一般社団法人 地域創造

地域創造理事長 新年の挨拶

~新年のご挨拶~ 一般財団法人地域創造理事長 山本信一郎

 明けましておめでとうございます。
 当財団の事業にご支援・ご協力いただき、関係の皆様には心から御礼申し上げます。


 昨年は、文化・芸術にとってこれまで経験したことのない未曾有の年でした。


 「演じるために集まる」、「聴くために、観るために集まる」ことが文化・芸術の根本ですから、感染症の蔓延はその基盤そのものをゆるがすものでした。アーティスト、ホール関係者、自治体当局は未知の事態に直面し、「やるのか、やめるのか」、「それをいつ判断するのか」、「やるとしたらどのようにやるのか」、「やめて今後どうするのか」などの判断を迫られ、すべての人が懊悩したのではないでしょうか。当財団も同様でした。


 アーティストの皆さんは、表現の場をなくして途方にくれ、存在意義を自ら問われた方も多かったのではないかと思います。東日本大震災後のときは、避難場所などを訪れ演奏する、そしてその輪が広がっていったように文化・芸術の力が認識されましたが、今回は違いました。ある日突然、街が閉じてしまったのですから。制御できない、自分の意志ではどうにもならない事態、しかもグローバル化によって世界が同じようになってしまい、どこにも行きようがなくなってしまいました。お聞きしますと、演奏技術の維持、向上に努力されていたのはもちろんですが、いつ公演できるのかわからない状況ではテンションが上がらないということでした。オンラインで演奏を届ける試みも見られましたが、その努力に敬意を払うものの、やはり生の演奏とは全く異なるものです。音だけとっても、生の音は、芯のある輝かしい響き、それに霧か靄のようなしっとりとした薄いものが纏わりついているような感じがします。今回の事態が文化・芸術にどんな影響と変化をもたらすのか考えさせられます。


 当財団の事業も昨年秋ごろからぼつぼつ再開していきました。私は、狛江市、広島県府中市での公共ホール音楽活性化事業、いわき市のリージョナルシアター事業、富山市での公立美術館活性化事業に参加しました。狛江市では小学4年生へのピアノ、府中市では中学生へのヴァイオリンのアウトリーチでした。一流の演奏家の迫力ある生の演奏に圧倒されている様子がよく窺えました。いわき市では山あいの中学生7人(2校合同)が対象。地元に残る悲恋物語を生徒が演じ撮影しました。脚本の大枠は演出家が設定、一部のセリフは生徒が創り、近くの神社の境内や階段を舞台に演じ、校長先生やホール職員、我々もエキストラ出演して、まさにワークショップそのものでした。生徒たちは意外に「演じる」ことにうまく溶け込む様子でした。「演じる」という作法が、人との関係や社会との関わりをより豊かなものにしていく可能性を感じました。


 音楽、演劇、ダンス、美術などの文化・芸術は、今回、公衆衛生の見地からストップを余儀なくされましたが、文化・芸術は人間社会にとってなくてはならないものです。時代によってその意味合いは変化するものでしょうが、人にやすらぎや慰め、楽しみ、勇気を与えてくれます。そして文化・芸術は、日常を少し超える何かを与えてくれる気がします。ホールや劇場などは、そういう意味では日常生活とは異なるハレの時間と空間を与えてくれる存在でもあるのではないでしょうか。


 当財団では、職員一人一人がそれぞれの立場でアーティストを支え、公共ホールの声や要望に柔軟に耳を傾け、培ってきたノウハウや実力を力いっぱい活かして努力をしています。本年も、いまだ不透明な状況ですが、関係の皆様と力を合わせ、都道府県、市区町村のご支援をいただきながら文化・芸術による地域創造に邁進してまいります。


 本年が良い年になりますようお祈りをしまして、年頭のご挨拶といたします。

 

2021年1月

 

 

2021年1月~3月 地域創造事業スケジュール

当財団では年度末まで、全国各地でさまざまな事業を展開しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業が中止となる場合や、開催内容・日程等が一部変更となる場合がございます。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

1月

 

● 市町村立美術館活性化事業
瀬戸蔵ミュージアム・瀬戸市美術館所蔵「瀬戸焼 受け継がれる千年の技と美」(東根市公益文化施設 まなびあテラス)/〜1月31日
● 公共ホール現代ダンス活性化事業
神戸市Cプログラム(神戸アートビレッジセンター)/1月14日〜17日
福島県白河市Cプログラム(白河文化交流館コミネス)/1月28日〜31日
● 公共ホール邦楽活性化モデル事業
埼玉県上里町(上里町総合文化センター ワープ上里)/1月21日〜23日

 

2月

 

● 市町村立美術館活性化事業
瀬戸蔵ミュージアム・瀬戸市美術館所蔵「瀬戸焼 受け継がれる千年の技と美」(江別市セラミックアートセンター)/2月7日〜3月21日
● 公共ホール邦楽活性化モデル事業
埼玉県秩父市(秩父宮記念市民会館)/2月9日〜11日
● 公共ホール現代ダンス活性化事業
沖縄県浦添市Bプログラム(アイム・ユニバース てだこホール)/2月11日〜14日
愛知県小牧市Bプログラム(小牧市市民会館)/2月11日〜14日、23日〜27日
岩手県宮古市Bプログラム(宮古市民文化会館)/2月24日〜3月1日
● 第21回地域伝統芸能まつり(東京都・NHKホール)/2月21日
● ステージラボオンラインセッション/2月24日〜26日
● 公共ホール音楽活性化事業
山形県長井市(長井市民文化会館)/2月26日〜28日

 

3月

 

● 公共ホール現代ダンス活性化事業
沖縄県浦添市Bプログラム(アイム・ユニバース てだこホール)/3月4日〜8日
山形県鶴岡市Bプログラム(荘銀タクト鶴岡)/3月5日〜7日、24日〜29日
高知県土佐清水市Cプログラム(土佐清水市立市民文化会館 くろしおホール)/3月19日〜22日
● 公共ホール音楽活性化事業
滋賀県長浜市(木之本スティックホール)/3月11日〜13日