一般社団法人 地域創造

令和5・6年度「公立美術館活性化事業」募集

 公立美術館活性化事業における4事業5種類のプログラムについて、令和5・6年度に実施する事業の参加館を募集します。

募集締切:2022年11月30日(水)

[Ⅰ]令和5年度準備・6年度開催「市町村立美術館活性化事業」

 この事業は、地域創造が提示する公立美術館の所蔵品を活用した共同巡回展を、市区町村の設置する美術館が共同で実施するものです。参加館で実行委員会を結成し、準備年度である令和5年度は学芸担当者会議等を行い、アドバイザーの助言のもと企画の具体化や調査研究、制作実務を参加館で分担して進めます。そして令和6年度に巡回展を開催します。
 地域創造は、準備年度・開催年度の2か年にわたる助成に加え、アドバイザーの派遣や制作実務に対する助言等により、事業の実施をサポートします。
 今年度募集するのは、令和6年度に開催予定の共同巡回展「熊本県立美術館所蔵 浜田知明展」(仮称)への参加館です。
 熊本県立美術館は、設立当初から郷土を代表する芸術家の一人として浜田知明を位置付け、彼についての調査・研究、そして作品の収集に努めてきました。同館が所蔵する浜田知明作品および資料は、現在のところ計753件。銅版画と彫刻に関してはほぼすべての作品を網羅しており、また若き日に制作したデッサンや油彩画も所蔵しているため、その画業と生涯は同館のコレクションのみで辿ることが可能です。とりわけ、彼の画業を代表する銅版画作品については、最大で3セットの同一作品を所蔵。これは同館の銅版画コレクションが、以下3種のコレクションによって形成されているためです。
•熊本県立美術館が独自に収集した、通称「Kコレクション」
•熊本の教育者・永野一成氏が収集した、通称「Nコレクション」(主に館外持ち出し用)
•浜田知明本人から寄贈を受けた、通称「Hコレクション」
※ただし、HコレクションはAP版などが多いため、貸し出しは最小限となります
 また、作品以外の資料の中には、銅版画の原版、銅版画作品の試刷、制作の元になったスケッチや下絵なども含まれています。これらの資料は、浜田知明の知られざる側面をも明らかにし得るものと言えるでしょう。熊本県立美術館よりご提供いただいた所蔵作品リストをご覧になりたい場合は、地域創造へお問い合わせください。ご応募お待ちしております。

 

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《初年兵哀歌(歩哨)》(1954年)
©Hiroko Hamada 2022/JAA2200079
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《アレレ…》(1974年)

 

 

 

 

 

●浜田知明について
 浜田知明(1917~2018)は、戦後日本を代表する銅版画家・彫刻家として知られています。熊本県に生まれた浜田は、弱冠16歳で東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学。藤島武二教室で油絵を学ぶ一方で、同時代のシュルレアリスム絵画や抽象絵画に刺激を受けながら青年時代を過ごしました。しかし時代が戦争へと向かう中、浜田は卒業後間も無く徴兵。過酷な初年兵時代を過ごした後には、中国・山西省で戦争を体験することになります。
 1945年、日本が終戦を迎えると同時に、浜田は一度熊本に復員しますが、その後再度上京し、戦争体験の絵画化を試みます。その中で彼が出会ったのが、銅版画という技法でした。1950年には第1作となる銅版画作品《初年兵哀歌(芋虫の兵隊)》を制作。以後制作・発表した銅版画作品群は、戦争の悲劇を表現するものとして、国内のみならず海外でも高く評価されることになります。そしてこれらの作品群の中から、後に〈初年兵哀歌〉と名付けられるシリーズが形成されてゆくのです。
 浜田知明といえば、戦争。代表作品群が〈初年兵哀歌〉であるが故に、しばしば彼の画業はそのように語られがちです。しかし、浜田の作品世界はより多様です。人間社会を風刺した、ユーモアたっぷりの作品もあれば、自らの内面を(どこか自虐的に)描き出した作品もあります。人間の顔や体の造形をシンプルな線描のみで描き出す実験的な作品もありますし、1983年から制作を開始した彫刻作品では、平面作品とはまた異なるモチーフへの関心も見られます。むしろそうした多様性を踏まえるならば、〈初年兵哀歌〉に関しても、従来とは異なる見方ができるかもしれません。本企画の開催が、浜田知明作品の新たな魅力の発見につながることを、期待します。 (熊本県立美術館 学芸普及課長 林田龍太)

