初めてとなる登録演奏家のオーディションやガイダンスの模様についてはレターで紹介してきましたが、5月12日、13日には今年度事業を実施する8団体を対象にした全体研修会も実施されました。
コーディネーターによるレクチャーに加え、12日には池袋のとしま区民センターを会場に初代登録演奏家となった川田健太さん(箏・山田流、三絃)、藤重奈那子さん(箏・生田流、地歌三絃、十七絃)、棚原健太さん(歌三線)が助演者と共に各25分のプレゼンテーションを行いました。
最年少の川田さん(2001年生まれ)は洗足学園音楽大学現代邦楽コースに在学中の学生演奏家。オーディションのときの黒紋付きと異なり、若々しいパステルカラーの着物で谷富愛美さん(生田流)、風間禅寿さん(尺八)と登場。木槌で布を打つ「砧(きぬた)」のリズムを曲のモチーフにした「五段砧」を流派の異なる二人で合奏。また、西洋音階を使ったラテン音楽のような『エルサルバドル』で若さをアピールしていました。
藤重さん(1996年生まれ)も東京藝術大学大学院に所属する実力派の学士演奏家。大学からの同窓生だという助演の町田夢子さん(箏)や吉越瑛山さん(尺八)という息の合った仲間とチームを組み、座奏、立奏とスタイルを変えながら古典から現代曲まで多彩な曲を巧みに実演。3人の邦楽との出会い、曲の聞き所などバランスのとれたプレゼンテーションを展開しました。
沖縄伝統組踊「子の会(しーのかい)」に所属し、歌三線を継承する棚原さん(1993年生まれ)はこれまでも小中高校生にアウトリーチを行ってきた実践者です。プレゼンテーションでは、沖縄ポップスのルーツであり、歌が主役という琉球古典音楽について「うちなーぐち」の軽妙なトークで紹介。助演の入嵩西諭さん(琉球笛)、町田倫士さん(琉球箏)と共に古典から即興の歌詞で歌うラップのような琉歌まで披露しました。
全体研修会の様子
令和4年度「公共ホール邦楽活性化事業」実施団体一覧(全8団体)
秋田県大館市、茨城県鉾田市、埼玉県上里町、東京都練馬区、神奈川県座間市、新潟県魚沼市、富山県黒部市、和歌山県上富田町
令和4年度「公共ホール邦楽活性化事業」全体研修会プログラム
◎5月12日(木)
•事業概要説明(地域創造)
•アウトリーチ概論(児玉真)
•プレゼンテーションの聴き方
(邦楽コーディネーター)
•演奏家プレゼン
(川田健太、藤重奈那子、棚原健太)
•交流会
◎5月13日(金)
•公共ホールにとっての邦楽事業とは(伊藤由貴子)
•邦楽のいろは(谷垣内和子)
•市町村事例と邦楽公演の制作について(香川志帆・當銘弓佳(つくば市)、米澤浩)
•実施団体からのプレゼンテーション
•グループミーティング~企画案をまとめてみる~
「公共ホール邦楽活性化事業」に関する問い合わせ
芸術環境部 森永
Tel. 03-5573-4069
hougaku@jafra.or.jp