一般社団法人 地域創造

第14回「地域伝統芸能まつり」のご案内

第14回地域伝統芸能まつり
14回目となる今年のテーマは「芽生え」

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写真:平成24年度 第13回地域伝統芸能まつり

 地域創造では、地域の重要な資源である地域伝統芸能の保存・活用・継承を支援しています。なかでも、全国の地域伝統芸能と古典芸能が一堂に会し、NHKホールで日頃の成果を披露する「地域伝統芸能まつり」は、継承者の励みとなる取り組みとして高く評価されています。第14回となる今回は、2月22日(土)、23日(日)に開催し、「芽生え」をテーマに全国11の地域伝統芸能と2つの古典芸能を紹介します。

  プログラムの詳細は下記のとおりです。
  これまでも地域伝統芸能まつりでは、東日本大震災で伝統芸能の宝庫である東北地方が大きな被害を受けたことから、復興に取り組む元気な姿をお伝えしようと、被災地の芸能を取り上げてきました。

  今年は福島県から、西郷村の「上羽太天道念仏踊り」が登場します。「芽生え」のテーマにふさわしく、6月の田植えが終わった後に、太陽(=天道)に豊作を祈願する天道念仏踊りのひとつです。また宮城県からは、両手に扇子を持ち、軽快なリズムに乗って跳ね踊る姿が特徴的な「仙台すずめ踊り」(仙台市)が登場、約40人での躍動感あふれる群舞を披露していただきます。

  今回は、これまでの地域伝統芸能まつりであまり取り上げたことのない明治期の芸能が登場します。日本における西洋音楽の芽生えという視点で紹介されるのが、千葉県香取市の「おらんだ楽隊」です。古来から伝わる神楽に洋楽を取り入れた楽隊で、笛、大太鼓、小太鼓でやや西洋風の囃子を演奏しながら香取神社の祭礼で行進します。

  このほか、10メートルほどの梯子の上で演じるアクロバティックな「鹿野山のはしご獅子舞」(千葉県君津市)、関東初登場となる、1.5トンの太鼓台を60人以上で担ぐ「布団太鼓台」(大阪府東大阪市)など、祭りのクライマックスを盛り上げるプログラムが並んでいます。

  古典芸能では、子どもたちという若芽に能・狂言を継承するという意味で、子方が活躍する半能『船弁慶』、狂言『以呂波』を取り上げます。いずれも片山九郎右衛門・清愛、茂山逸平・慶和という親子共演が見どころです。このほか、「西嶋神楽」でも神楽囃子や巫女舞で子どもたちが登場します。

  この機会に、地域の貴重な資源である全国の民俗芸能にふれ、理解を深めていただければと思います。

第14回地域伝統芸能まつり
プログラム紹介(予定)
*演目は変更される場合もありますのでご了承ください

●宮崎県都城市
熊襲踊(くまそおどり)[2月22日]

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熊襲踊は、太鼓を使用せず竹で編まれたバラ太鼓を使用することから、「バラ太鼓踊り」とも呼ばれ、賑やかかつユーモラスな動きは日本の民俗芸能の中でも特異なものとされています。ズベ、ミツベ、イツツベ、コヤシベ、フセベ、カヤシベの6つの踊りで構成されており、頭に棕櫚皮(しゅろかわ)作りの髷を冠る鉦組4人を中輪とし、「高い丘居(を)ら熊襲じゃないか 鬼か鬼人か化け物か」などと唄います。終盤のカヤシベではバラ太鼓組が走りながらバラを叩き、次々と折り重なりながら倒れて行く場面があり、ユーモラスなしぐさや乱舞が特徴的です。

●島根県松江市
佐陀神能(さだしんのう)[2月22日]

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毎年9月24日の夜、佐太神社で行われる御座替(ござかえ)祭と翌25日に奉納される神楽で、七座神事の舞、式三番、神能の3部で構成されています。3部のうち、神能はその構成がシテ、ワキ、ツレ、トモなどの役立ちになり、台詞の間を謡(うたい)でつなぎ、お囃子として笛、小鼓、大鼓、太鼓を主とした全くの能形式をとっており、出雲神楽だけでなく他の里神楽にも影響を与えたと言われています。佐陀神能は年とともに知名度も高まり、昭和51(1976)年5月には国の重要無形民俗文化財に指定され、平成23(2011)年11月にはユネスコの無形文化遺産へ登録されました。

●福島県西郷村
上羽太天道念仏踊(かみはぶとてんとうねんぶつおどり)[2月22日]

