平成29年度リージョナルシアター事業の参加団体と派遣アーティストが集まりワークショップやディスカッション、打ち合わせを行う研修会が、4月24日(月)、25日(火)の2日間にわたって当財団事務所にて開催されました。今回は、今年度参加する8団体(福島県会津若松市、東京都豊島区、神奈川県、富山県高岡市、静岡県袋井市、京都府舞鶴市、広島県三次市、広島県廿日市市)から11人の事業担当者が参加し、交流を深めるとともに当事業の趣旨や可能性を共有する2日間となりました。
地域の課題やホールの展望などを踏まえながら、住民等を対象にしたワークショップや学校へのアウトリーチを行う当事業では、派遣アーティストと参加団体が協働しながらプログラムをつくり実施していきます。今回の研修では、ホールのやりたいことや抱える問題意識を派遣アーティストと共有するための相互の対話がさまざまな場面で行われました。
初日は派遣アーティストの福田修志さん(劇作家・演出家、劇団F’s Company代表)によるワークショップを体験。3チームに分かれてバラバラな写真を組み合わせて物語をつくっていきました。演劇的な手法を用いたワークショップの有効性について、神奈川県の藤岡審也さんは「身内で当事業を理解している人が少ないので職員向けにワークショップを行ってみたいです」と話し、実際にワークショップを体験することによって、企画実現にあたっての具体的なイメージをもつことができたようです。
続いて行った昨年度の事例紹介では、「創造的な地域になるとはどういうことか?」などをテーマに参加者同士の対話が進んでいきました。初めに当財団から「さまざまな考え方や文化を受け入れる寛容性や多様性が地域の創造性に繋がるのではないか?」という問題提起をし、アドバイザーの内藤裕敬さん(劇作家・演出家、南河内万歳一座座長)は「演劇は手段となっているが、アーティストとしての表現欲求が結果的に地域の課題と向き合うことになっているという点が大事」と指摘しました。これを受けて、従来の演劇事業に限らず、学校教育をはじめとしたさまざまな分野と連携していく地域のアートとしての可能性について活発な意見が交わされました。
2日目は前日の議論を踏まえて、参加団体による現時点での計画や事業実施後の展望についての発表が行われました。豊島区の杉田隼人さんからは「企画を立てる前にリサーチをして、課題をピックアップする必要を指摘していただきました。頭がパンクしそうにもなりましたが、同時に実のあるプログラムになりそうな予感と期待をもちました」と強い意欲が語られました。その後、派遣アーティストと参加団体による個別の打ち合わせを行い、2日間の研修会を締めくくりました。
●リージョナルシアター事業に関する問い合わせ
芸術環境部 戸舘・上木
Tel. 03-5573-4124