平成28・29年度に公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)登録アーティストとして活動する7名のアーティストの実地研修を行いました。今回の実地研修の受け入れ先は、中標津町総合文化会館(北海道)、舞鶴市総合文化会館(京都府)、勝央文化ホール(岡山県)の3か所。これらの施設は、実際におんかつ事業を実施した後も継続してアウトリーチ活動を実施しているベテラン施設であると同時に、「地域のプロ」でもあります。それぞれのアーティストは、このように地域と関わっているホール職員やコーディネーターの意見を聞きながら、プログラムづくりから実践までを行いました。
舞鶴市を訪問したのは、加藤文枝さん(チェロ)、塚越慎子さん(マリンバ)、ヴィタリ・ユシュマノフさん(バリトン)です。いずれも素晴らしい演奏で子どもたちを魅了したのはもちろん、加藤さんは絵を見ながら音楽を聴いて自由に発想するプログラムで、勉強とは違う音楽の楽しみ方を提示、塚越さんは子どもたちが自分で考えたボディパーカッションと共演、ヴィタリさんは声の振動が視覚でわかる工夫をするなど、さまざまに趣向を凝らして音楽の面白さと奥深さを伝えました。
中標津町を訪問したのは、喜名雅さん(テューバ)、坂口昌優さん(ヴァイオリン)です。ホール担当者の意見や長年培ってきたノウハウを取り入れながら、喜名さんは自身の経験から諦めずに自分の描いた夢を追い続けることの大切さを、坂口さんはそれぞれの感じ方を大切に音を楽しむことを、アウトリーチを通して子どもたちに伝えました。受け入れ学校である計根別学園は、1~9年生の小中一貫校で、中標津町の豊かな自然に囲まれた環境で過ごす子どもたちは、他学年との交流も豊富で、活発な様子でした。
福川伸陽さん(ホルン)、岩崎洵奈さん(ピアノ)が訪れた勝央町では、前日のランスルー後の意見交換の場でホール担当者の地域にかける熱い思いにふれることができました。また、翌日のアクティビティでは、福川さんも岩崎さんも子どもたちと言葉のキャッチボールを大切にして交流を深めましたが、二人がプログラムの中で自分の人生や子どもたちの将来にふれたことについて、先生方から学校で力を入れているキャリア教育と合致するとうかがい、アーティストが担うことができるもうひとつの役割を見出す機会にもなりました。
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昨年、地域創造会議室で実施した集合研修と、今回の実地研修でアーティスト研修は終了し、4月19日(火)には平成28年度おんかつ実施団体向けの公開プレゼンテーションを実施します。アーティスト自身の個性と楽器を組み合わせ、どのようなアプローチの方法でプレゼンを披露してくれるでしょうか。公開プレゼンテーションのご観覧を希望される方は、同封のチラシに必要事項をご記入の上、お申し込みください。
●公共ホール音楽活性化事業に関する問い合わせ
芸術環境部 下川・水上
Tel. 03-5573-4069