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太陽に豊作を祈る天道念仏踊りの一つで、踊りの場に太陽と三日月をかたどった飾りを掲げ、念仏を含む歌に合わせて踊ります。踊りは、太鼓を叩きながら上げ念仏を歌う歌い手2・3名と、下げ念仏を唱えながら踊る十数名からなり、しめ縄内で籾殻を敷いた上で素足で踊ります。踊りは7種類あり、神祀りに始まり、地起こし、種子まきから収穫まで一連の農耕生活を表現しています。上羽太天道念仏踊りは、関東中心に伝承が確認される天道念仏のなかで、芸能を中心とした伝承の一つとして貴重なもので、芸能の変遷および地域的特色を示しています。

●宮城県仙台市
仙台踊(せんだいすずめおどり)[2月22日]

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慶長8(1603)年、仙台城移徒(わたまし)式(新築移転の儀式)の宴席で、泉州・堺(現在の大阪府堺市)から移り住んだ石工たちが即興で披露した踊りが起源と言われています。小気味よいテンポ、躍動感あふれる身振り、跳ね踊る様子がすずめの姿に似ていることと、伊達家の家紋「竹に雀」にちなんで「すずめ踊り」と呼ばれるようになりました。戦後には次第に継承者を失いましたが、仙台・青葉まつりでコンテストを開催したり、学校をはじめ各地で講習会を行うなど伝承・普及に力を注ぎ、市民に広く踊られています。青葉まつりでは、延べ5000人がすずめ踊りに参加しています。

●千葉県君津市
鹿野山のはしご獅子舞(かのうざんのはしごししまい)[2月22日]

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毎年4月28日の祭礼で、九十九谷を一望する白鳥神社前の広場において奉納されています。今からおよそ500年前の永正元(1504)年、名僧弘範上人が真言密教を布教するために霊地鹿野山を訪れた際、上人の徳を慕って移り住んだ木こりたちが故郷の奥高野をしのび、獅子に託して舞ったのがはしご獅子舞の始まりであると伝えられています。高さ約10mの梯子の上で、高野山に住む牡獅子を慕う牝獅子が舞う姿はスリルと迫力があり、頂上では獅子が片足になる「てんぐるま」や梯子を降りながら「しゃちほこだち」「はらわたり」「でんぐり」が行われます。

●福岡県北九州市
小倉祇園太鼓(こくらぎおんだいこ)[2月23日]

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祇園祭は平安時代、夏になると流行する悪疫を悪霊の仕業と考え、この悪霊を慰め退散させることを神に祈ったことが発祥です。祭は「小倉のおぎおんさん」とも呼ばれ、鉦・鼓・笛を用いた「能」の形式であったという記録があります。明治以降、祭りは次第に変化し、山鉾に追従した山車や踊り屋台が今日の山車になりました。「ヤッサヤレヤレ」と山車綱を曳く子どもたちのお囃子、ヂャンガラ(摺り鉦)の音、ドロ・カンと呼ばれる太鼓が一つの塊となります。ゆったりと移動しながらの両面歩行打ちこそ、全国に類のない小倉祇園太鼓の魅力なのです。

●京都府京都市
蹴鞠(けまり)[2月23日]

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約1400年前、中国から伝わったとされる蹴鞠は、平安時代に貴族が愛好するスポーツとして普及しました。明治維新後に一度は廃れたものの、明治40(1907)年に蹴鞠保存会が設立されて以来、京都市左京区の世界遺産・神社での奉納行事をはじめ、各所で受け継がれています。蹴鞠を行う「鞠庭(まりにわ)」(12.6m四方)には6.6m四方の隅々に青竹が立てられ、鮮やかな色の鞠水干、葛袴、烏帽子を身に付けた鞠足らが入庭すると、長老が松の枝から鞠を解き放ち、8人1組で蹴鞠が始まります。鹿革で作られた鞠は、直径20㎝、重さ100g、相手が受けやすい鞠を蹴ることが“蹴鞠の道”とされています。

●千葉県香取市
おらんだ楽隊(おらんだがくたい)[2月23日]

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香取市扇島地区に伝承される囃子です。香取神宮で毎年執り行われる4月14・15日の神幸祭(じんこうさい)と11月30日の大饗祭(だいきょうさい)、12年ごとの午年に行われる式年神幸祭で演奏されます。幕末から明治初年に伝わった洋楽の要素を、古来からの囃子に巧みにとりいれた囃子です。浅葱の小手袖に矢羽模様のぶっさき袴、丸に扇の白紋を打った緋色の陣羽織という風流ないでたちで、笛、大太鼓、小太鼓で「ナミアシ」「ハヤアシ」「カケアシ」「ガイセン」のテンポの異なる曲を演奏しながら行進します。先頭の大太鼓が囃しながら踊るのが特徴のひとつです。

●徳島県徳島市
阿波人形浄瑠璃(あわにんぎょうじょうるり)[2月23日]

