●第17回地域伝統芸能まつり開催
●第17回地域伝統芸能まつり
[会期]2017年2月26日(日)
[会場]NHKホール(東京都渋谷区)
[主催]地域伝統芸能まつり実行委員会、一般財団法人地域創造
[実行委員]安齋尚志、板倉敏和、梅原猛、鎌田東二、香山充弘、佐藤文俊、下重暁子、田村孝子、山折哲雄、山本容子(50音順、敬称略)
[後援]総務省、文化庁、観光庁、NHK
◎演目・出演自治体
・エイサー
沖縄県うるま市
・御坊祭の「獅子舞」「四つ太鼓」
和歌山県御坊市
・浦浜念仏剣舞
岩手県大船渡市
・ひろしま安芸高田神楽
広島県安芸高田市
・狂言「梟山伏」
出演:野村又三郎ほか
・西馬音内盆踊り
秋田県羽後町
・東方組太鼓踊り
熊本県湯前町
・つきじ獅子祭
東京都中央区
今年の地域伝統芸能まつりは「妖(あやかし) ~惑わされ、引き込まれ、狂わされ~」をテーマに、NHKホールで2月26日に開催されました。日本各地の地域伝統芸能7演目と古典芸能1演目が披露され、2,400人以上の観客を魅了しました。
まずオープニング前に伝統的な手品「江戸手妻」を藤山大樹が披露。続くオープニングは、この日の出演者がテーマ曲『曼陀羅21』に乗って一斉に登場し、会場を活気づけました。
最初の演目は沖縄県うるま市の「エイサー」。沖縄の青い空と海を模した舞台で沖縄民踊に合わせて、パーランクーという片張りの太鼓を叩く色鮮やかな衣装の踊り手たちが舞台を埋め、華やかな幕開けとなりました。
次に、和歌山県御坊市の「御坊祭の“獅子舞”“四つ太鼓”」。力自慢の男性が12mの幟を差し上げ、獅子舞が勇ましく舞い、歌舞伎風化粧をした乗り子が叩く四つ太鼓が勢いよく舞台に担ぎこまれました。担ぎ手が太鼓台を高く持ち上げ、乗り子が大きく体を反らすと、会場からは歓声が上がりました。
岩手県大船渡市の「浦浜念仏剣舞」は、面を付けた踊り手が、供養のために香炉を掲げて焼香する動作で舞が始まり、続いて壮烈な剣舞と子どもたちの舞が披露され、舞の妙技に魅了されました。
広島県安芸高田市からは「ひろしま安芸高田神楽」を代表する「滝夜叉姫」が登場。きらびやかな衣装の登場人物たちが颯爽と舞い踊り、物語の展開とともに増す緊張感と舞の激しさに目が離せませんでした。
ここで趣向を変えて、古典芸能の狂言『梟山伏』が野村又三郎らによって演じられました。あやしげな梟に取り憑かれた狩人と山伏の滑稽な動作や「ホホーン」という鳴き声に笑いが溢れました。
そして、地域伝統芸能に戻り、地域伝統芸能まつり実行委員会の鎌田東二委員が秋田県羽後町の「西馬音内盆踊り」の起源や魅力を語り、石笛を奏でる中、幕が上がりました。やぐらの囃子方が唄い、舞台の両袖からは笠や頭巾で顔を覆った踊り手がゆったりと踊り出ます。踊り手たちが輪になると、舞台は夕方から夜に変わり、静かで幻想的な世界が広がりました。
続く熊本県湯前町の「東方組太鼓踊り」は、大きな兜をかぶった踊り手が源氏と平家に分かれて合戦の様子を表現します。抱えた太鼓を力強く打ち鳴らし、声を上げて入り乱れる迫力に観客は圧倒されました。
最後の演目は、東京都中央区の「つきじ獅子祭」が登場。巨大な重さ約1トンの雄獅子を男性120人が担ぎ、約700キロの雌獅子を女性100人が担ぎました。ワッショイと威勢よく獅子頭を担ぎ上げると、その熱気に会場が一体となって盛り上がりました。
会場の興奮が冷めやらぬ中、フィナーレには全出演者が再登場。客席からは、各地域で伝統芸能を保存・継承してこられた出演者の方々への敬意、そして今後への期待を込めた盛大な拍手が惜しみなく送られました。各地域の演目から伝統芸能がもつ魅力を再発見するとともに、その歴史や人々の暮らしに思いを馳せ、第17回地域伝統芸能まつりは幕を閉じました。