これまで全国各地の183の地域伝統芸能を紹介してきた「地域伝統芸能まつり」が、2月24日(日)にNHKホールで開催されました。今年のテーマは「躍る(おどる)~身も、心も、弾む。~」。日本各地の地域伝統芸能7演目と古典芸能1演目が披露され、直近10年間で最多となる2,600人を超える観客を魅了しました。
オープニングでは、この日の出演者が、地域伝統芸能まつりテーマ曲『曼陀羅21』に乗って一斉に登場し、会場を活気づけました。最初の演目は、岩手県盛岡市から「盛岡さんさ踊り」。「サッコラ チョイワヤッセ」の掛け声がリズミカルな太鼓の音色とともに、会場に響き渡り、ぴたりと揃った見事なフォーメーションに目が釘付けになりました。
次に登場したのは、熊本県熊本市から「熊本新町獅子舞」。赤と黄色の獅子舞が、ドラと笛の音に合わせて力強く舞いました。2頭の獅子が大きく首を振って踊る勇壮な姿に、引き込まれました。続いて、栃木県足利市から「八木節」。軽快なリズムに合わせて、コミカルで可愛らしい踊りを披露するのは、地元の足利女子高の創作ダンス部のメンバーたち。盆踊り唄の美声と女子高生ダンサー、足利八木節連合会の踊りがマッチし、独特の世界観を演出しました。
続いて、秋田県鹿角かづの市から「花輪ばやし」。壮大で豪華絢爛な屋台が、舞台の上をゆっくりと旋回。腰抜け屋台と言われる屋台には床がなく、演奏者たちは歩きながら、太鼓のバチを高く掲げてのパフォーマンスを披露しました。華やかな屋台と陽気なお囃子に、現地を訪れたかのような雰囲気を体感しました。
第2部は、フェスティバルのもうひとつの柱である古典芸能から始まりました。幕が上がると、ステージ上には能舞台が設置されています。今回は、狂言『呼声』(大蔵流)を、人間国宝の山本東次郎さんらが演じられました。わかりやすく楽しい演目に、自然と引き込まれました。
舞台は伝統芸能に戻り、山口県周南市から「三作みつくり神楽」。4人の舞人たちが、軽快なテンポで飛び跳ねたり、回転したりの踊りを見せました。ラストには吊るされた太綱を昇って降りるアクロバティックな演技に息を飲みました。
そして、宮城県気仙沼市から「早稲谷鹿踊わせやししおどり」。竹を割って結束した4メートル以上のササラを背中に立てた8頭の鹿が、腰に太鼓を下げ、頭には本物の鹿の角をつけて、囃し手役の化け坊主と唄いながらステップを踏みました。ザザンコザンザンという独特の太鼓のリズムで躍動感を演出しました。
最後に登場したのは、長崎県長崎市から「長崎くんち 龍踊じゃおどり」。舞台上には諏訪神社の桟敷が再現され、出演者が見守る中、全長20メートル、総重量150キロの龍体が、龍踊独特の音楽「唐楽拍子」に合わせ、まるで生きているかのように、勇ましくエキゾチックに舞台を泳ぎました。アンコールを意味する「もってこーい」の掛け声が鳴りやまず、会場の熱気は最高潮に達しました。
興奮冷めやらぬ中、全出演者が「まつり」の手ぬぐいを振ってのフィナーレ。客席からは、出演者の方々への敬意と今後への期待を込めた盛大な拍手が惜しみなく送られ、第19回地域伝統芸能まつりは幕を閉じました。
●第19回地域伝統芸能まつり
[会期]2019年2月24日(日)
[会場]NHKホール(東京都渋谷区)
[主催]地域伝統芸能まつり実行委員会、一般財団法人地域創造
[実行委員]板倉敏和、梅原猛、鎌田東二、香山充弘、菅康弘、下重暁子、田村孝子、安田充、山折哲雄、山本容子(50音順、敬称略)
※梅原猛委員におかれましては、平成31年1月12日にご逝去されました。ここに深く哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。
[後援]総務省、文化庁、観光庁、NHK
◎演目・出演自治体
・盛岡さんさ踊り(岩手県盛岡市)
・熊本新町獅子舞(熊本県熊本市)
・八木節(栃木県足利市)
・花輪ばやし(秋田県鹿角市)
・狂言「呼声」(大蔵流)
出演:山本東次郎ほか
・三作神楽(山口県周南市)
・早稲谷鹿踊(宮城県気仙沼市)
・長崎くんち 龍踊(長崎県長崎市)
●地域創造ウェブサイトで、当日の様子を動画によりご紹介しています。ぜひご覧ください。
http://www.jafra.or.jp/matsuri/