一般社団法人 地域創造

京都市 京都コンサートホール 開館30周年記念事業 「京都市ジュニアオーケストラ創立20周年 記念コンサート」

 京都コンサートホール(KCH)開館30周年記念事業の一環として、京都市ジュニアオーケストラ創立20周年記念コンサートが1月31日に開催された。ゆかりの深い指揮者である下野竜也、大友直人、広上淳一の3人が登場し、モーツァルトの「オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲変ホ長調 」、ラヴェルの「ボレロ」、サン =サーンスの「交響曲第3番オルガン付き」の3曲をそれぞれ指揮。アンコールでは、日頃の合奏指導をしてきた若い2人、井手カナ、東尾多聞もタクトを振った。出演したメンバーは小学生から22歳までの団員102名で、プロとして活躍しているOG・OB4名がソリストとして共演。ステージマネージャーも卒団生で、チケットは完売御礼と、20年の蓄積を感じる熱いステージに、聴衆は喝采を送った。

 

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撮影:田浦ボン

 

 京都市ジュニアオーケストラは2005年、京都市交響楽団(京響)創立50周年、KCH開館10周年を機に、京響常任指揮者だった大友のイニシアティブで創設された。市の直営だった京響が、プロの演奏家を育てるのではなく音楽を通じた人材育成を目的にスタート(現在はKCHが 運 営 )。 2021年からKCHプロデューサーを務め、今回の企画をした高野裕子は言う。


 「楽器を始めて間もない児童から音大生まで、約110人が在籍しています。この幅広さもうちの特徴の一つでしょう。京響の団員の演奏指導を受け、定期演奏会とサマー・コンサートの年2回、演奏会を開催しています。意欲的に自主練習し、先輩が後輩の面倒をよく見ています。オーケストラの節目にあたり、設立に携わ ってくださった大 友さん、折々の大事なタイミングに来てくださった下野さん、スーパーヴァイザーをずっと務めてくださった広上さんをお招きし、これまでの20 年を振り返りたいと思いました。それと同時に、この演奏会で一つの区切りをつけ、また新しいオーケストラとして歴史をつくっていきたいと考えています」

 

 公共ホールの環境が大きく変化するなか、京都出身の高野はこの10年のKCHの歩みをどのようにとらえているのだろうか。


 「プロデューサーに就任した当時感じたのは、まだまだ京都の人たちをホールに巻き込めていないのではないかということ。私が留学したフランスでは、地元の音楽家がその地で活躍していてとても豊かに感じていたので、KCHでも京都の演奏家を積極的に起用するようにしました。音楽ファンだけではなく、さまざまな層のお客さんにホールへ足を運んでほしいと考え、京響の団員に依頼する活動のほかに登録アーティストによるアウトリーチもスタート。当初は関西在住以外の演奏家も起用していたのですが、コロナ禍を経て、距離が近い関西在住の新進演奏家にオーディションの対象を変更しました」

 

 アウトリーチは、ジュニアオーケストラでも積極的に行っている。

 

 「オファーをいただいたお寺などで小編成のアンサンブルによる演奏会を行っています。2024年夏に行ったクラウドファンディングでいただいたご支援で、3月22日に石川県立音楽堂で石川県ジュニアオーケストラとの合同演奏会、翌23日にはジュニアオーケストラの有志メンバーによる被災地5カ所での訪問演奏会を企画しています」


 一方、今年70周年の節目を迎える京響も、独自のアウトリーチ展開を図っている。チーフプロデューサーの高尾浩一は言う。

 

 「京響70周年記念では京都の街に貢献する意味も込めて『 京(みやこ)の音楽会』を 企画しました。着物で演奏する西陣織会館での『「織」の音楽会』、和菓子を提供しながら音楽を楽しんでもらう京菓子資料館での『「菓」の音楽会』など、さまざまな場所・趣向で演奏を行います。もともと楽団員が主体的に活動するのが京響の特徴で、経験豊富なメンバーを中心に切磋琢磨する空気は健在。23年に第14代常任指揮者に就任した沖澤のどかの求心力もあり、今、気力が充実した良い雰囲気です」

 

 古都・京都のクラシック音楽の老舗団体に、新たな風が吹き始めている。

(舞台芸術ライター・高橋彩子)

 

京都市ジュニアオーケストラ創立20周年記念コンサート

[会期]2026年1月31日
[主催]京都コンサートホール(公益財団法人 京都市音楽芸術文化振興財団)/京都市
[会場]京都コンサートホール 大ホール
[指揮]広上淳一、大友直人、下野竜也

京都コンサートホール

「世界文化自由都市宣言」の理念の下、平安建都1200年記念事業の一環として京都市が建設した音楽専用ホール(1995年10月開館)。設計は磯崎新。ドイツ製パイプオルガンを備えたシューボックス型大ホー ル( 1,833席+車いす用スペース6)と 室内楽等に対応したアンサンブルホールムラタ( 510席+車いす用スペース4)を有し、円形のエントランスホール、そこからホールに続く螺旋状のスロープが特徴。1956年に京都市が直営で創設した京都市交響 楽 団( 2009年から財団法人京都市音楽 芸術文化振興財団に運営を移管)の本拠地。指定管理者制度により03年から財団法人京都市音楽芸術文化振興財団(12年に公益財団法人化)が運営 。「京都の秋 音楽祭」など国内外の演奏家による質の高いコンサートを実施。ジュニアオーケストラの育成、登録アーティストによるアウトリーチ(19年~)、 街中で行う「 Kyoto Music Caravan」(23年、25年)などを展開。令和7年度地域創造大賞(総務大臣賞 )受賞 。

 

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