな手応えを感じた取り組みとなりました。

 また、なちゅらでは、飯山市が掲げる「未来を拓く子どもたちが育つ共育のまち」の事業として位置付け、市内の小中学生に「おでかけなちゅら」と題したアウトリーチを実施しました。 学校での芸術鑑賞の機会が少なくなっていることを踏まえ、佐藤さんがこだわったのがホールでの演奏会に市内2校の全中学生を招待することです。「 演奏家、コー ディネーターと検討を重ね、幅広い曲目構成、振り付きの演奏や照明演出で音楽の楽しさを伝えるコンサートになった」と振り返っていました。

 

初年度の経験を交えてプレゼン

 トップバッターの鈴木舞さん(ヴァイオリン)は、昨年と同様に貸与を受けている1682年製の銘器「グランド・アマティ」(*)を携えて登場しました。「低音の響き、高音の響きを聴き比べて」とご自身の楽器との弾き比べを行うと、その音色、響きの違いに客席の集中力は一気に高まりました。対話型芸術鑑賞法の有資格者としての的確なトークにも磨きがかかり、『チャルダッシュ』の生命力溢れる演奏など、客席を魅了していました。

 昨年度5カ所でおんかつを行ったという山崎由貴さん(ユーフォニアム)は、5キロはあるという楽器を背負ったお馴染みのスタイルで登場しました。「ユーフォニアムはギリシャ語で心地よいという意味。この楽器の音色の魅力を知ってほしい」と演奏。3.5メ ートルのホースにジョウゴとマウスピースを付けた手作り楽器でのパフォーマンスも披露しました。北垣彩さん(チェロ)は、昨年度のおんかつでホール担当者からリクエストされたガーシュイン『プレリュード』やピアソラ『リベルタンゴ』などを披露。「4歳のときに出会ったチェロは辛い時も自分を内側から照らし続けてくれる存在」 言い、アウトリーチで必ず行っている子ども用チェロを触って響きを体験するアクティビティも行いました。

 小野寺光さん(バス・バリトン)は「オペラは登場人物が歌いながらお芝居をするもの」と解説 し、舞台上の衝立の裏で衣裳を早着替えしながら『魔笛』のパパゲーノをはじめ3役を豊かな声量で演じました。「Viva!」「Bravo!」と書かれたフリップを使用し、観客が声を出す参加型のシーンもあり、オペラを身近に感じられる工夫も凝らされていました。 ラストを締め括ったのが、学校の上履き姿で登場した三原未紗子さん(ピアノ)です。「アウトリーチでは子どもたちと仲良く楽しむ時間を大切にしている。ピアノという楽器、音楽の表情の違い、作曲家が伝えたかったことを伝えたい」と話し、『 月の光』『小犬ワルツ』『猫のワルツ』などを披露しました。

 

*ニコロ・アマティが製作したストラディバリウスに並ぶヴァイオリンの銘器。

令和8年度公共ホール音楽活性化事業全体研修会スケジュール

p3.jpg

2025・2026年度公共ホール音楽活性化事業登録アーティスト

  • 三原未紗子(ピアノ)
  • 鈴木舞(ヴァイオリン)
  • 北垣彩(チェロ)
  • 山崎由貴(ユーフォニアム)
  • 小野寺光(バス・バリトン)

●令和8年度公共ホール音楽活性化事業参加団体一覧(全12団体)

  • 宮 城県白石市(ホワイトキューブ大林組コンサートホール)
  • 宮城県蔵王町(蔵王町ふるさと文化会館)
  • 神奈川県寒川町(寒川町民センター)
  • 山梨県富士川町(はくばく文化ホール)
  • 岐阜県大垣市(日本昭和音楽村江口夜詩記念館水嶺湖ホール)
  • 愛知県大府市(おおぶ文化交流の杜allobuこもれびホール)
  • 京都府宇治市(宇治市文化会館)
  • 京都府久御山町(久御山町全世代・全員活躍まちづくりセンター)
  • 大阪府泉南市(泉南市立文化ホール)
  • 広島県廿日市市(さいき文化ホール)
  • 香川県丸亀市(丸亀市民会館[シアターマド])
  • 宮崎県宮崎市(宮崎市民文化ホール)

公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)に関する問い合わせ

芸術環境部 金山・中嶋

Tel. 03-5573-4168

ホーム出版物・調査報告等地域創造レター地域創造レターバックナンバー2026年度地域創造レター6月号-No.373令和8年度「公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)」全体研修会