一般社団法人 地域創造

平成25年度「公立美術館活性化事業」開幕

 今年度の公立美術館活性化事業では2件の共同巡回展が実施され、全国7会場で展覧会が開催されます。
  市町村立美術館を対象に地域創造が企画を提示した巡回展を行う「市町村立美術館活性化事業」では、「岐阜県美術館所蔵 コレなんだ? 佐藤慶次郎のつくった不思議なモノたち」展が開催されます。
  佐藤慶次郎(1927~2009)は、慶應義塾大学医学部在学中から早坂文雄に師事し、作曲家として活動を開始します。卒業後、1950年代に美術、音楽、文学、写真など分野を越えて活動を展開した「実験工房」に参加。メンバーの山口勝弘、武満徹、湯浅譲二らと交流する中で、その創作は次第に造形芸術にも向かい、医療器具や音響機器の部品を利用した、電気や磁力による微細な振動によって不思議な動きを見せるオブジェ作品を生涯にわたり制作しました。本展では、現存する佐藤慶次郎のオブジェ作品の大部分を所蔵する岐阜県美術館のコレクションから約30点を展示し、その不思議な作品世界を、親しみやすく紹介します。
  公立美術館が自主的に企画した巡回展を地域創造が支援する「公立美術館巡回展支援事業」では、「詩人と美術 瀧口修造のシュルレアリスム展」の巡回が始まっています。
  瀧口修造(1903~1979)は富山県に生まれ、慶應義塾に進学するも関東大震災で被災します。一度大学を退学し、20歳からの2年間を姉の嫁ぎ先である小樽で過ごします。その後復学し、詩人の西脇順三郎の下で学ぶ中で、フランスのシュルレアリスム(超現実主義)思潮に出会い、日本におけるシュルレアリスム詩の草分けとなります。美術においてもシュルレアリスムの日本への紹介者として知られ、その活動は詩作、美術評論にとどまらず、展覧会の企画者として、さらには当時の前衛的な芸術運動の中心人物として、若い芸術家たちの精神的支柱となりました。また、生涯を通じて多くの美術作品・オブジェを収集し、ついには自ら美術作品を制作するに至ります。
  本展では瀧口が紹介した多くの美術作家の作品や関連資料により、詩人として世に出た1926年から、58年の訪欧までの活動と、それ以前の小樽時代を検証し、その生涯と業績を俯瞰します。

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「岐阜県美術館所蔵 コレなんだ? 佐藤慶次郎のつくった不思議なモノたち」展チラシ
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フランソワ・ルネ・ロラン《アンドレ・ブルトンと瀧口修造》
(1958年/富山県立近代美術館蔵)

●平成25年度公立美術館活性化事業

【市町村立美術館活性化事業】
◎「岐阜県美術館所蔵 コレなんだ? 佐藤慶次郎のつくった不思議なモノたち」
・佐世保市博物館島瀬美術センター(長崎県佐世保市/2013年7月13日~8月17日)
・安城市民ギャラリー(愛知県安城市/8月27日~9月29日)
・小金井市立はけの森美術館(東京都小金井市/10月12日~11月17日)
【公立美術館巡回展支援事業】
◎「詩人と美術 瀧口修造のシュルレアリスム展」
・市立小樽美術館・市立小樽文学館(北海道小樽市/2013年5月18日~6月30日)
・萬鉄五郎記念美術館(岩手県花巻市/7月13日~9月23日)
・天童市美術館(山形県天童市/10月3日~27日)
・足利市立美術館(栃木県足利市/11月3日~12月23日)

 

●公立美術館活性化事業に関する問い合わせ
総務部 布施・宇野
Tel. 03-5573-4143

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