平成27年度 一般財団法人地域創造事業計画
Ⅰ 事業の目的
地域住民が良質な文化・芸術を創造し、享受することができるようなゆとりと潤いに満ちた健やかな地域社会の実現に資するため、地方公共団体との緊密な連携の下に、地域における創造的な文化・芸術活動のための環境づくり等に資する事業等を行い、もって美しく心豊かなふるさとづくりの推進に寄与することを目的とする。
Ⅱ 事業の内容
平成27年度において、次の事業を実施する。
1.研修交流事業
地域の文化・芸術環境づくりに取り組む公共ホール、劇場、美術館等の職員及び地方公共団体の職員等を対象とした研修交流事業を次のとおり実施する。
(1)ステージラボ・アートミュージアムラボ
事業の企画制作能力等の向上を図るため、①地域の公共ホール・劇場及び文化・芸術に携わる地方公共団体の職員を対象とした研修「ステージラボ」、②公立美術館等の職員を対象とし、美術部門に特化した研修「アートミュージアムラボ」を実施する。
(2)文化政策セミナー
地域における文化・芸術活動についての理解を深めるため、市町村長及び地方公共団体の文化行政担当幹部職員を対象に、セミナー等を実施する。
(3)都道府県・政令指定都市文化行政担当課長会議
文化・芸術振興等についての理解を深め、地域創造と各地方公共団体との連携を一層強化するため、都道府県及び政令指定都市の文化行政担当課長等を対象に、意見交換等を実施する。
(4)リージョナルシアター事業
地域交流プログラム(※)の実施に必要な基礎知識と共通認識の習得及び地域に根ざした企画能力等の向上を図るため、研修会を実施後、公共ホールに派遣した演劇の表現者とともに公共ホールの職員が地域に応じたプログラムを企画、検討し、地域で演劇の手法を活用したワークショップを実施する。
(※ 地域交流プログラム…学校に出向いてのアウトリーチや公共ホールでの公募型ワークショップなどを通じて、地域住民との交流を図る取り組み。)
2.公共ホール等活性化支援事業
(1)公共ホール音楽活性化事業
地域においてクラシック音楽を身近なものとすることにより地域文化の活性化を図るとともに、地域の文化事業担当職員の企画・制作能力を高める人材育成に資するため、公演や地域交流プログラムを実施する。
①通常プログラム
市町村との共催により、クラシック音楽に触れる機会の少ない地域にアウトリーチコンサート等を提供し、公共ホールの担当者が、アウトリーチの企画・制作に必要な実践的なノウハウを修得することを目的として、研修会、クラシック音楽と身近にふれあうコンサート及び地域交流プログラムを実施する。
②支援プログラム(助成率:1年目2/3以内、2年目:1/3以内)
通常プログラムを実施した市町村が、そのノウハウを活用し、引き続き、クラシック音楽と身近にふれあうコンサート及び地域交流プログラムを行う事業に対して支援を行う。
③普及啓発プログラム
都道府県等と連携し、実施ホールの企画・制作担当者や派遣演奏家等を対象とした研修事業及びクラシック音楽と身近にふれあうコンサートと地域交流プログラムを組み合わせた市町村での公演事業等を実施する(アウトリーチフォーラム)。また、政令指定都市との連携により、人材育成・研修に重点を置いたプログラム(アウトリーチセミナー)は、平成28年度事業実施に向けた準備を行う。
④【新】文化庁連携モデル事業
音楽分野における文化庁の「文化芸術による子供の育成事業( 芸術家の派遣事業) 」の助成を受けて「アウトリーチ事業」を実施する学校と、地域創造の「音楽活性化支援事業」の実施経験がある公共ホールが連携することにより、これまでのノウハウを活かした効果的なアウトリーチを実現する。また、公共ホールの一層の活性化を図るため、「公演事業」に対して支援を行う。
(2)公共ホール現代ダンス活性化事業
地域において現代ダンスを身近なものとすることにより地域文化の活性化を図るとともに、地域の文化事業担当職員の企画・制作能力を高める人材育成に資するため、公演や地域交流プログラムを実施する。
①通常プログラム
地方公共団体等との共催により、現代ダンスに触れる機会の少ない地域にダンス公演等を提供し、公共ホールの担当者が、アウトリーチの企画・制作に必要な実践的なノウハウを修得することを目的として、研修会、現代ダンスの公演及び地域交流プログラムを実施する。
②支援プログラム(助成率:1年目2/3以内、2年目:1/3以内)
通常プログラムを実施した市町村が、そのノウハウを活用し、引き続き行う現代ダンスの公演及び地域交流プログラムに対して支援を行う。
(3)公共ホール演劇ネットワーク事業(助成率:2/3以内)
公共ホールの情報発信能力の向上を図るとともに、地域の演劇分野における環境づくりを通じて創造性豊かな地域づくりに資するため、公共ホールが共同・連携して実施する演劇公演に対して支援を行う。
(4)邦楽地域活性化事業
日本の伝統音楽の継承・発展、都道府県域内の公共ホールの連携促進や職員の企画・制作能力の向上を図るため、公共ホールの担当者、参加演奏家等を対象とした研修プログラム、公共ホールを拠点とした邦楽による地域交流プログラム及び公演について、平成28年度事業実施に向けた準備を行う。
