「市町村長特別セミナー」報告~全国の市町村長等65名が参加
毎年全国の市町村長等を対象に、文化・芸術による地域づくりへの理解を深めていただくために開催している「市町村長特別セミナー」が、4月24日に千葉市の市町村アカデミーにおいて開催されました。今回は地域創造の石川善朗常務理事より、地域にとって芸術・文化がいかに役立つかについて「人づくり」「福祉・医療」「産業」「コミュニティ」の4つの観点でレクチャーが行われました。
「芸術・文化は人を感動させ、人の想像力を高める働きがある。また、多様な表現にふれることによりさまざまな人の立場を理解できるようになるなど人づくりに大きな力がある。また、高齢者の自己表現や生きがいづくりの支援になるだけでなく、神戸市の医療産業都市で行われているアートプログラムのように患者の生きる力を生み出すお手伝いにもなる。山梨県立美術館の『種まく人』が観光資源になり、県のイメージアップになっているように産業振興にも繋がる。そして、地域で文化・芸術活動を通じてお互いに知り合い、仲間意識が醸成されることにより、仲間同士で楽しく、生きがいに満ちたまちづくりを住民主体で進めようという安心・安全・活力のあるコミュニティづくりに繋がる」とアピール。行政の対応事例やこうした領域に対する地域創造の支援事業も具体的に紹介されるなど、実用的なレクチャーとなりました。
また、財団の事業紹介の一環としておんかつ支援登録アーティストによるミニコンサートも行われました。コンサートに登場したのはヴァイオリニストの松本蘭さん(平成24・25年度登録アーティスト)とピアニストの山中惇史さんです。定番のエルガー作曲『愛の挨拶』に始まり、山中さんがアレンジした『誰も寝てはならぬ(オペラ『トゥーランドット』より)』、サラサーテ作曲『序奏とタランテラ』『ツィゴイネルワイゼン』と一瞬にして場の空気を変える迫力ある演奏が続きました。3歳からヴァイオリンを始めたきっかけ、右手を滑らかに動かすためのレガートという基本的な技術からスラースタッカートという高度な技術までの実演、山中さんが客席からのリクエストにより「ミ」「ソ」「ラ」の3音を使って作曲した即興作品の初見でのデュオ演奏、弦が切れるというアクシデントをカバーした見事なピアノソロなど。プロならではのパフォーマンスに最後は何度も大きな拍手が起こり、本物にふれることの効用を市町村長自らが実体験できた貴重な機会になりました。