多彩なゼミを開催し、若い受講生も多く参加

1:ホール入門コースの最終日発表会
2:自主事業コース「世界の見え方が変わる?!アートスペース画楽&リベルテによるパレード的街歩き」
3:共通プログラム「地域から発信する創造事業」(写真中央が講師の細川貴司さん)
4:公立ホール・劇場マネージャーコースの倉田翠さんワークショップ「共感できることを探す」
ステージラボ高知セッションが2月24日から27日まで高知市文化プラザかるぽーとを会場に開催されました。かるぽーとは大・小ホール(1,085席、200席)や市民ギャラリー、横山隆一記念まんが館、中央公民館を有する複合文化施設です(2002年開館)。今回のラボでは、「入門コース」「自主事業コース」「公立ホール・劇場マネージャーコース」が開講されました。
視点を変えて楽しむ〜ホール入門コース
ホール入門コースのコーディネーターは、地域創造のリージョナルシアター事業派遣アーティストの有門正太郎さんです。今回は入職1年未満の参加者が多く、緊張気味にスタートしました。
2日目のゼミでは、子ども食堂などでのアート ワークショップ実施のための仕組みをつくるNP O法人CASK代表の山内泰さんがレクチャー。「素晴らしい価値」を届けるのではなく、「当たり前とされている社会規範を問い直し、その場にいる誰もが共に価値の担い手になれる手法やあり方を創造する」という文化芸術の社会モデル的なアプローチについて学びました。
それを踏まえ、「僕は誰でも参加できるものを信じたい」という有門さんは、参加者とかるぽーと周辺で視点を変えて不思議スポットを探す街歩きに出発しました。4グループに分かれ、ひとり1カ所の不思議スポットを撮影して説明文を創作し、それらを集めたガイドブック『高知の“ゆるい”歩き方』を作成。最終日には冊子の出版披露イベントを企画し、スポットを紹介する寸劇を披露しました。
また、普段は聞きたくても聞けないことをシェアする「もやもや会議」も行われ、「思っていることが言えるようになった」など、それぞれに変化を感じた4日間となりました。
地域との協働を考える〜自主事業コース
自主事業コースのコーディネーターは、上田市で民間の小劇場を運営している荒井洋文さんです。静岡県舞台芸術センター(SPAC)制作部に10年間在籍後、地元に戻り、商店街の空きビルを借り受けて、カフェ兼シアターやゲストハウス、スタジオを有する「犀の角」を立ち上げ。コロナ禍を契機に、まちづくり系のNPOや地域の団体と連携し、地域の居場所・共有地となる「のきした」をスタートしました。
今回のコースでは、「劇場と地域の間に生まれるもの」をテーマに荒井さんの取り組みを 学ぶとともに、上田市のNPO法人リベルテと高知市のアートセンター画楽の協力により、障害のある人たちと一緒に街を歩いて、福祉施設と地域の境界線を拓くパレードを体験しました。
また、京都の演劇人の拠点となってきた民間の小劇場・アトリエ劇研(2017年閉館)のプロデューサーなどを経て、現在は市民活動を支援する「いきいき市民活動センター」の指定管理を担うNPO法人劇研理事長の杉山準さんからもお話を伺いました。杉山さんは、「私たちが指定管理者になったことで、音楽や演劇、ダンスなどの利用者が増加し、交流も活発に。また、お祭りを復活したことでまちづくりの機運も高まった。創造的な市民が育ち、柔軟なアイデアを育むことで街は良くなる」と話していました。
共感することから始める〜公立ホール・劇場マネージャーコース
公立ホール・劇場マネージャーコースのコーディネーターは、25年前に京都芸術センターに入職し、現在は副館長兼チーフプログラムディレクターを務める山本麻友美さんです。「管理職は創造的な現場に関わりながら、立場の異なる人の間で理想だけではすまない調整を求められる」という山本さんは、参加者がお互いの相談相手になれる関係づくりをテーマに掲げてカリキュラムを展開しました。
特徴的だったのが、コンテンポラリーダンスのアーティストで、昨年からまつもと市民芸術館芸術監督団に参画している倉田翠さんによるワークショップです。倉田さんは、ダンサーや俳優だけでなく、市民、薬物依存回復施設の人、認知症の人、刑務所の受刑者など多様な人々と向き合って創作しています。
「表層的なコミュニケーションの問題でぶつかっていることも多い。自分ではない他者を完全に理解することは不可能だと考えているが、想像すること、自分のことのように話を聞くことで、他者と創作してきた。その一端をみなさんと体験できれば」と語りかけ、4時間にわたる「共感できることを探す」ワークを行いまし た 。
前半は、参加者の「泣く、ムカつく、喜ぶ」など感情が大きく動いた時の話にみんなで耳を傾けました。後半は、倉田さんが共感した身体の声(表現)を「交渉する人」「お土産を買う人」「身体を鍛える人」として参加者が即興的にパフォーマンス。すると、まるで1本の作品のように「ホールマネージャーの日々」が浮かび上がってきました。
また、杉山さんと京都市文化市民局文化芸術都市推進室担当部長の松本守弘さんも講義されました。松本さんは、京都市役所で労務担当を中心に従事した後、文化部門でコロナ禍に おける芸術文化支援、京セラ美術館の運営体制の見直しなどを行ってきました。「京都芸術センターの報酬の見直しも行い、現在は市職員
に準拠した給与水準にできるよう検討している。市役所は現場の状況を知らないので、待遇改善にしてもきちんと声を上げる必要がある」と の言葉に、参加者は大きくうなずいていました。
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共通プログラムでは、「地域から発信する創造事業」として高知市文化振興事業団が制作した市民参加劇『12人の怒れる土佐人』(レジナルド・ローズ作の法廷劇を土佐弁に翻訳)について学びました。企画・演出を担当した高知出身の細川貴司さんが市民と創作するときに行うゲームなど、事業の一端を体験しました。
●ステージラボ高知セッション プログラム表

●コースコーディネーター
◎ホール入門コース
有門正太郎(演出家・俳優・劇作家、有門正太郎プレゼンツ主宰)
◎自主事業コース
荒井洋文(犀の角代表、プロデューサー、舞台芸術制作者)
◎公立ホール・劇場マネージャーコース
山本麻友美(京都芸術センター副館長・チーフプログラムディレクター)
問い合わせ
芸術環境部 児島
Tel. 03-5573-4183