(5)公立美術館活性化事業
公立美術館の企画制作能力の向上、連携の促進、所蔵作品の利活用等を図るため、複数の公立美術館による、公立美術館のコレクションを活用した共同巡回展の実施を支援する。
①市町村立美術館活性化事業(助成率:2/3以内)
複数の市町村立美術館による、地域創造が企画提示する共同巡回展を実施する事業に対して支援を行う。
②公立美術館巡回展支援事業(助成率:2/3以内)
複数の公立美術館が自主的な企画・制作により、所蔵作品等を巡回展示する共同巡回展の実施に対して支援を行う。
③【新】公立美術館共同巡回展企画支援事業
公立美術館巡回展支援事業等の前に必要な、自主的な共同巡回展の実現に向けた取り組みに対して支援を行う。
(6)地域の文化・芸術活動助成事業
地方公共団体等が地域において自主的に実施する文化・芸術活動を支援するため、各プログラムの事業に対して助成を行う。
①創造プログラム(助成率:1/2以内)
地域の活性化に寄与する長期的展望を有し、発展的・継続的に事業を実施するうえで他の地域の参考となるような顕著な工夫が認められる事業(一般分)や都道府県・政令指定都市が自主事業の企画制作能力の更なる向上や周辺地域の公立文化施設に波及効果をもたらす事業(企画制作力向上特別分)
②連携プログラム(助成率:2/3以内)
単独では実施できないが、複数の団体が連携することにより初めて実施できるもので、3以上の地方公共団体等が連携して、共同で制作する公演・展覧会のうち地域交流プログラムを伴う事業
③研修プログラム(助成率:2/3以内)
公立文化施設等の企画・運営に携わる者及び地域文化コーディネーター等、地域の文化・芸術活動を担う者のスキルの向上、ノウハウの習得等を目指し、地方公共団体等が自ら主体的に企画・実施する実践的な人材育成事業
(7)【新】「アート+まちづくり」モデル事業
文化・芸術の振興は、地域住民の生活を豊かにするとともに、防災・防犯、教育、福祉、経済等の様々な分野への効果が期待されている。これに対応し、地方公共団体等が実施する文化・芸術を活用した地域づくりの先進的な取り組みをモデル的に支援する。
3.情報交流・調査研究等事業
(1)情報交流事業
定期刊行物やホームページ等により、地域の文化・芸術活動に資する情報提供を行う。
①ニュースレター発行事業
地域創造と各地域の公立文化施設、制作者等の文化・芸術関係者とをつなぐ基本的な媒体として、各地域のユニークな公演・展示の情報や参考となる各地の取組事例、地域創造の事業のお知らせ等を掲載した「地域創造レター」を毎月発行する。
②雑誌発行事業
文化・芸術環境づくりのケーススタディーや公立文化施設の有効な運営方法を模索する企画記事等を内容とする雑誌「地域創造」を年2回発行する。
③各種情報提供事業
ホームページの運営を通じ、地域創造及び公立文化施設に関する各種情報や、定期刊行物に掲載した地域の文化・芸術に関する情報等を蓄積し、提供を行う。
(2)調査研究事業
地域の文化・芸術環境づくりについて全国的な視点から実態調査・分析・研究を行い、それらの成果を積極的に活用して、関係者からの相談等の対応を行う。
①地域における文化・芸術活動を担う人材の育成等に関する調査研究
地域において、文化・芸術活動の担い手となる人材の確保、育成に資することを目的に、地域とその公立文化施設において求められる人材の職能、資質及びその確保方策等についての検討を行う。
②地域の公立文化施設実態調査
全国の公立文化施設のハード、ソフト両面のデータを収集、分析して、地域における公立文化施設の実態を把握することで、文化政策の更なる充実に資することを目的に平成26年度に実施したアンケート調査の報告書を発行する。
(3)コンサルティング事業
地方公共団体からの文化・芸術の振興による地域づくりに関する相談等に応じる。
(4)表彰事業
地域における文化・芸術の振興による創造性豊かな地域づくりに特に功績のあった公立文化施設に対し、「地域創造大賞(総務大臣賞)」を授与し、表彰する。
4.地域伝統芸能等保存事業
ふるさとづくりに向けた地域住民の取組や地方公共団体の文化環境づくりに資するため、地域の伝統芸能等(祭り、伝説、神話、民話、習俗等)の映像への記録・保存・収蔵、地域の伝統芸能等の継承活動の成果を発表するための公演の開催に対する助成等を行う。
(1)全国フェスティバル事業
地域伝統芸能等の保存・継承に関する国民的機運の盛り上げを図るため、「地域伝統芸能まつり」を開催する。
(2)映像記録保存事業(助成率:2/3以内)
各地域で失われつつあり、これまで記録に残されてこなかった伝統芸能等をDVDビデオ映像等に記録・保存する市区町村に対して助成を行う。また、地域創造に映像ライブラリーを設置し、作成された映像記録を公開する。
(3)地域文化資産デジタルコンテンツ発信事業
映像記録保存事業により作成された映像等をデジタルコンテンツ化し、インターネットで発信する「地域文化資産ポータルサイト」を運営する。
(4)地域伝統芸能継承者(青少年等)育成事業(助成率:2/3以内)
各地域で継続的に青少年等を伝統芸能等の継承者として育成している成果を発表する場としての公演を行う地方公共団体等に対して助成を行う。