一般社団法人 地域創造

地域創造フェスティバル2014報告

地域創造フェスティバル2014報告
8月4日~7日

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写真
左上:20周年記念コンサート(田村緑さんと中川賢一さんのピアノデュオ)
右上:おんかつ支援プレゼンテーション(海野幹雄さん[チェロ])
左下:おんかつ支援プレゼンテーション(村上敏明さん[テノール])
右下:ダン活セミナー「ダン活のススメ」

 

 8月4日から7日まで、東京芸術劇場を会場に「地域創造フェスティバル2014」が開催されました。このフェスティバルは、おんかつ支援アーティストによるプレゼンテーションを中心に、セミナーやシンポジウムなどにより地域創造の事業を広く紹介し、併せて公共ホール職員等のネットワークづくりの場となることを目的としています。今回は、地域創造設立20周年を記念し、おんかつ支援登録アーティストによるガラコンサートや記念シンポジウムが開催されるなど、華やかな催しとなりました。
  また、平成27年度のダン活に参加する公共ホール職員を対象にした全体研修会を同時開催し、フェスティバル参加者にも一部のプログラムを公開しました。5日には、都道府県・政令市課長会議も開催され、アーティストやコーディネーター、自治体職員、公共ホール職員などが活発な交流を行いました。ご尽力いただきました関係者の皆様には、心からお礼申し上げます。

●20周年記念のコンサートとシンポジウム
 4日に催された20周年記念コンサートでは、おんかつ登録アーティストとして活躍した9組が特別編成で華麗な共演を繰り広げました。進行役は常に新しいアウトリーチにチャレンジしている田村緑さんと中川賢一さんです。おんかつでは、この間、8期で計81組の登録アーティストが延べ302地域において計1,263回のアクティビティを行い、約7万人が参加した実績やエピソードなどを交え、計10曲が披露され、喝采を浴びていました。
  また、5日には錚々たるパネリストを招いたシンポジウム「これからの地域の文化拠点のあり方を考える」も開催されました。その冒頭では、モデレーターを務めたニッセイ基礎研究所の吉本光宏さんから、東日本大震災を踏まえた平成24・25年度「災後における地域の公立文化施設の役割に関する調査研究」の成果報告も行われました。注目すべきは、「文化的コモンズ」という新たな概念について提言が行われたことです。これからは官民・ジャンルを問わず、地域内のあらゆる文化的な要素が連携し、かつての入会地のように誰もが文化的な営みを分かちあえる「文化的コモンズ」を形成すべきで、公立文化施設(報告書では“文化拠点”)は「文化的な繋がりを求めて人々が集まれる場所」として積極的にそこに参加すべきだとのメッセージが伝えられました(報告書は地域創造ウェブサイトからダウンロード可能)。

●おんかつ支援アーティストの多彩なプレゼン
 今年は56組のアーティストが各25分のプレゼンを行いました。フェスティバルも7回目となり、ベテランのホール職員にもアピールする、アーティストの持ち味が伝わるプログラムが並んでいました。渦中の人となった音楽仲間の新垣隆作曲による現代音楽を披露した海野幹雄さん(チェロ)、無言のままプログラムを進行して音を遊ぶという現代音楽の楽しさを伝えた大石将紀さん(サクソフォン)、見事なテノールでブラボーの喝采を受けた村上敏明さん、アフリカのバラフォンからビブラフォンまで打楽器の響きの魅力をアピールした野尻小矢佳さん(パーカッション&ボイス)、聾学校でのアウトリーチ曲を披露した長谷部一郎さん(チェロ)、夢と希望をテーマに大人が本気を出すところを子どもたちに見てほしいと熱く語ったQuatuor B(サクソフォン四重奏)、自らの編曲でリコーダーの幅広い表現力をアピールした江崎浩司さん等々。おんかつが始まって17年の蓄積が詰まったプログラムが続きました。
  また、7日にはおんかつセミナー応用編として、「アーティストにできること、ホールができること」をテーマにピアニストの仲道郁代さんと小澤櫻作おんかつチーフコーディネーターが1時間半にわたって語り合うなど、充実したプログラムになりました。

●平成27・28年度ダン活新規登録アーティストが登場
 ダン活全体研修会の最大の見所は新規登録アーティスト6名による公開プレゼンです。各30分の持ち時間で、自身のパフォーマンスや参加者を交えたワークショップを行い、その後コーディネーターを含めた質疑応答が行われました。
  登録アーティストの内、初登録となるのが新潟市民芸術文化会館・りゅーとぴあの劇場専属舞踊団Noism創立メンバーで現在はフリーのプロダンサーとして活躍する青木尚哉さん、伊藤キム+輝く未来(1995~2005)でコンテンポラリーダンス界をリードし、近年は「おやじカフェ」や小中高生を対象にしたダンスに取り組んでいる伊藤キムさん、ジャズダンス出身で大学時代にコンテンポラリーダンスと出合い、演劇作品への出演など幅広く活動する北尾亘さんです。手のひらの中央に人差し指を充てることで身体のバランス感覚を保つ(青木)、意識のベクトルやリズムなど動きの要素を増やし、拡大することでヴァリエーションを生み出す(伊藤)、日常の動作からイメージを膨らませて身体にアプローチする(北尾)といった、それぞれ特徴あるワークショップを展開しました。
  また、6日にはダン活の魅力を伝える「ダン活のススメ」と題した事例紹介も行われました。平成19年度にダン活を行って以来、継続的に取り組んでいる山県市文化の里花咲きホール(岐阜県)の伊藤直樹さんと、昨年初めてダン活に取り組んだ富山市民プラザの長谷川万葉さん、永井慎さんが「インリーチ」の重要性や現場での感動的なエピソードを語ると、その熱い思いが会場にも伝わっていきました。

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平成27・28年度ダン活登録アーティストプレゼンテーション。
左:伊藤キムさん(中央)、中:北尾亘さん(手前)、右:青木尚哉さん(左)

●平成27・28年度ダン活登録アーティスト
青木尚哉、伊藤キム、北尾亘、田畑真希、田村一行、東野祥子

地域創造フェスティバル2014 プログラム
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