邦楽にふれる機会の少ない方や地域の方々にとって新たな発見や交流の場になることを目指し、工夫を凝らしたコンサートとアクティビティ(地域交流プログラム)を実施する「公共ホール邦楽活性化事業」。令和6年度は、全国6地域で事業を展開します。今号ではその中から沖縄県名護市の模様をご紹介いたします。
名護市は、沖縄県の北部に位置する人口約6万4,000人の自然豊かなまちです。今回は、森梓紗さん(箏)、東田はる奈さん(笙)と共に、琉球の文化(生き物・衣・食・芸能)を後継者へ繋いでいる方々を対象にアクティビティを実施しました。
食文化は、郷土料理を幅広い世代に継承しているボランティア団体「わかめ会」会員を対象に、穀物や食料を運ぶためにつくられたという沖縄県内初の手掘りトンネル(仲尾トンネル)で行いました。
古典の伝統的な音階を用いた『さくら』の変奏から始まると客席は和の音色に包み込まれました。そして笙が登場すると初めての楽器に興味津々。箏と笙のためにかかれた『泡沫(うたかた)リバース』では、楽器の多彩な音色に加えて、鳥や風など自然の音も音楽の一部となり、名護市ならではのアクティビティとなりました。
コンサートの1部では、着物と装束という伝統的な衣装で登場。凛とした姿と背景の沖縄伝統の幕が美しく合わさり、お互いの文化を尊重し合っているようでした。2部は二十絃箏も登場し、箏との音色の違いも楽しみました。アンコールに演奏した『涙そうそう』では、アクティビティや滞在の様子の映像が流れ、曲調も相まって大きな感動の内に幕を閉じました。
今年度の邦楽事業はまだまだ続きますので、ぜひご注目ください。
●令和6年度「公共ホール邦楽活性化事業」実施団体(主会場/派遣アーティスト/日程)
•沖縄県名護市(名護市民会館/森梓紗 /10月18日~20日)
•福岡県中間市(なかまハーモニーホール/森梓紗/12月20日~22日)
•福島県白河市(白河市東文化センター/森梓紗/2025年1月23日~25日)
•兵庫県養父市(養父市立おおやホール/安嶋三保子/1月23日~25日)
•熊本県益城町(益城町文化会館/安嶋三保子/2月14日~16日)
•宮崎県都城市(都城市総合文化ホール/大萩康喜/3月7日~9日)
公共ホール邦楽活性化事業に関する問い合わせ
芸術環境部 森永
Tel. 03-5573-4069