●政令指定都市と協働した2事業を実施
地域創造では、文化・芸術による地域づくりについて意見交換していただく「都道府県・政令指定都市文化行政担当課長会議」をはじめ、都道府県・政令市を対象とした事業にも力を入れてきました。
平成23年度には、公共ホール等活性化事業で蓄積したノウハウや人材を提供し、政令市と連携するモデル事業を立ち上げ、札幌市芸術文化財団と協働。周辺市町村にも貢献できるようなプログラムを実施しました。
平成25年度は、昨年度から継続して取り組んでいる新潟市芸術文化振興財団に加え、福岡市文化芸術振興財団との協働による事業を行っています。今回は新潟市での事業を中心に報告します。
地元演奏家とアウトリーチ・プログラムを開発
りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館などを運営する新潟市芸術文化振興財団は、ジュニア音楽教室、1コインコンサート、東京交響楽団の準フランチャイズなど、クラシック音楽に力を入れていることで知られています。
今回のモデル事業は、「地元演奏家によるアウトリーチの取り組みを考えたい」という財団の意向により事業プランが策定されました。昨年度は、アウトリーチに興味のある県内ホール職員、文化行政担当者、教育関係者、地域の演奏家に広く参加を呼びかけた公開研修会を実施。ピアニストの田村緑さんによるアウトリーチの見学も行われました。熱意ある演奏家が多く、手応えを感じた財団では、登録アーティスト制度の立ち上げを決定。アーティストを公募し、オーディションにより、薫風の音(尺八:鯨岡徹さん、箏:藤崎浩子さん)、中林恭子さん(フルート)、加藤礼子さん(ヴァイオリン)の3組が選考されました。
2年目となる今年度は、ピアニストの中川賢一さんによるアウトリーチの見学を含めた事例紹介中心の公開研修会に続き、3組のアーティストがコーディネーターと共にアウトリーチ・プログラムを開発する3日間のワークショップに臨みました。子どもたちとの共演により、地域に縁のある『砂山』を打楽器と即興で表現豊かに演奏したり、寝そべってヴァイオリンの響きを体感するなど、いつもと違うプログラムを工夫。加えて、トロンボーンの加藤直明さんによるアウトリーチの見学も行われました。演奏家からは「研修会を経て、自分たちの力だけではできないようなアウトリーチ・プログラムをつくり上げることができた」との声が聞かれました。
7月から小学校での実演が行われ、最後はガラコンサートで締めくくる予定となっています。
コンテンポラリーダンスによるアウトリーチ研修会
地域創造では、クラシック音楽だけでなく、公共ホール現代ダンス活性化事業を通してコンテンポラリーダンスについてもアウトリーチのノウハウを蓄積してきました。今回は、長年にわたりコミュニティダンス事業を推進してきた福岡市文化芸術振興財団と協働し、その可能性を広く伝え、ダンスのアウトリーチについて参加者と一緒に考えることを目的とした研修会を実施しました。
6月17日、18日に行われた研修会には、地元ダンス関係者も多く参加し、舞踏の田村一行さん、セレノグラフィカによるワークショップを体験しました。また、福岡市でアウトリーチを実施している関係者による事例紹介も行われ、幅広い意見交換の場となりました。参加された医療関係者から、「精神科の治療方法によく似ている。企業などの職場のメンタルヘルス対策として有効に活用できるのではないかと感じた」といった現場の声も聞けるなど、有意義な機会となりました。
左:笹口小学校でアウトリーチを行った加藤礼子さん(6月14日)
右:田村一行さんのワークショップ
●平成25年度「公共ホール音楽活性化政令指定都市モデル事業」
[日程]研修1(2013年5月15日、16日)、研修2(6月4日~6日)、アウトリーチ実施1(6月13日、14日)、アウトリーチ見学(7月2日)、アウトリーチ実施2(7月~)、ガラコンサート(年度内)
[主催]公益財団法人新潟市芸術文化振興財団
[共催]財団法人地域創造
[制作協力]一般社団法人日本クラシック音楽事業協会
[アドバイザー]
児玉真(地域創造プロデューサー、いわき芸術文化交流館アリオス・チーフ・プログラム・オフィサー)
[コーディネーター]
児玉真
能祖將夫(北九州芸術劇場プロデューサー)
田村緑(ピアニスト)
[問い合わせ]芸術環境部 森田・水上
Tel. 03-5573-4078・4064
●平成25年度「公共ホール現代ダンス活性化事業アウトリーチセミナー モデル事業」
[日程]2013年6月17日、18日
[主催]福岡市、公益財団法人福岡市文化芸術振興財団
[共催]財団法人地域創造
[問い合わせ]芸術環境部 栗林・小林
Tel. 03-5573-4055・4077