一般社団法人 地域創造

平成26年度「地域創造大賞(総務大臣賞)」表彰式

Photo01.jpg
写真
左:高市早苗総務大臣から表彰を受ける菅原茂気仙沼市長
右:出席者記念撮影

 平成26年度「地域創造大賞(総務大臣賞)」の表彰式が1月16日、東京・グランドアーク半蔵門にて行われました。この賞は、地域創造設立10周年を記念して、地域における文化・芸術の振興による創造性豊かな地域づくりに特に功績のあった公立文化施設を顕彰する総務大臣賞として創設されたものです。これまでに79施設が表彰され、その活動は広く全国に紹介されています。11回目となる今年度は全国から9施設の受賞が決定し、高市早苗総務大臣ご臨席の下、表彰式が行われました。
  主催者である一般財団法人地域創造梶田信一郎理事長の挨拶に続いて、表彰状・楯の授与が行われ、高市総務大臣からお祝いの言葉とともに、「安倍内閣の最重点課題である『地方創生』を推進するためにも、全国どこの地域にお住まいでも、地域の伝統文化や芸術振興を通じた、地域の誇りの醸成、次世代の人づくり、活力ある地域づくりが極めて重要であると考えております。今後とも、全国の公立文化施設のモデルとして、地域における文化・芸術の振興による創造性豊かな地域づくりに大きな成果を上げて、それぞれの地域の暮らしをより心豊かなものにしていただけるよう期待しております」との力強いエールが送られました。
  受賞施設を代表して謝辞を述べられた菅原茂気仙沼市長(東日本大震災を契機に地域アーカイブとして新たなあり方を示したリアス・アーク美術館設置・運営主体の気仙沼・本吉地域広域行政事務組合管理者)からは、「消防の職員10名が殉職し、市内105カ所に避難所を開設しているなか、この震災を記録として残さなくていいのかと考えました。これは文明の問題であり、7万市民を擁する市として記録を残さないことはありえない。なけなしの学芸員を記録のため現場に向かわせました。この震災を美術館で伝承させていただくことにより、日本全国の防災に役立つことができればと思っています」という決意の滲んだ言葉をいただきました。
  その後、多彩な取り組みが行われている受賞施設の活動について映像による紹介が行われ、最後に扇田昭彦審査委員長から各受賞施設についての講評が行われました。
  今回の賞は受賞された施設のみならず、それらの施設を支え、文化・芸術による地域づくりに参加していただいている地域の皆様のご協力に対する感謝を込めて贈られるものです。心よりお祝い申し上げますとともに、今後の更なるご活躍を期待しております。

 

●地域創造大賞審査委員会
・委員長
扇田昭彦(演劇評論家)
・委員長代理
田村孝子(文化ジャーナリスト、公益社団法人全国公立文化施設協会 副会長)
・委員
梶田信一郎(一般財団法人地域創造 理事長)
加藤恒夫(一般社団法人芸術資源マネジメント研究所 代表理事)
熊倉純子(東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科 教授)
小林真理(東京大学大学院人文社会系研究科 准教授)
坪池栄子(株式会社文化科学研究所 編集プロデューサー)
仲道郁代(ピアニスト)
柳沢秀行(公益財団法人大原美術館 学芸課長)
吉本光宏(株式会社ニッセイ基礎研究所 研究理事(社会研究部 芸術文化プロジェクト室長))
*五十音順

 

受賞施設紹介

◎表彰の主なポイント
・ 地方公共団体等が、文化・芸術による地域振興やふるさとづくりという地域を豊かにするための行政の目的に沿った芸術文化振興ビジョンや公立文化施設の理念、使命を持ち、それを達成するための施設運営がなされているかどうか
・ 先進性、テーマ性を有する自主企画作品の制作、公演や自主企画展覧会の開催等創造的な活動に取り組むとともに、内外の優れた作品の鑑賞機会の提供に意欲的に取り組んでいるか
・ 地域住民の文化・芸術活動の育成支援、教育普及活動、住民参加・参画など地域住民との協働(コラボレーション)に意欲的に取り組んでいるか

 

遠野市民センター│岩手県遠野市

Photo02.jpg

“市民協働の舞台”により地域に活力
舞台芸術による豊かな生活を推進する拠点施設。すべてを市民の手づくりで行い、1976年から継続している「遠野物語ファンタジー」には中・高等学校や市民の合唱隊、吹奏楽団が生演奏で参加。また、公設の遠野市民センターバレエスタジオ、遠野少年少女合唱隊を運営するなど、長年にわたる活動により市民の心豊かな生活に貢献した。
[運営]遠野市
[開館]1971年

 

