一般社団法人 地域創造

「平成26年度 地域の公立文化施設実態調査」① 全体概要

地域創造では、公立文化施設の整備状況と管理運営の実態を把握するため、財団設立以来、ほぼ5年に一度の割合で、「地域の公立文化施設実態調査」を実施してきた(前回は平成19年度)。調査対象は、設置団体である地方公共団体および「ホール施設」「美術館」「練習場・創作工房」である。今号から数回にわたり、昨年度実施された最新調査から主な結果を紹介する。

公立文化施設数

 今回調査での公立文化施設の数は、全体で、3,588館(複合施設があるため延べ施設数は3,927)となった[表1]。施設の内容ごとに見ていくと、「専用ホール」が1,490施設、「その他ホール」が1,566施設、「美術館」が638施設、「練習場・創作工房」が233施設となっている。
  平成19年度調査(平成18年度実績)で延べ施設数が4,183施設だったのと比較すると、調査手続きが異なることに留意する必要はあるが、この6年で6.1%減少した(ちなみに、この6年間には、合併特例法の改正により1999年から2006年までで市町村数が3,232から1,821に減少した「平成の大合併」や東日本大震災など大きな環境変化があった)。内訳を見ると、「その他ホール」が2,029施設から1,566施設へと22.8%の大幅減になっているのに対し、「美術館」「練習場・創作工房」は僅かに減少、逆に「専用ホール」は1,254施設から1,490施設へと18.8%増加している。
  設置主体別の館数を見ると、都道府県が225館で全体の6.3%、政令市が302館で8.4%、市区町村が3,059館で85.3%、広域行政が2館で0.1%を占めている。平成19年度調査との比較では、市区町村が3,391館から3,051館へと10.0%減少したのが目立つ。

管理運営形態・指定管理団体

 各館の管理運営形態を見ると、指定管理が1,526館(42.5%)、直営が2,035館(56.7%)となっており、平成19年度調査で指定管理が全体の35.2%だったのと比較するとこの6年で直営から指定管理への移行が進展したことがうかがえる。また、指定管理施設1,526館の内、約4割の604館が非公募であり、非公募手続きが通例になっている[表1]。
  設置主体との関係を見ると、公募・非公募を合わせて、都道府県施設で全体の69.4%、政令市施設では77.8%が指定管理となっているのに対し、市区町村では37.1%に止まる。また、市区町村を人口別に見ると、人口が少ないほど指定管理が占める比率が下がっている[図1]。また、施設内容別で見ると、指定管理の比率が最も高いのは「専用ホール」の60.3%で、次いで「練習場・創作工房」の51.5%が続く。一方、「美術館」(34.5%)、「その他ホール」(30.2%)は比較的低い[図2]。
  指定管理団体の種別を見ると、全体で最も多いのは「公益財団法人」の37.5%で、次いで「株式会社、有限会社など(営利法人)」18.4%、「共同事業体(JV)などのコンソーシアム」(1 1 . 3 % )となっている。非公募指定管理施設で見ると、「公益財団法人」の比率が55.6%と圧倒的に多く、次いで一般財団法人13.1%となっている[表2]。また、指定管理期間は、2年以下(4.3%)、3年(18.2%)、4年(7.6%)、5年(64.6%)、6年以上(5.4%)だった。

施設の開館年

 1990年から99年までに開館した施設が最も多く、全体の36.4%を占める。次いで1980年代、2000年代となるが、2000年代後半から2010年代にかけては大きく開館数が減少している。施設内容別でみてもほぼ同様の傾向となっているが、「練習場・創作工房」のみは、ピークが1990 年代後半なり、と若干遅れている[図3]。

 

表1 公立文化施設の概況(設置主体調査結果)

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図1 管理運営形態(設置主体別)

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図2 管理運営形態(施設内容別)

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表2 指定管理団体種別

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図3 開館年別施設数(施設の内容別/累計)

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●平成26年度「地域の公立文化施設実態調査」調査概要
◎調査対象
公立文化施設のうち、「ホール(専用ホール、その他ホール)」、「美術館」、「練習場・創作工房」およびそれらを含む「複合施設」と、施設の設置団体にあたる地方公共団体。
◎調査時期
平成26年9月~11月
◎調査方法
全国の地方公共団体の文化振興ご担当者に、当該団体が設置主体となっている調査対象施設を記入する「施設設置一覧記入票」と「地方公共団体向け調査票」、「施設調査票」を配布。当該団体において「施設設置一覧記入票」と「地方公共団体向け調査票」の記入および「施設調査票」の各施設への配布と取りまとめをしていただいた。
なお、今回は一般財団法人地域創造の独自調査として行い、前回の調査(平成19年度)とは配付・回収方法が異なる。
◎調査回収数
・地方公共団体での対象施設確認数
3,588館 延べ3,927施設(「専用ホール」1,490、「その他ホール」1,566、「美術館」638、「練習場・創作工房」233)
・館からの施設調査票の有効回収数
3,416館 延べ3,772施設(「専用ホール」1,452、「その他ホール」1,483、「美術館」608、「練習場・創作工房」229)
・地方公共団体票の有効回収数
1,623(都道府県47、政令市20、市区町村1,556、広域行政2)

●調査研究に関する問い合わせ
芸術環境部 宇野・角南
Tel. 03-5573-4066

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