今年度の公立美術館活性化事業では、3件の共同巡回展が実施され、全国11会場で展覧会が開催されます。
市町村立美術館を対象に地域創造が企画を提示した共同巡回展の実施を支援する「市町村立美術館活性化事業」では、「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館所蔵作品による 猪熊弦一郎展 どんなことをしても僕なんだ」が開催され、5月30日より3会場を巡回します。
猪熊弦一郎(1902-1993)は、香川県に生まれ、東京美術学校(現東京藝術大学)で学び、早くから帝展で活躍しました。その後、新制作派協会(現新制作協会)の設立に参加し、発表の拠点としました。1938年に渡仏、55年には渡米し、以後約20年間ニューヨークで制作活動を行いました。
本展では、作家本人から所有作品と多数の関連資料の寄贈を受け、その全生涯にわたる作品を所蔵している丸亀市猪熊弦一郎現代美術館のコレクションを基に、初期から晩年に至る作風の変遷をたどるとともに、さまざまな材料を用いた自由な表現や、グラフィック・デザイン、挿絵、壁画など絵画以外の仕事も含む代表作約70点を紹介し、その全貌に迫ります。
公立美術館が自主的に企画した共同巡回展を地域創造が支援する「公立美術館巡回展支援事業」では、「上田桑鳩・手島右卿・金子鷗亭・桑原翠邦─四神の書」の巡回(4会場)が始まりました。また、「メタルズ!─変容する金属の美─ 」の巡回(4会場)が6月28日より始まります。
「四神の書」展では、上田桑鳩(1899-1968)・手島右卿(1901-87)・金子鷗亭(1906-2001)・桑原翠邦(1906-95)の四人の現代書家の作品を紹介します。四人は現代書の父とされる比田井天来(1872-1939)の門流として古典の書を中心に幅広く学び、桑鳩は前衛書、右卿は象書、鷗亭は近代詩文書、翠邦は漢字と、独自の境地を切り開きました。本展では、それぞれの書風を「鮮烈の桑鳩」「清新の右卿」「躍動の鷗亭」「品格の翠邦」と位置づけ、四書家の代表作約80点により、各書家の書風の変遷や、相互の結びつきなどを明らかにします。
「メタルズ!」展では、金属にゆかりの深い地域の美術館・博物館が連携し、国宝を含む古代から現代までのさまざまな金属造形・金属工芸作品約100点が展示されます。金属の性質がどのように生かされているかについて、時間軸にとらわれず、輝き、彩り、音など金属のもつ特性や、道具、装飾などの機能性に着目するなど、これまでにない切り口で紹介し、美術館と博物館がそれぞれの専門を超えて連携することで、美術界・産業界への「明日への提言」となることを目指した展覧会です。
展覧会ポスター
(左から)
「猪熊弦一郎展 どんなことをしても僕なんだ」、「四神の書」展、「メタルズ!」展
●平成26年度公立美術館活性化事業
【市町村立美術館活性化事業】
◎「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館所蔵作品による 猪熊弦一郎展 どんなことをしても僕なんだ」
・筆の里工房(広島県熊野町/2014年5月30日~7月6日)
・小金井市立はけの森美術館(東京都小金井市/7月19日~9月7日)
・大垣市スイトピアセンター アートギャラリー(岐阜県大垣市/9月13日~10月26日)
【公立美術館巡回展支援事業】
◎「上田桑鳩・手島右卿・金子鷗亭・桑原翠邦─四神の書」
・釧路市立美術館(北海道釧路市/2014年5月10日~6月22日)
・文化フォーラム春日井(愛知県春日井市/8月30日~10月13日)
・唐津市近代図書館(佐賀県唐津市/10月18日~11月23日)
・安芸市立書道美術館(高知県安芸市/12月20日~2015年2月8日)
◎「メタルズ!─変容する金属の美─」
・高岡市美術館(富山県高岡市/2014年6月28日~8月31日)
・碧南市藤井達吉現代美術館(愛知県碧南市/9月11日~10月19日)
・北九州市立自然史・歴史博物館および北九州イノベーションギャラリー(産業技術保存伝承センター)(11月1日~12月23日)
・新潟市新津美術館(新潟市/2015年1月24日~3月8日)
●公立美術館活性化事業に関する問い合わせ
総務部 布施・下川
Tel. 03-5573-4143