クラシック音楽にふれる機会の少ない方や地域の方々にとって新たな発見や交流の場になることを目指し、工夫を凝らしたコンサートとアクティビティ(地域交流プログラム)を実施する「おんかつ」。令和5年度は、今年から一新した登録アーティストが全国15の地域に赴き、音楽を届けます。今号では、その中から名護市の模様をご紹介します。
名護市は、沖縄県の北部に位置する人口約6万4,000人の自然豊かなまちです。今回は、ソプラノ歌手の上田純子さんと共に、その豊かな「自然」と「音楽」の融合をテーマに、地域を大事にしている方々や未来を担う子どもたちに向けてアクティビティを実施しました。
嘉陽海岸のアクティビティでは、名護市の美しい日の出を眺めながら、ナポリ民謡でお馴染みの『オー・ソレ・ミオ』から始まり、上田さんと同じ宇都宮出身の童謡作家・野口雨情の『シャボン玉』と『七つの子』を演奏したほか、旧嘉陽小学校の校歌を一緒に歌いました。皆さんが懐かしみながら口ずさむ様子が印象的でした。後半では『ジャンニ・スキッキ』などを演奏し、オペラの魅力を存分にご紹介しました。
最終日のコンサートの1部では、かりゆし姿の上田さんが地元の三線奏者である宮城実咲さんと『童神』や『島人ぬ宝』を演奏し、観客の指笛や手拍子もあり、会場は一体感に包まれました。2部では、ドレスを纏って、『ラ・ボエーム』や『こうもり』などの有名なオペラを、観客を相手役に見立てた演奏や、翻訳をつけることでわかりやすく演奏し、最後は上田さんが自身にとって思い入れの強いトスカより『歌に生き、愛に生き』を見事に歌い上げました。ご来場の皆様からは「また上田さんに来てほしい」「初めてのオペラだったが感動した」と大変嬉しいお言葉をいただきました。
今回は名護市の自然を活かすため、全て野外でのアクティビティとなりましたが、名護市民会館の皆さんの経験の豊富さもあって実現できたものであり、上田さんの市民の方々との交流も大切にしながらもオペラを伝える姿勢は揺るぎなく、また、その演奏も素晴らしいものでした。
上田純子さんによるアクティビティとコンサート(沖縄県名護市)
令和5年度「公共ホール音楽活性化事業」参加団体(主会場/アーティスト/日程)
•山梨県笛吹市(笛吹市スコレーセンター/閑喜弦介/10月19日~21日)
•長野県安曇野市(安曇野市穂高交流センター「みらい」/カメハ/10月20日~22日)
•沖縄県名護市(名護市民会館/上田純子/10月20日~22日)
•長野県須坂市(須坂市文化会館/ Modétro Saxophone Ensemble /10月26日~28日) •三重県津市(津市久居アルスプラザ/ Modétro Saxophone Ensemble /11月9日~11日)
•兵庫県養父市(養父市立ビバホール/西村悟/11月15日~18日)
•富山県氷見市(氷見市芸術館/カメハ/11月21日~23日)
•秋田県能代市(能代市文化会館/カメハ/1月18日~20日)
•岡山県久米南町(久米南町文化センター/Modétro Saxophone Ensemble /1月25日 ~27日)
•岐阜県大野町(大野町総合町民センター/西村悟/2月2日~4日)
•兵庫県市川町(市川町文化センター/今田 篤/2月8日~10日)
•山形県鶴岡市(荘銀タクト鶴岡/Modétro Saxophone Ensemble /2月21日~23日)
•新潟県魚沼市(魚沼市小出郷文化会館/西村悟/2月21日~23日)
•大阪府茨木市(茨木市市民総合センター/今田篤/2月21日~23日)
•福岡県那珂川市(ミリカローデン那珂川/西村悟/3月21日~24日)
「公共ホール音楽活性化事業」に関する問い合わせ
芸術環境部 矢嶋・森永
Tel. 03-5573-4064