公立美術館活性化事業では、既存事業および昨年度新設事業を再編し、4事業5種類のプログラムとしました。今回は、平成28、29年度に実施される事業の参加館を募集します。
[Ⅰ]平成28年度準備・29年度開催「市町村立美術館活性化事業」
この事業は、地域創造が提示する、公立美術館の所蔵品を活用した共同巡回展を、市区町村の設置する美術館が共同で実施するものです。
今回、平成29年度開催の共同巡回展として、三重県立美術館の協力による、「元永定正展三重県立美術館コレクションを中心に(仮称)」の参加館を募集します。
元永定正(1922~2011)は現在の三重県伊賀市の出身です。初め漫画家を志しましたが、郷里で洋画家の濱邊萬吉に師事して油絵制作を始め、1952年に神戸に移り抽象作品を描くようになります。芦屋市展への出品を通じて吉原治良と知り合った元永は、55年に吉原主宰の「具体美術協会」に参加。以後、「具体」を活動の拠点とし、50年代後半から60年代なかば頃にかけて、鮮やかな色彩をキャンバス上に流したアンフォルメルの大作を発表して、国内外での評価を固めました。また、66年に渡米してアクリル絵具やエアブラシと出合ってからは、スタイルを大きく変え、明るい色彩によるユーモラスな形が登場する作品を制作するようになります。ファニーアートと呼ばれる70年代以降の元永作品は、難解と思われがちな抽象絵画のイメージを一新して、多くの支持を得ました。
この事業では、参加館による実行委員会を結成し、平成29年度に巡回展を開催するほか、準備年度事業として、平成28年度から学芸担当者会議等を行い、アドバイザーの助言の下、企画の具体化や調査研究、制作実務を分担して進めます。
地域創造は、準備年度、開催年度の2か年にわたる助成に加え、アドバイザーの派遣や制作実務に対する助言等により、事業の実施をサポートします。
●三重県立美術館元永定正コレクションについて
元永定正が三重県伊賀市の出身であることから、三重県立美術館では開館当初から作品の収集に努めるとともに、1991年と2009年に個展を開催しました。2012年にご遺族から寄贈を受けた46点の作品を含め、現在では絵画、タペストリー、版画、立体など69件の元永作品を収蔵しているほか、初期作品の寄託を受けています。
[Ⅱ─①]平成28年度準備・29年度開催「公立美術館共同巡回展開催助成事業(2か年プログラム)」
[Ⅱ─②]平成28年度開催「公立美術館共同巡回展開催助成事業(単年度プログラム)
3館以上の公立美術館が共同で自主的に企画する、公立美術館の所蔵品を活用した共同巡回展に対し助成します。これまでは「公立美術館巡回展支援事業」として準備年度、開催年度の2か年での助成でしたが、昨年度、開催年度のみの助成を新設し、今回から「公立美術館共同巡回展開催助成事業(2か年プログラム)」と「同(単年度プログラム)」として再編しました。
「2か年プログラム」は、平成28年度に企画の具体化や調査研究、出品交渉やカタログ編集等の準備作業を行い、平成29年度に巡回展を開催する事業を対象とし、準備年度150万円、開催年度2,000万円を上限に助成します。(今回より、開催年度助成金について、決定額の50%までの前金払い請求を可能としました。「単年度プログラム」は、平成28年度に開催される共同巡回展について、A.作品借用・展示関連経費への助成と、B.カタログ作成経費への助成のどちらかをご選択いただき、A.については500万円、B.については300万円を上限に助成します。
[Ⅲ]平成28年度実施「公立美術館共同巡回展企画支援事業」
2館以上の公立美術館による、「公立美術館共同巡回展開催助成事業」の申請に向けた、企画内容の検討や調査研究等の取り組みを支援します。地域創造は学芸担当者会議の開催や調査活動のための経費に対し、100万円を上限に助成するほか、アドバイザーの派遣、会議室の提供、他の参加館募集の告知等による支援も行います。
