地域創造では、文化・芸術による地域づくりへの理解を深めていただくため、全国の市町村長を対象とする「市町村長特別セミナー」を実施しています。4月24日に、市町村職員中央研修所(市町村アカデミー)との共催により、文化・芸術による地域づくりについての講義とおんかつ支援登録アーティストによるミニコンサートを実施しました。
講義は「社会とアートのつながり―東京藝大の文化的処方の取り組みについて―」と題し、東京藝術大学長でアーティストの日比野克彦さんが登壇され、東京藝術大学が実践するアートの力によって社会的な課題の解決を目指す取り組みについて、日比野さんが代表を務めるプロジェクト「芸術未来研究場」の実例を紹介しながら、わかりやすくご講義いただきました。
なかでも特に力を入れて取り組んでいるのが、「文化的処方」。これは、個々人が抱える諸課題や地域の文化芸術資源などを踏まえ、アート活動や福祉等を組み合わせ、その人がその人らしくいられるレジリエントな場所やクリエイティブな体験を創り出すことで、楽しさと感動を生み出し、心が解放され、人と人との緩やかなつながりや心地良いコミュニケーションを自然と発生させ、個人に活動する意欲や幸福感の増進等を与えようとするもの。岐阜県での取り組みなどを交えてご説明いただきました。
今回の講義では、アートが鑑賞者に対しより良い影響を与えるといった価値に気づかされる貴重な機会となりました。
講義に続いて、地域創造おんかつ支援登録アーティストのアーバンサクソフォンカルテット(サクソフォン四重奏)による、受講者を小学生に見立てた模擬アウトリーチコンサートが行われました。最初は戸惑っていた受講生でしたが、アーティストによるサクソフォンの構造の説明や、低音パートから順番に音を重ねていく曲名当てクイズなどを通じて、次第に童心に帰って楽しむ様子が見られたほか、プロの演奏家による迫力ある演奏を間近で体験したことで、アウトリーチコンサートの持つ魅力や意義への理解を深めていただくことができました。
日比野克彦さんによる講義
アーバンサクソフォンカルテット(サクソフォン四重奏)によるミニコンサート