地域創造では、文化・芸術による地域づくりへの理解を深めていただくため、全国市町村国際文化研修所(JIAM)、総務省との共催により「市町村長特別セミナー『地域経営塾』」を実施しています。今年は11月7日、8日の2日間にわたって開催され、1日目には文化・芸術による地域づくりに関する講義と、おんかつ支援登録アーティストによるアウトリーチ体験を実施しました。
愛知大学文学部教授の吉野さつきさんによる講義では、障害のある人に対して、地域社会がどのように関わっていくべきか、また、文化芸術が障害のある人に対してどのような役割を果たせるのか、ということを、法律の根拠を踏まえながら具体的な事例を交えご講義いただきました。
講義の中で、文化・芸術は障害の有無に関わらず享受されるべきで、そのためには支援センターや行政の文化担当部署、福祉担当部署、中間支援団体等との連携がされなければならない。そうすることで、芸術を通して社会参加や自立に繋がり、多様な生き方の選択肢が生まれていくとのお話がありました。
実際に、穂の国とよはし芸術劇場プラットでは、鑑賞サポートだけではなく、障害者と共に創るということを目標に、障害のある人とのワークショップや劇場体験プログラムを行っているとのことです。公立文化施設は地域づくりのためのクリエイティブな実践と実験の場であり、収益性を求めるだけの施設ではない、という吉野さんのお話に、参加者は熱心に耳を傾けていました。
講義に続いて行われた、ヴァイオリン奏者の坂口昌優さんによるアウトリーチ体験では、ヴァイオリンの音の鳴らし方や、実際に演奏しながらの奏法紹介、曲を聴いて曲名を参加者に想像してもらうクイズのほか、参加者が自由に振る指揮に合わせて曲を演奏し、同じ曲でも全然違う表現となることを感じてもらうなど、多彩なプログラムとなりました。また、アウトリーチは演奏会に行きたくても行けない人に音楽を届けられる社会的意義のある活動だと思っているとのお話もあり、講義との共通点についても感じられる素敵なアウトリーチ体験となりました。