[Ⅳ]平成28年度実施「公立美術館共同地域交流プログラム助成事業」
2館以上の公立美術館が共同で企画する、公立美術館の所蔵品を活用した地域交流プログラムの実施に対し、100万円を上限に助成します。参加館や他の公立美術館のコレクションを活用した展覧会(異なる展覧会も可)に関連し、各館の展示内容やテーマ(作家、素材、技法、様式、モチーフなど)を基に自主的に企画・実施される地域交流プログラムが対象です。
募集締切:平成27年11月30日(月)
●[Ⅰ]「市町村立美術館活性化事業」参加申し込み方法
参加を希望する市町村立美術館が、直接地域創造に申し込みます(各美術館の設置者である地方公共団体の長の副申が必要です)。なお、参加決定後に実行委員会を設立していただきます。また、事業の参加に当たっては、準備年度に開催される実行委員会・学芸担当者会議への出席に係る経費等についての予算措置が必要です。
●[Ⅱ-①]「公立美術館共同巡回展開催助成事業(2か年プログラム)」申請方法
・準備年度:各参加館が申請します。申請書類一式を代表となる館が取りまとめ、直接地域創造へ提出してください(各美術館の設置者である地方公共団体の長の副申が必要です)。なお、助成決定後に実行委員会を設立していただきます。
・開催年度:準備年度に助成決定を受けた実行委員会より申請します。
●[Ⅱ-②]「公立美術館共同巡回展開催助成事業(単年度プログラム)」申請方法
各参加館が申請します。申請書類一式を代表となる館が取りまとめ、直接地域創造へ提出してください(各美術館の設置者である地方公共団体の長の副申が必要です)。なお、助成決定後に実行委員会を設立していただきます。
●[Ⅲ]「公立美術館共同巡回展企画支援事業」および[Ⅳ]「公立美術館共同地域交流プログラム助成事業」申請方法
各参加館が申請します。申請書類一式を代表となる館が取りまとめ、直接地域創造へ提出してください(指定管理者制度を導入している施設の場合に限り、設置者である地方公共団体の長の副申が必要です)。なお、実行委員会の設立は必要ありません。
お知らせ─本年度「公立美術館共同巡回展企画支援事業」実施館が、平成28・29年度「公立美術館共同巡回展開催助成事業」申請に向けて参加館を募集中。
本年度の「公立美術館共同巡回展企画支援事業」として、新見美術館(岡山県新見市)と蘭島閣美術館(広島県呉市)が、両館の立案による「魅せる日本画─伝統と創造─(仮称)」展の企画検討作業を行っています。現在両館は、平成28年度準備・29年度開催の「公立美術館共同巡回展開催助成事業(2か年プログラム)」への申請に向けて、参加館を募集しています。
現段階での企画案では、日本画独特の技法や様式に着目し、参加館の所蔵作品を中心とした出品作品を、日本画の「技」によるテーマに分け展示。それぞれのテーマに沿って展示設備や解説等を工夫し、日本画のもつ魅力をわかりやすく伝えるというものです。また、美術教育の視点も取り入れ、幅広い年齢層の鑑賞者に興味、関心をもってもらえる展覧会を目指したいとのことです。
ご興味のある館は、新見美術館、蘭島閣美術館の担当学芸員へ、直接お問い合わせください。
◎新見美術館
Tel. 0867-72-7851 担当学芸員:藤井茂樹
◎蘭島閣美術館
Tel. 0823-65-3066 担当学芸員:吉川(きっかわ)昌宏
●「公立美術館活性化事業」に関する問い合わせ
総務部 布施、中澤
Tel. 03-5573-4143
●各事業の詳細については、実施要綱をご確認ください。各実施要綱および申請書類は、当財団のウェブサイトhttp://www.jafra.or.jp→「様式箱」よりダウンロードできます。