[Ⅰ]「市町村立美術館活性化事業」参加申し込み方法

参加を希望する市町村立美術館が、直接地域創造に申し込みます(各美術館の設置者である地方公共団体の長の副申が必要です)。なお、参加決定後に共同巡回展実行委員会を設立していただきます。また、事業の参加に当たっては、準備年度に開催される実行委員会・学芸担当者会議への出席にかかる経費等についての予算措置が必要です。

[Ⅱ-①]令和5年度準備・6年度開催「公立美術館共同巡回展開催助成事業(2か年プログラム)」

[Ⅱ-②]令和5年度開催「公立美術館共同巡回展開催助成事業(単年度プログラム)」

 3館以上の公立美術館が共同で自主的に企画する、公立美術館の所蔵品を活用した共同巡回展に対し助成します。
 「2か年プログラム」は、令和5年度に企画の具体化や調査研究、出品交渉やカタログ編集等の準備作業を行い、令和6年度に巡回展を開催する事業を対象とし、準備年度150万円、開催年度2000万円を上限に助成します。(なお、開催年度助成金については、決定額の50%までの前金払い請求が可能です。)
 「単年度プログラム」は、令和5年度に開催される共同巡回展について、A.作品借用・展示関連経費への助成と、B.図録作成経費への助成のどちらかをご選択いただき、A.については500万円、B.については300万円を上限に助成します。

[Ⅱ-①]「公立美術館共同巡回展開催助成事業(2か年プログラム)」申請方法

•準備年度:各参加館が申請します。申請書類一式を代表となる館が取りまとめ、直接地域創造へ提出してください(各美術館の設置者である地方公共団体の長の副申が必要です)。なお、助成決定後に実行委員会を設立していただきます。
•開催年度:準備年度に助成決定を受けた共同巡回展実行委員会より申請します。

[Ⅱ-②]「公立美術館共同巡回展開催助成事業(単年度プログラム)」申請方法

各参加館が申請します。申請書類一式を代表となる館が取りまとめ、直接地域創造へ提出してください(各美術館の設置者である地方公共団体の長の副申が必要です)。なお、助成決定後に実行委員会を設立していただきます。

[Ⅲ]令和5年度実施「公立美術館共同巡回展企画支援事業」

 2館以上の公立美術館による、「公立美術館共同巡回展開催助成事業」の申請に向けた、企画内容の検討や調査研究等の取り組みを支援します。学芸担当者会議の開催や調査活動のための経費に対し、100万円を上限に助成する他、アドバイザーの派遣、会議室の提供、他の参加館募集の告知等による支援も行います。

[Ⅳ]令和5年度実施「公立美術館共同地域交流プログラム助成事業」

 2館以上の公立美術館が共同で企画する、公立美術館の所蔵品を活用した地域交流プログラムの実施に対し、100万円を上限に助成します。参加館や他の公立美術館のコレクションを活用した展覧会(異なる展覧会も可)に関連し、各館の展示内容やテーマ(作家、素材、技法、様式、モチーフなど)をもとに自主的に企画・実施される地域交流プログラムが対象です。

[Ⅲ]「公立美術館共同巡回展企画支援事業」および[Ⅳ]「公立美術館共同地域交流プログラム助成事業」申請方法

各参加館が申請します。申請書類一式を代表となる館が取りまとめ、直接地域創造へ提出してください(指定管理者制度を導入している施設の場合に限り、設置者である地方公共団体の長の副申が必要です)。なお、実行委員会の設立は必要ありません。

 

 

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*1 公立美術館活性化事業における美術館とは、博物館その他を含め、美術作品の公開および保管を行う施設をいいます。
*2 [Ⅰ]の開催年度および[Ⅱ]-①については、対象経費の合計額から収入を控除した額に対する助成率です。その他については、対象経費の合計額に対する助成率となります。

 

「公立美術館活性化事業」に関する問い合わせ

総務部 高野
Tel. 03-5573-4184

 

各事業の詳細については、実施要綱をご確認ください。各実施要綱および申請書類は、当財団ホームページからダウンロードできます。
https://www.jafra.or.jp/project/visual-art/01.html#boshu

 

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