一般社団法人 地域創造

平成27年度「公共ホール音楽活性化事業」全体研修会報告

平成27年度公共ホール音楽活性化事業全体研修会
2015年4月13日~15日

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写真
左上:平成26・27年度公共ホール音楽活性化事業登録アーティストによるプレゼンテーション。森岡有裕子さん(フルート)
右上:金子三勇士さん(ピアノ)
左下:赤丸急上昇によるダンスワークショップ
右下:3日目に行われたグループディスカッション。おんかつコーディネーターと共に事業目的を整理し、具体的な企画内容を検討・発表した

 平成27年度公共ホール音楽活性化事業(おんかつ)の参加団体やコーディネーター、登録アーティストが一堂に会する全体研修会が、4月13日から15日まで地域創造会議室とHAKUJUホールを会場にして開催されました。今回の研修会では、2年目となる平成26・27年度登録アーティスト7名による公開プレゼンテーションに加え、今年度事業に参加する担当者を対象にしたワークショップやレクチャーが行われました。

 

●平成27年度「公共ホール音楽活性化事業」全体研修会スケジュール
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●ユニークな事例に学ぶ
 今年度のおんかつ参加者を対象にした研修では、お互いの交流を図ることを目的に、公共ホール現代ダンス活性化事業(ダン活)支援登録アーティストの赤丸急上昇(赤松美智代さん、丸山陽子さん)によるワークショップが行われました。その後、おんかつについての心構えや実際の担当者、アーティストから事例を学ぶ講義が行われました。
  亀山市文化会館(三重県)の事例では、ホール担当者の野間秀一さんから新居由佳梨さん(ピアノ)との取り組みを学びました。おんかつを活用して地域にクラシック音楽に興味をもつ人を増やす仕組みづくりをしたいと考えた野間さんは、当初から教育委員会と緊密に連携してアクティビティの時間枠の拡大などを実現。「一生忘れない曲をつくる」をコンセプトに、新居さんが弾く『水族館.動物の謝肉祭より』でイメージした絵を描くアクティビティ(曲のタイトルはコンサート当日発表)を行いました。会館ウェブサイトにも演奏をアップして広く絵を募集し、会場での展示や演奏中に投影する映像として活用。また、親や地域の方々にもクラシックに親しんでもらえるよう「クラシック音楽をもっと楽しむミニノート」を作成して配布しました。
  「同じアーティストを地域で応援しながら一緒に音楽で地域を活性化できればと、ずっと新居さんにお願いしています。2年目は子どもたちが描いた絵で新居さんが物語をつくり、3年目は地元のイラストレーターが参加するなど、ステップアップを図っています」と野間さん。おんかつコーディネーターの山本若子さんは、「企画を考える前に、おんかつをどのような目的で活用するかを明確にしておく必要がある」と説いていました。
  奄美大島の龍郷町体育文化センターりゅうゆう館の事例では、「地域に根づいている島唄を生かしたい」という会館のコンセプトを実現したプロセスがアーティストの立場から紹介されました。参加したのは亀井良信さん(クラリネット)と鈴木慎崇さん(ピアノ)によるデュオ・レゾネで、「我々はクリエーター(作曲家)ではないので、島唄は聴いて良いなと思うけど、最初は演奏家として弾くことが全くイメージできなかった」と鈴木さん。試行錯誤の末、西洋楽譜になっていない島唄の中から何とか楽譜にできそうな3曲を選び、原曲の良さを損なわないように編曲することでコンセプトを実現した、とのこと。コーディネーターの丹羽徹さんは、「地域の資源を生かしたいというのは素晴らしいことだが、違うジャンルの音楽とコラボレーションするのはとても大変。どちらもつまらない音楽に聞こえてしまったら元も子もない。今回は地元のいい協力者に巡り会えたこともあって実現できた」と振り返っていました。
  このほか、グループ別の企画ワークショップなども行われ、充実した研修となりました。

 

●2年目の自信に満ちたプレゼンテーション
 2日目に行われた平成26・27年度登録アーティストによる公開プレゼンテーションは、2年目ということもあり、自信に満ちたプレゼンテーションとなりました。
  アウトリーチでは子どもたちに自らをフルートでいろいろな色や情景を描く魔法使いと名乗っているというトップバッターの森岡有裕子さん(フルート)、現代的にアレンジした『カノン』などで歴史の浅い楽器であるサックスの魅力をアピールした田村真寛さん(サクソフォン)、マイムのような十八番の『ここにボールはない』や朗読と演奏による『たんぽぽとコンクリート』など“演じる打楽器奏者”としての個性が定着した前田啓太さん(打楽器)、思いを伝えることができる声楽の歌詞の世界を伝えた廣田美穂さん(ソプラノ)、多彩な曲目で演奏することの楽しさを身体全体で表現した高見信行さん(トランペット)、オペラを演じることの魅力を全面に押し出し、まるでワンマンショーを見ているようなステージを展開した中井亮一さん(テノール)と、それぞれの個性を力強くアピールしていました。
  なかでも印象的だったのは、昨年ほぼ演奏だけだった金子三勇士さん(ピアノ)。ユーモアを交えながらトークでも勝負しました。参加館の担当者をステージに上げて好きな場所で自由に聞いてもらう『英雄ポロネーズ』、自らのテーマ曲だと言う『ハンガリー狂詩曲』を男性ピアニストならではの迫力の演奏で披露しました。

 

●平成26・27年度公共ホール音楽活性化事業登録アーティスト
・金子三勇士(ピアノ)
・森岡有裕子(フルート)
・高見信行(トランペット)
・田村真寛(サクソフォン)
・廣田美穂(ソプラノ)
・中井亮一(テノール)
・前田啓太(打楽器)

●公共ホール音楽活性化事業に関する問い合わせ
芸術環境部 下川・水上
Tel. 03-5573-4069
onkatsu*jafra.or.jp(*を@にかえてご利用ください)

●平成27年度「公共ホール音楽活性化事業」参加団体一覧(全14団体)
岩手県宮古市(宮古市民文化会館)/山形県南陽市(南陽市文化会館)/宮城県加美町(加美町中新田文化会館)/福島県白河市(白河市民会館)/東京都町田市(和光大学ポプリホール鶴川)/富山県高岡市(高岡市民会館)/静岡県川根本町(川根本町文化会館)/静岡県裾野市(裾野市民文化センター)/滋賀県長浜市(浅井文化ホール)/広島県呉市(呉市文化ホール)/山口県山口市(クリエイティブ・スペース赤れんが)/山口県下関市(下関市川棚温泉交流センター)/佐賀県白石町(有明スカイパークふれあい郷 自有館ホール)/長崎県時津町(とぎつカナリーホール)

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