一般社団法人 地域創造

「市町村長特別セミナー」報告

●「市町村長特別セミナー」報告~全国の市町村長等91名が参加

 地域創造では市町村アカデミーとの共催により、毎年全国の市町村長等を対象に、文化・芸術による地域づくりへの理解を深めていただくための「市町村長特別セミナー」を実施しています。今年度は、4月25日に千葉市の市町村アカデミーにおいて資生堂名誉会長の福原義春さん(当財団顧問)による講演が行われました。福原さんは、財界人であるとともに東京都写真美術館館長、企業メセナ協議会会長、東京都芸術文化評議会会長などを務められるなど、長年、文化・芸術と社会を繋ぐ重責を担われてきたオピニオン・リーダーです。
  講演は、「文化とは人の生き方の問題である」という言葉からスタート。「日本は世界での経済優位性を失い、低成長下でコストカットを強いられ、社会も組織も政治も劣化し、国民が幸せを感じる生活の“質”が失われてしまった」と言い、それを建て直すには地域や人を文化的な観点から見直す「文化力」しかないと提言。アメリカのニューディール政策から、アンドレ・マルローによるフランスの地方分権化政策、自治体による創造都市政策まで、海外の成功例を引用した示唆に富んだお話が続きました。「小さな町の住民が全員参加で意思統一し、自分たちの喜びになるものを地域の魅力として磨き上げ、地域を内側から輝かせる文化政策をしていただきたい」とのエールには気持ちが引き締まりました。
  また、財団の事業紹介として毎年行われているおんかつ支援登録アーティストのミニコンサートでは、ピアニストの今野尚美さんが登場。閉校する小学校の子どもたちと一緒に記念の歌をつくったエピソードを交えながら演奏し、ラストには宮城県加美町の猪股洋文町長との即興連弾まで披露して喝采を浴びていました。猪股町長は、「うちにも閉校する学校があるので今野さんのお話には心を打たれました。加美町には32年前に建設された中新田バッハホールがありますが、アマチュアオケをつくりたいという夢を叶えられればと思っているところです」と話されていました。

 

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今野尚美さんの演奏の様子

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