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江戸時代に淡路島が徳島藩の所領になり、当時淡路島で盛んだった人形浄瑠璃が徳島に伝えられて以来、400年の歴史と伝統を持ち、平成11(1999)年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。義太夫節の浄瑠璃と太棹の三味線、三人遣いの人形の三者によって演じられる人形芝居で、徳島県が全国に誇る伝統芸能として現在まで受け継がれています。徳島では小屋掛けの仮設舞台や常設の農村舞台など、屋外での公演がほとんどであったため、文楽より大きな光沢のある塗りの人形を使い、観客にアピールするため前方に突きだし、大きな振りで演じられます。

●山梨県身延町
西嶋神楽(にしじまかぐら) [2月23日]

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西嶋神楽は、天正年間武田氏滅亡の頃、戦禍と水害等で悲歎にくれる人の心を神楽によって奮い立たせ、霊を鎮めようと鎮守の神主たちの手で始められたのが起源と言われています。出雲神楽の流れを汲み、天の岩戸をはじめ、記紀神話にもとづいて筋立てしたものが多いのが特徴で、6つの集団舞と御反閉など16の個人舞、笛・太鼓による20曲のお囃子を伝えています。また、少年神楽団による神楽囃子や、「巫女の舞(扇の舞・太刀の舞など)」があり、毎年諏訪社及び若宮社の祭礼と天照大神の祭礼に奉納しています。

●大阪府東大阪市
布団太鼓台(ふとんだいこだい) [2月23日]

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毎年10月14・15日、河内国一の宮として知られる枚岡(ひらおか)神社では布団太鼓台が勇ましく宮入りします。枚岡秋郷祭は秋の収穫を神に感謝して太鼓台を奉納する大阪の代表的な祭であり、9地区23台の布団太鼓台が宮入りします。河内地方には江戸時代中期頃にだんじりが登場し、明治に入り神賑行事の中心が布団太鼓台に変化していきました。太鼓台一台の重さは大きいもので約1.5トンもあり、約40名で担ぎます。枚岡神社は生駒山の裾野の高台に鎮座し、太鼓台は麓の一の鳥居から急な坂道を登り奉納され、夜間は参道で担ぎ合わせが行われます。その勇壮さは見る者を魅了して止みません。

古典芸能

●半能『船弁慶(ふなべんけい)』(観世流)[2月22日]

兄源頼朝と不和になった義経と弁慶一行が、大物浦(だいもつのうら)(兵庫県尼崎市)から船で海へ漕ぎ出すと、一天にわかにかき曇り、平家の亡霊・平知盛が現れます。海上で怨霊となった知盛と戦う義経、弁慶の法力に怨霊は祈り伏せられ海中に沈みます。壇ノ浦の戦いで最後を遂げた知盛、勝者から一転追われる義経、悲劇の主人公たちが因果の修羅道を描きます。前半は義経と静御前の悲しい別れの場面ですが、今回は半能形式で後半場面の上演です。義経は子方が演じ義経を象徴的に表します。知盛、義経は親子で演じ、子方の初々しい姿が将来の能を背負っていく芽生えを感じさせます。 
[出演]片山九郎右衛門、片山清愛ほか

●狂言『以呂波(いろは)』(大蔵流)[2月23日]

子どもにいろはを教えようと親が「いろはにほへと…」と言うと、子は「一文字ずつ教えてほしい」と言います。一文字ずつ教えていくと、子どもが浅い知恵を言うので、「言ったとおりに真似なさい」と言うと、しなくていいことまで真似します。しまいには、子を引き回すと子も親を引き回して倒します。平成25(2013)年8月に初舞台を踏んだ茂山慶和の、まさに狂言師としての芽生えの姿をお楽しみください。狂言の稽古は現在も口伝え、口真似から始められています。今も昔も芸の伝承は親から子へ、師匠から弟子へ、体から体へと伝えられていきます。
[出演]茂山逸平、茂山慶和

 

●第14回地域伝統芸能まつり
[日程]平成26年2月22日(土)、23日(日)
[開演]午後2時30分(両日とも)
[会場]NHKホール(東京都渋谷区)
[主催] 地域伝統芸能まつり実行委員会財団法人地域創造
[後援]総務省、文化庁、観光庁、NHK

●観覧申し込み方法
観覧は無料です。はがき、またはインターネットでご応募ください。携帯電話からもお申し込みいただけます。詳細は「地域伝統芸能まつり」公式サイトにてご確認ください。
http://www.jafra.or.jp/matsuri
◎応募締切
平成26年1月31日(金)必着
※応募多数の場合は抽選とさせていただきます。当選の発表はご本人に直接通知いたします。

●地域伝統芸能まつりに関する問い合わせ
総務部 桐田
Tel. 03-5573-4057

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