地域に日本の伝統音楽(邦楽)の魅力を広めるため、都道府県・政令市と市町村のホールが一体となって邦楽に取り組む「邦楽地域活性化事業」。今年度は、島根県芸術文化センター「グラントワ」を運営する公益財団法人しまね文化振興財団を中心に、公益財団法人浜田市教育文化振興事業団、公益財団法人江津市教育文化財団が連携して実施しています。8月の全体研修会、9月の手法開発研修会を経て、10月には島根県石見地方の3市で順次、地域交流プログラム(アウトリーチおよびホールワークショップ)が行われました。
浜田市を訪れたのは、石田真奈美さん、藤高理恵子さん、田野村聡さん。アウトリーチのテーマは「和楽器との出会い」。和楽器を始めた年齢が、幼少の頃、大学入学後、社会人になってからとメンバーそれぞれで違うことを紹介し、身近でいつでも始められる和楽器の魅力をアピール。ワークショップでは、箏・琵琶・尺八という楽器ごとに違うフレーズを練習した後、全体で合奏すると一つの音楽が出来上がる趣向で盛り上がりました。
江津市には、日原暢子さん、川村葵山さん、渡部祐子さんが訪問。山間の小学校・中学校と海辺の小学校を舞台に、虫や鳥の声、風の音など、自然を楽器で描写する邦楽の魅力を伝えました。ワークショップは「江津の秋」がテーマ。参加者全員で関係するキーワードを出し合い、それを組み合わせて物語をつくり、物語に合わせた音楽を即興で演奏していくなど、単なる和楽器の演奏体験ではない意欲的な内容となりました。
益田市の担当は、樋口千清代さん、三乙勢さん、森田博代さん。箏を演奏しながら歌を歌う山田流箏曲の魅力を伝えるため、用意された題材は江戸時代に作曲された『竹生島』。あらすじを紙芝居にして伝え、登場人物を絵にして示すなど、古典曲を小学生が飽きることなく聞けるための工夫がなされていました。一部分は子どもたちと一緒に歌い、演奏家との一体感も。ワークショップでは『七福神』という曲を箏と歌とで体験し、その相乗効果を楽しみました。
来る12月11日には、グラントワで3組9名の演奏家が出演するガラコンサートを開催。演奏家全員と地元グラントワ・ユース・コールによる合同演奏では、和楽器と合唱のために作られた曲『星の美しい村』を、琵琶を加えた新バージョンでお届けします。ぜひご来場ください。
●平成28年度邦楽地域活性化事業
◎地域交流プログラム
・浜田市
[演奏家]石田真奈美(代表者:箏曲)、藤高理恵子(琵琶)、田野村聡(尺八)
[日程]10月13日~15日
[主会場]石央文化ホール
・江津市
[演奏家]日原暢子(代表者:箏曲)、川村葵山(尺八)、渡部祐子(箏曲)
[日程]10月20日~22日
[主会場]江津市総合市民センター
・益田市
[演奏家]樋口千清代(代表者:箏曲)、三乙勢(箏曲)、森田博代(箏曲)
[日程]10月27日~29日
[主会場]いわみ芸術劇場(島根県芸術文化センター「グラントワ」)
◎総括公演プログラム
・ガラコンサート
[日時]12月11日 14時開演
[会場]いわみ芸術劇場(島根県芸術文化センター「グラントワ」)
◎問い合わせ
総務部 磯部・鈴江
Tel.03-5573-4143