アウトリーチフォーラム事業は、都道府県参加のもと、①地域におけるクラシック音楽のアウトリーチ手法による事業展開の普及、②県域内のネットワーク形成、③アウトリーチ事業ノウハウの蓄積を目指し、平成16年度にスタートしました。今回実施した島根セッションでは、公益財団法人しまね文化振興財団が主体となって事業全体のコーディネートを行い、実際にアウトリーチ事業を行う市町立ホールと新進アーティストに対する研修プログラム、公演事業を実施しました。
このセッションに参加したアーティストは、アーバン・サクソフォン・カルテット(サクソフォン四重奏)、ピアノトリオーレ(ピアノトリオ)の2組です。5月上旬に松江市の島根県民会館で参加市町を対象に、コーディネーターによる文化芸術のもつ力やアウトリーチの意義についての講義と事業実施に向けた関係者打ち合わせで構成される全体研修会を実施しました。その上で、6月上旬のアウトリーチ研修では、県財団担当者も見守るなか、アーティストがコーディネーターと共にアウトリーチのプログラムづくりを行いました。45分間という限られた時間の中で子どもたちとどう向き合うか、試行錯誤を繰り返し、出来上がったプログラムの実践の場として、最後の2日間は参加市町担当者も見学するなか、市内3つの小学校でアウトリーチを行いました。
アーバン・サクソフォン・カルテットは、どんな色が見えるか、どんな景色や食べ物が浮かんだか、どこにいる気持ちになったかなど、色々な曲を用いて子どもたちの想像力を刺激し、音楽で自由に遊ぶこと、物事を豊かに考えることの面白さを皆で共有しました。
ピアノトリオーレは、幅広いジャンルの曲からそれぞれの楽器の特色や音色を披露し、子どもたちと体全体で音楽を楽しみました。子どもたちだけでなく先生方も含め、音楽には演奏側も聴く側もさまざまな感じ方や表現の仕方があることを存分に体験した様子でした。
島根県民会館で開催されたガラコンサートでは、これまでのアウトリーチを振り返る写真をホワイエに展示するという県財団の素敵な計らいのもと、アーティスト2組共に事業の集大成にふさわしい演奏を披露し、観客も一体となって最後まで大いに盛り上がりました。
この事業を担当された、しまね文化振興財団の福間一さんは、「今回の島根セッションでは大変多くのことを学ぶことができた。特にアウトリーチプログラムをアーティストとコーディネーターが一からつくり上げる現場に立ち会えたことは、その効果と狙いを間近に体験でき、これから島根県内にてアウトリーチ活動を行う上で大きな財産となった。また、当事業を通じて各実施市町をはじめ、学校や各地域の方々との連携が深まったことで、今回学んだノウハウを生かしながら、今後も協働して取り組みを継続していきたい」と振り返っていました。
なお、平成26・27年度のアウトリーチフォーラム事業は岐阜県で開催する予定です。
●平成25・26年度 公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業 島根セッション
[主催]公益財団法人しまね文化振興財団
[共催]一般財団法人地域創造
[市町村公演事業実施団体]
浜田市、益田市、大田市、奥出雲町
[実施日程]2013年11月5日~2014年11月16日
[チーフコーディネーター]
津村卓(地域創造プロデューサー、北九州芸術劇場館長兼プロデューサー)
[コーディネーター]
内藤裕敬(演出家・劇作家、南河内万歳一座座長)、ヤッシー(BLACK BOTTOM BRASS BAND トロンボーン&リーダー)
[アシスタントコーディネーター]
山本若子(有限会社N.A.T取締役)、丹羽梓(横浜市鶴見区民文化センターサルビアホール)
[演奏家]
浜田市・奥出雲町:アーバン・サクソフォン・カルテット(大上仁彦[S.Sax]、小林浩子[A.Sax]、中村優香[T.Sax]、千葉一喜[B.Sax])
益田市・大田市:ピアノトリオーレ(岩崎洵奈[Pf]、細川奈津子[Vn]、高木良[Vc])
●公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業に関する問い合わせ
芸術環境部 宇野・水上
Tel. 03-5573-4185