●第15回地域伝統芸能まつり
[会期]2015年2月21日(土)、22日(日)
[会場]NHKホール(東京都渋谷区)
[主催]地域伝統芸能まつり実行委員会、一般財団法人地域創造
[実行委員]梅原猛、大石利雄、梶田信一郎、鎌田東二、香山充弘、三枝成彰、下川雅也、下重暁子、鈴木健二、山折哲雄、山本容子(50音順、敬称略)
[後援]総務省、文化庁、観光庁、NHK
◎出演団体等
・1日目:「江差餅つき囃子」(北海道江差町)、「御嶽神楽」(大分県豊後大野市)、「蔵王のはねおどり」(広島県福山市)、古典芸能・狂言『鬼瓦』(出演:山本東二郎(人間国宝)ほか)、「根知山寺の延年」(新潟県糸魚川市)、「大脇の梯子獅子」(愛知県豊明市)
・2日目:「明神ばやし」(福井県越前町)、「杉沢比山」(山形県遊佐町)、「京太郎」(沖縄県読谷村)、古典芸能・能『三笑』(出演:梅若玄祥(人間国宝)ほか)、「山屋の田植踊」(岩手県紫波町)、「素盞雄神社の天王祭」(東京都荒川区)
日本各地で脈々と受け継がれている地域伝統芸能や古典芸能を紹介する「地域伝統芸能まつり」が、2月21日(土)、22日(日)にNHKホールで開催されました。今年は「咲う(わらう)」をテーマに、全国から10の地域伝統芸能と2つの古典芸能が集い、約4,700人の観客を魅了しました。2日間のオープニングを飾ったのは、北海道江差町の「江差餅つき囃子」です。徐々にテンポが上がる軽快なお囃子のリズムに合わせて、盛大に餅をつき上げる華やかな幕開けとなりました。
大分県豊後大野市からは、国の無形民俗文化財にも指定されている「御嶽神楽」が登場し、古事記を題材とした歴史ある演目の中から「貴見城」を披露しました。華麗な衣装で、激しくかつ美しく舞い上げる躍動的な所作に会場中が酔いしれました。
親子二代での共演が実現したのは、新潟県糸魚川市の「根知山寺の延年」です。「鏡の舞」では、6歳の子どもたちが、可愛らしい舞を披露し、その微笑ましい様子に、客席は笑顔で包まれました。また、舞台上の父親が子どもの演技を見守る姿には、地域の伝統芸能が親から子へと受け継がれていく一端を見た思いがしました。
1日目のフィナーレは、愛知県豊明市の「大脇の梯子獅子」です。高さ7.5メートルの櫓の上で繰り広げられるアクロバティックな技の連続に、観客からは何度も歓声が上がり、会場がひとつとなって演者を応援しました。2日目には、岩手県紫波町から、1年の稲作過程を歌と踊りで表現する「山屋の田植踊」が登場しました。頭に被った花笠を激しく回転させる「笠振り」の妙技を含め、多彩な演目を披露。子どもたちも活躍する魅力的なステージとなりました。
地域伝統芸能まつりのもうひとつの柱は、古典芸能です。1日目は、夫婦の情愛が感じられる狂言『鬼瓦』を山本東次郎ほかが演じました。また、2日目は能の中で唯一、手を打ち合わせる笑いの型のある演目『三笑』(短縮版)を梅若玄祥ほかが披露しました。両日ともに「咲う」のテーマに沿った演目を、人間国宝の演技によって堪能できる贅沢な時間となりました。
2日間の大トリを飾ったのは、東京都荒川区の「素盞雄神社の天王祭」です。舞台上に大・中・小の三基の神輿と約250人の出演者が並ぶ様子は、観る者を圧倒する迫力がありました。2本で担ぐ珍しい神輿を、屋根の鳳凰が地面に着くほど左右に激しく振る「神輿振り」が披露されると、会場からは何度も拍手が沸き起こりました。特に、重さ千貫といわれる大神輿の「神輿振り」は圧巻で、会場の盛り上がりは最高潮に達しました。
「神輿振り」の興奮が醒めやらぬ中、この日の出演団体が賑やかに再登場しました。人々の心に大きな花を咲かせ、豊かな実りをもたらしてくれる素晴らしい芸能と、それを保存・継承してこられた保存会の方々への敬意、今後への期待を込めた盛大な拍手が会場から惜しみなく送られ、感動のフィナーレとなりました。