●第16回地域伝統芸能まつり
[会期]2016年2月28日(日)
[会場]NHKホール(東京都渋谷区)
[主催]地域伝統芸能まつり実行委員会、一般財団法人地域創造
[実行委員]安齋尚志、梅原猛、梶田信一郎、鎌田東二、香山充弘、佐藤文俊、下重暁子、田村孝子、山折哲雄、山本容子(50音順、敬称略)
[後援]総務省、文化庁、観光庁、NHK
◎演目・出演自治体
「黒石ねぷた祭り」青森県黒石市
「唐桑の大漁唄込」宮城県気仙沼市
「大國魂神社の大和舞」福島県いわき市
「秩父屋台囃子」埼玉県秩父市
「御陣乗太鼓」石川県輪島市
「継ぎ獅子」愛媛県今治市
「府招の浮立」佐賀県伊万里市
半能『草紙洗』(宝生流)宝生和英ほか
日本各地で脈々と受け継がれている地域伝統芸能や古典芸能が一堂に会する「地域伝統芸能まつり」が、2月28日(日)にNHKホールで開催されました。今年は「和(わ) ~踊り、祈り、癒し、和む~」をテーマに、日本各地の地域伝統芸能7演目と古典芸能1演目が披露され、2,000人以上の観客を魅了しました。
最初の演目は、石川県輪島市の「御陣乗太鼓」。荒波の日本海を模した舞台に、夜叉や幽霊などの面を着けた保存会の6人が次々に繰り出し、面に応じた太鼓打ちを披露。ダイナミックな太鼓の大乱打が会場いっぱいに響き渡り、迫力ある幕開けとなりました。
続いて、福島県いわき市の「大國魂神社の大和舞」。当神社に伝わる出雲流神楽で、今回は現在伝えられている7座から「猿田彦舞」と「恵比寿舞」を演舞。にぎやかな笛と太鼓に合わせて、恵比寿や道化師の面を着けた舞手が大和舞を披露しました。
宮城県気仙沼市の「唐桑の大漁唄込」は、300年以上の歴史ある祝い唄。東日本大震災後に存続の危機に見舞われたものの、「震災復興応援歌」として再出発。今回は2つの保存会の40人が色鮮やかな「大漁肴袢」を身にまとい、海の男の勇ましい歌声を響かせました。
愛媛県今治市からは「継ぎ獅子」が登場。今治城のセットを背景に、三継ぎ、四継ぎ、そしてホール天井に届くほどの高さの五継ぎが出来上がっていく様子に、客席からは何度も歓声が上がり、会場がひとつとなって出演者を応援しました。
ここで本フェスティバルのもうひとつの柱である古典芸能として、宝生和英他による半能『草紙洗』(宝生流)が披露されました。にぎやかな地域芸能から一転、ステージには能舞台が組まれ、厳かな雰囲気の中、優雅なひとときに観客は魅了されました。
引き続き地域伝統芸能の埼玉県秩父市の「秩父屋台囃子」が登場。日本三大曳山祭のひとつである秩父夜祭でのお囃子を、今回は6つの町会から子どもと大人の2つの選抜チームが演奏。夕焼けから夜景へ変わる情景の中で、軽快なリズムが会場を盛り上げました。
続く佐賀県伊万里市の「府招の浮立」は、踊りを主とした踊浮立の代表的なもの。地区の全115世帯が保存会会員として子どものときから練習に励んでおり、色とりどりの華麗な衣装を身に着けた舞手が、舞いながら大太鼓を打つ2演目を披露しました。
トリを飾ったのは、青森県黒石市「黒石ねぷた祭り」。青森から運ばれた「扇ねぷた」と「人形ねぷた」がステージいっぱいに交差し、子どもたちを含む75人が黒石独自のお囃子を演奏。華麗で勇壮な造形美を誇るねぷたと、笛・太鼓や掛け声の響きに、会場は大いに盛り上がりました。
会場の興奮が冷めやらぬなか、フィナーレには全出演者約200人が再登場。客席からは、各地域で芸能を保存・継承してこられた方々への敬意、そして今後への期待を込めた盛大な拍手が惜しみなく送られ、今回のテーマ「和」にふさわしい、まさに日本各地の人々が調和し、「和の心」を胸に刻む、和やかな時間となりました。