一般社団法人 地域創造

新理事長就任挨拶

〜就任のご挨拶〜一般財団法人地域創造理事長 山本信一郎

 一般財団法人地域創造の理事長に就任しました山本信一郎でございます。

 皆様のご支援をいただき、ともに手を携えて、文化・芸術の面から地域づくりのお役に立てるよう努力してまいりますので、何とぞよろしくご指導を賜りますようお願い申し上げます。

 我が国は豊かな成熱社会の中で、文化・芸術の分野でも、たとえばクラシック音楽では若い音楽家が内外のコンクールで多くの賞を獲得するなど優秀な演奏者が数多く存在しています。演劇、美術やダンス、邦楽などの分野でもそのレベルの高さと層の厚さには目を見張るものがあります。

 そういう中で、当財団の役割の第一は、良質の文化・芸術を地域にお届けし、地域の人たちが生の文化・芸術に触れることができるよう応援をすることです。特に感受性の豊かな子どものころから文化・芸術に接することは大事だと思います。私は福井の山村の生まれで、初めてオーケストラに接したのは成人してからでした。時代が変わっても、今の東京や大都市の子どもたちに比べ、地方の子どもたちは文化・芸術に触れる機会が少ない状況にあることは残念です。

 当財団のプログラムは文化・芸術の提供に併せて、ワークショップ的手法を取り入れることを重視しています。公共ホール関係者、そして地域の人や子どもたちと身近に触れ合いながら一緒に考えたり、作ったりする活動です。ワークショップは、啓蒙的な側面とともに、芸術家と地域の人がともに学びあい高めあう、時には創造的なものが生まれることもある、私はいわばそれ自体が文化であると理解しています。終わった後にプロの方が、今日はいい勉強をさせてもらったと感想を言われることもあるそうです。ワークショップの理念と手法については、常に原点に戻りつつ工夫を重ねて新たな創造性をめざしていく必要があると思います。

 地域での文化・芸術活動の活発化は地域の人たちの交流や社交を促すことが期待されます。文化・芸術に触れる日はハレの日です。みんなが集まり、楽しみ、会話がはずむ。以前は祭りがそうでした。祭りも大事です。文化・芸術を核に地域の人たちの生活が豊かになる地域づくりを支援していきたいと思います。

 おわりに、新型コロナウイルス感染症はいまだ予断を許さない状況です。関係の皆様におかれましては、大変ご苦労いただいております。当財団としましては、地域において身近で大切な文化・芸術を絶やさぬよう、皆様の声を受け止めながら、これからの時代にどのような事業をどのように展開すべきか新しい発想をもって柔軟に対応していきたいと考えています。ともに頑張りましよう。

 

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  • 山本信一郎(やまもと・しんいちろう)
    1950(昭和25)年福井県生まれ。1973(昭和48)年自治省入省。富山県、島根県、岡山県に勤務。自治省官房審議官(2000〜)、内閣府官房長(2005〜)、内閣府事務次官(2008〜09)、宮内庁次長(2012〜)、宮内庁長官(2016〜19)を歴任。

 

 

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