一般社団法人 地域創造

令和6年度 公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)

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西村悟さんによるアクティビティとコンサート

令和6年度「公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)」がスタート

 クラシック音楽にふれる機会の少ない方や地域の方々にとって新たな発見や交流の場になることを目指し、工夫を凝らしたコンサートとアクティビティ(地域交流プログラム)を実施する「おんかつ」。令和6年度は、全国10の地域に赴き、音楽を届けます。今号では、その中から福崎町の模様をご紹介します。

 

 福崎町は兵庫県の南西側に位置し、古くから交通の要衝として栄えた自然豊かなまちです。今回は、テノール歌手の西村悟さんと共に、多様な層を対象に4つのアクティビティ(幼児園、福祉施設、中学校コーラス部、女声合唱団)を実施しました。

 

 福崎西・東中学校コーラス部のアクティビティでは、オペラ『魔笛』のアリア『おいらは鳥刺し』を歌いながら登場。迫力ある歌声に最初は驚いた様子の生徒たちでしたが、オペラ『リゴレット』のアリア『女心の歌』で西村さんがマントヴァ公爵を演じると、女好きの役どころに笑いが起こりました。教科書でお馴染みの『魔王』では、CDとは違った生の歌声に真剣な表情で聴き入っていました。終盤では、戦争で亡くなった若い兵士に想いを込めて作詞された『鴎』を紹介。生徒たちにとってその強いメッセージが平和について深く考えるきっかけとなったようです。最後に披露したオペラ『トゥーランドット』のアリア『誰も寝てはならぬ』は、西村さんの夢を叶えてくれた曲。夢をもつことの大切さが響いたようで、輝きに満ちた様子でした。

 

 最終日のコンサートは、「歌のレストラン~エルデ~」というコンセプトで、西村さんがレストランの支配人に扮してプログラムを進めます。歌のフルコースは、オードブルの『音楽に寄す』から始まりました。2部の最初には、福崎町の女声合唱団「ポーコ・ア・ポコ」との共演もあってにぎやかなステージに。最後は『誰も寝てはならぬ』という豪華なメインディッシュで締めくくり、満席の会場は歓喜の渦に包まれました。
福崎町の皆様からは、また「来てほしい」との声もあがり、充実したおんかつとなりました。
 

 今年度のおんかつ事業はまだまだ続きますので、ぜひご注目ください。

 

 

●令和6年度公共ホール音楽活性化事業実施団体(主会場/アーティスト/日程)
 •兵庫県福崎町(福崎町エルデホール/西村悟/10月2日~5日)
 •長野県飯山市(飯山市文化交流館なちゅら/Modétro Saxophone Ensemble/11月6日~8日)
 •徳島県勝浦町(勝浦町農村環境改善センター/西村悟/11月7日~10日)
 •熊本県宇土市(宇土市民会館/閑喜弦介/11月14日~16日)
 •島根県安来市(安来市総合文化ホール アルテピア/Modétro Saxophone Ensemble/11月21日~23日)
 •福島県西郷村(西郷村文化センター/今田篤/11月28日~30日)
 •滋賀県長浜市(木之本スティックホール/Modétro Saxophone Ensemble/11月28日~30日)
 •高知県香南市(香南市夜須公民館/閑喜弦介/12月5日~7日)
 •熊本県荒尾市(荒尾市総合文化センター/Modétro Saxophone Ensemble/1月30日~2月1日)
 •静岡県袋井市(袋井市月見の里学遊館/カメハ/2月6日~8日)

 

2025・2026年度おんかつ登録アーティスト 集合研修

 地域創造では1998(平成10)年度からオーディションで選考した登録アーティスト(2カ年)をコーディネーターと共に地域に派遣する「公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)」を実施しています。決定したばかりの2025・2026(令和7・8)年度登録アーティスト5名とおんかつコーディネーターが初めて顔合わせする集合研修が9月17日、18日に行われました。集合研修の目的は、おんかつについての認識を共有することと、アクティビティのプログラムをグループディスカッションで考えることです。


 今回は、登録アーティストたちが事業実施前にどのような準備を行っているのかがわかる研修の模様をご紹介します。

演劇のコミュニケーションゲームにも挑戦

 まず行われたのが、おんかつコーディネーターで地域創造のリージョナルシアター事業の派遣アーティストでもある演出家の多田淳之介さんによるワークショップです。

 
 最初に、参加するアーティストとコーディネーターが、自分の紹介とこのワークショップのためにつけた自分のあだ名の説明をしたあと、輪になって一人がランダムにあだ名を呼び、呼ばれた人がまたランダムに次の人のあだ名を呼ぶといった緊張をほぐすためのコミュニケーションゲームに始まり、室内を歩き回りながら、暑いときや寒いときの歩き方、楽しいことがあったときの歩き方など、内面を歩き方で表現するなど、歩き方だけでもたくさんの表現があることを体験してもらいました。


 最後に2グループに分かれ、「何かが困っている」をお題として、一つのチームが「何かが」「なんで」困っているかを即興で演じ、もう一つのチームはそれを見て当てるというワークを行い、演劇のワークショップの魅力を堪能できる内容となりました。

先輩の実体験から学ぶ

 ワークショップ、おんかつについての講義に続き、おんかつ支援登録アーティストの北島佳奈さん(2012・13(平成24・25)年度おんかつ登録アーティスト/ヴァイオリン)、塚越慎子さん(2016・17(平成28・29)年度おんかつ登録アーティスト/マリンバ)を招き、アーティストとして伝えたいことやそれぞれのアクティビティ先での対象者に合わせたプログラムづくりについてなど、先輩の実体験から学ぶゼミが行われました。

 

 アーティストとしての揺るぎない軸をもちながら、それぞれ地域を知り、地域の方々と向き合ってきた先輩たちの一言一言に、おんかつの精神が溢れていました。

アクティビティのプログラムづくり

 今回の集合研修の集大成として、実地研修に向けて小学校高学年(4〜6年生)を対象にした45分間のアクティビティのプログラムを考えるグループディスカッションを行いました。5名の登録アーティストが2つのグループに分かれ、各グループの担当になったコーディネーターと意見交換しながらプログラムづくりを行いました。

 

 1日目は、アクティビティでのメインとしてとらえる1曲とその曲で伝えたいこと、どのように体感してもらうかを考え、2日目は、実際にアクティビティのプログラムを企画するディスカッションが行われ、最後に全員が発表し、それぞれの企画についてコーディネーターがコメントして集合研修が終了となりました。

 

 今回のプログラムをもとに、担当コーディネーターとの打ち合わせを経て、小学校でのアクティビティを行う実地研修が予定されています。来年4月の全体研修会では登録アーティスト5名による公開でのプレゼンテーションも行われますので、ぜひご参加ください。

 

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左:多田淳之介さんによる演劇ワークショップ
右:おんかつ支援アーティストの北島佳奈さん、塚越慎子さんを交えてのディスカッション

 

 

●2025・2026年度公共ホール音楽活性化事業(導入プログラム)登録アーティスト
 •三原未紗子(みはら みさこ)[ピアノ]
 •鈴木舞(すずき まい)[ヴァイオリン]
 •北垣彩(きたがき あや)[チェロ]
 •山崎由貴(やまざき ゆき)[ユーフォニアム]
 •小野寺光(おのでら ひかる)[バスバリトン]

 

公共ホール音楽活性化事業に関する問い合わせ

芸術環境部 日野
Tel. 03-5573-4076
onkatsu@jafra.or.jp

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