地域創造では、文化・芸術による地域づくりへの理解を深めていただくため、全国の市町村長を対象とする「市町村長特別セミナー」を実施しています。
今年は4月27日に、千葉県千葉市にある市町村職員中央研修所(市町村アカデミー)との共催でセミナーが開催され、文化・芸術による地域づくりについての講義とおんかつ支援登録アーティストによるミニコンサートを実施しました。
講義は「文化からはじまる地域の未来」と題し、株式会社ニッセイ基礎研究所 研究理事・芸術文化プロジェクト室長の吉本光宏さんが登壇しました。
人口減少と急速な高齢化・少子化が進む中、地域の活力をいかに維持していくかが、多くの自治体の課題となっており、その中で文化芸術の分野から地域活力の創出を図ろうとする取り組みについて、具体例を交えわかりやすくご紹介いただきました。
アートを起点とした地域活力の創出の例として「瀬戸内国際芸術祭」が挙げられましたが、島全体が観光資源となるだけでなく、島への移住者も増え、過疎化と高齢化に悩まされていた島に新たな活力をもたらしているとのことです。
今回の講義から文化芸術の可能性は非常に幅広く、アートを起点としたまちづくりや、地域の方々との交流プログラムなど関連分野での連携を通して、「ひと」や「まち」を元気にする事例をご紹介いただきました。そのためには、起爆剤である文化芸術への投資をまず行うことが重要であり、社会問題をも解決できる可能性を秘めた文化芸術の活用方法について、知見を広める貴重な機会となりました。
講義に続いて、地域創造おんかつ支援登録アーティストの石上真由子さん(ヴァイオリン)によるミニコンサートが行われました。コンサートでは、受講者とコミュニケーションを取りながら、演奏する曲目の紹介を行うとともに、ヴァイオリンの弓毛を一度外して実際にどんな毛が使われているのか説明するなど、普段のコンサートではなかなか見ることのできないアウトリーチならではの場面もありました。
楽器奏法の紹介では、ハッピーバースデー変奏曲を演奏し、聴きなじみのある曲が複雑なリズムや奏法により、さまざまな色をつけて変化していく様子に受講者からは驚きの声が上がっていました。演奏が終わった後は自然とアンコールが沸き起こるなど、ヴァイオリンの繊細かつ力強い音色や、多様な奏法の面白さに引き込まれ、会場全体が一体感に包まれるミニコンサートとなりました。
お問い合わせ
芸術環境部 天野
Tel. 03-5573-4185