リアス・アーク美術館 │気仙沼・本吉地域広域行政事務組合

Photo03.jpg

“地域のアーカイブ”として新境地
リアス式海岸を有する地域特有の文化資源を継承するアーク(方舟)として、民俗資料と美術作品を展示する美術博物館。食文化を切り口にした資料展、東北地域の若手アーティストを紹介する企画展、幅広い芸術の発表機会を提供する「方舟祭」に加え、東日本大震災後には津波文化史教育の拠点として資料の収集・展示を行い、地域のアーカイブとして新たなあり方を提示した。
[運営]気仙沼・本吉地域広域行政事務組合教育委員会(構成:気仙沼市・南三陸町)
[開館]1994年

座・高円寺(杉並区立杉並芸術会館) │東京都杉並区

Photo04.jpg

“まちの演劇広場”として尽力
演劇人が多く居住し、阿波踊りが盛んな杉並区の文化活動拠点。日本劇作家協会および東京高円寺阿波おどり振興協会と連携するとともに、芸術監督の基本方針のもと、区内の演劇人が中心になったNPO法人が運営。市民、子ども、地域のためのさまざまな事業に加え、2年制の「劇場創造アカデミー」を開講して人材育成を行うなど、劇場文化の発展に貢献した。
[運営]特定非営利活動法人劇場創造ネットワーク
[開館]2009年

金沢21世紀美術館 │石川県金沢市

Photo05.jpg

“美術館による地域振興”に新境地
金沢市中心部活性化のシンボル施設。「まちに開かれた公園のような美術館」をコンセプトにした円形ガラス張りの建築(妹島和世+西沢立衛/SANA A設計)と、現代アーティストによる親しみやすいコミッションワークによりランドマークとして定着。国際的な企画展と子どもや市民に向けた普及事業を両立しつつ、観光客を含め年間150万人を誘客し、美術館の新たなあり方を提示した。
[運営]公益財団法人金沢芸術創造財団
[開館]2004年

福井県立音楽堂 ハーモニーホールふくい │福井県

Photo06.jpg

“質の高い鑑賞事業”により心豊かな生活を推進
パイプオルガンを備えた大ホール、室内楽向きの小ホールからなる本格的な音楽堂。「県民のためのマイホール」をスローガンに、国内外の一流演奏家・楽団による質の高いコンサートや縁の演奏家が音楽帰省する「越のルビー音楽祭」を開催。また、子どもを対象に地場産業のハープ、マリンバを学ぶ普及事業を行うなど、音楽による心豊かな生活に貢献した。
[運営]公益財団法人福井県文化振興事業団
[開館]1997年

三重県総合文化センター │三重県

Photo07.jpg

“組織改革”により事業を発展
文化会館、生涯学習センター、男女共同参画センター、図書館からなる複合施設。大胆な組織改革によりサービスや事業を改善。三重ジュニア管弦楽団、ワンコイン・コンサート、注目の若手劇団の滞在制作公演「Mゲキ!!!!!セレクション」、25歳以下を対象にした「ミエ・ユース演劇ラボ」、アートと教育をつなぐ研修会「ミエ・アート・ラボ」など、活力ある運営を実現した。
[運営]公益財団法人三重県文化振興事業団
[開館]1994年

東かがわ市とらまるパペットランド │香川県東かがわ市

Photo09.jpg

“子どもと人形劇の出会い”に尽力
日本で唯一の人形劇をテーマにした公設テーマパーク。年間100回以上の人形劇公演を行う「とらまる座」(92年開館)、人形操作や工作ができる体験型施設「とらまる人形劇ミュージアム」(2003年開館)を拠点に、30周年を迎えた「とらまる人形劇カーニバル」や市内幼稚園などへのアウトリーチにも取り組み、人形劇による子どもたちの情操教育に貢献した。
[運営]一般社団法人パペットナビゲート
[開館]2003年

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA) │香川県丸亀市

Photo10.jpg

“コレクションの魅力”により感性を育成
丸亀市ゆかりの猪熊弦一郎から寄贈された2万点を超えるコレクションによる駅前美術館。遊び心溢れる猪熊の世界をテーマにした常設展をはじめ、「美術館は心の病院」という作家の理念を普及する子どもを対象にしたワークショップやアウトリーチを積極的に展開。新しい感性と出会う現代美術の企画展にも力を入れ、アートによる豊かな感性の育成に尽力した。
[運営]公益財団法人ミモカ美術振興財団
[開館]1991年

直方市美術館(直方谷尾美術館) │福岡県直方市

Photo11.jpg

“子どものための美術館”として尽力
地元実業家の谷尾欽也が地域文化支援を目的に開設した私設美術館(昭和初期の元医院)を市が受贈。公募で集まった子どもスタッフが7ヶ月かけて準備するユニークな展覧会「子どものための美術館」や商店街のバナー製作など、子どもたちによる美術を通じた地域活動を推進。また、筑豊ゆかりの若手作家に発表の機会を提供するなど、美術による人づくりに尽力した。
[運営]公益財団法人直方文化青少年協会
[開館]2001年

カテゴリー