地域創造では、文化・芸術による地域づくりへの理解を深めていただくため、全国の市町村長を対象とする市町村長特別セミナーを実施しています。
4月25日に、市町村職員中央研修所(市町村アカデミー)との共催により、文化・芸術による地域づくりについての講義とおんかつ支援登録アーティストによるミニコンサートを実施しました。
講義は「地域を変えるアートのチカラ~地域芸術祭を中心として~」と題し、株式会社アートフロントギャラリー代表の北川フラムさんが登壇しました。北川さん自身が総合ディレクターを務める5つの芸術祭について、芸術祭が持つ意味と、芸術祭が地域においてどのような役割を果たすのか、実際に展示されたアート作品を紹介しながら、わかりやすくご講義いただきました。
北川さんから、芸術祭において、地域の資源を活用した作品をアーティストが制作することを通して地域の魅力を見せていく。そうすることで、地域はすべて違う、すべての地域が独自であることを示すことができる。そして、地元の人々の、地域に対する“プライド”が醸成されていくとのお話がありました。また、「瀬戸内国際芸術祭」では、開催期間の約100日間で、国内外の延べ8,000人のサポーターが無償で協力しています。やがていつかは自分の地域でも芸術祭を行いたい、という気持ちから参加をしているサポーターもいるそうです。
今回の講義では、アートを通じて人と人、場所と場所を繋ぐ、地域の資源を活用した芸術祭についてご紹介いただきました。世界はIT・AIの発展により均質化の傾向があり、その土地特有の歴史や文化がなくなってしまう恐れがある。そんな中、地域の伝統や文化、自然、生活などの資源をアートとして創作、発信し、色々な人に知ってもらうということは、地域を守るためにとても有効であり、社会問題をも解決できる可能性を秘めた芸術祭の意味や役割について、知見を広める貴重な機会となりました。
講義に続いて、地域創造おんかつ支援登録アーティストの小林厚子さん(ソプラノ)によるミニコンサートが行われました。コンサートでは、歌唱する曲目を、その曲の背景にふれながら紹介するとともに、受講者と一緒にオペラのワンシーンを再現するなど、受講者とコミュニケーションを取ることで、受講者はより音楽への興味を引き立てられました。
また、プログラムの中で、受講者と一緒に『ふるさと』を歌いました。誰もが知っている曲を、改めてプロの声楽家から発声方法を学び歌うことで、最初は戸惑っていた受講者も、後半は楽しみながら歌っていました。小林さんの力強い歌声にも引き込まれ、会場全体が一体感に包まれるミニコンサートとなりました。
北川フラムさんによる講義
小林厚子さん(ソプラノ)によるミニコンサート(ピアノ伴奏:藤原藍子さん)
問い合わせ
芸術環境部 内田
Tel. 03-5573-4185