一般社団法人 地域創造

特集「2013年夏のフェスティバル」

 地域再生・都市再生・観光振興を目指した大規模なアートプロジェクトが夏の定番イベントとして増えています。昨年はその草分けである「越後妻有アートトリエンナーレ」の開催年でしたが、今年は、「瀬戸内国際芸術祭」「あいちトリエンナーレ」の3年に1度の開催年となります。ちなみに2014年には「横浜トリエンナーレ」に加え、新たに「札幌ビエンナーレ」「いちはらアート×ミックス」が立ち上がるほか、15年には「京都ビエンナーレ(仮)」が計画されるなど、今後の動向から目が離せません。
瀬戸内国際芸術祭は、アートの島として国際的に知られる直島の成功を踏まえてスタートしたもので、2010年に開催された第1回では105日間で約93万人を集客する大成功を収めました。今回は春・夏・秋の3シーズン制とし、計12島が参加。メインとなる夏期には新たに福武財団が運営する豊島横尾館がオープンするほか、マリーナ・ヴィルッカラ&ティモ・トリッカが子どもたちとムーミンを題材にしたパフォーマンスを創作。昭和40年生まれのアーティストたちが男木島で展開する廃校プロジェクトでは会田誠が1カ月半にわたって滞在制作するなど、みんなで“島時間”を楽しむ企画が目白押しです。
現代アートと舞台芸術で都市の魅力を創出する「あいちトリエンナーレ」(芸術監督:五十嵐太郎)では、月1回のトリエンナーレスクール(定員150~200人)を開催し、市民の理解を深めてきました。都市型らしく、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館といった文化施設でのプログラムが充実し、国内外75組のアーティストによる展示のほか、舞台芸術部門では日伊合同によるプロデュースオペラやベケットをテーマにした前衛的な作品をラインナップ。前回好評だった長者町繊維街などまちなかでのプロジェクトは公募により11企画が決定。今回は特に、建築的視点から開館25周年を迎えた名古屋市美術館の再構築を提案するという青木淳のプロジェクトが注目されます。
また、夏から秋にかけて、広島市内にある美術館3館が連携する「アート・アーチ・ひろしま2013」、鹿児島県の離島でスタートして10周年となる「甑島で、つくる。」、越後妻有2013夏(7月20日~9月1日)、隠岐島の廃校再生として行われている隠岐アートトライアル(「砂鉄の物語」展覧会 8月27日~9月1日)、中之条ビエンナーレ(9月13日~10月14日)、飛生芸術祭(9月8日~15日)などもあり、夏といえばアートツーリズムと言っても過言ではない状況となっています。
このほか、青少年を対象にした16カ国40作品が集まる「キジムナーフェスタ」、15周年を迎えアジアの人形芝居特集も行われる日本最大の人形劇祭「いいだ人形劇フェスタ」など、公立ホール職員にとってショーケースの場として貴重なフェスティバルも多いので、ぜひ出かけていただければと思います。

 

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