一般社団法人 地域創造

平成23・24年度「公共ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業」鹿児島セッション終了報告

 アウトリーチ・フォーラム事業は、都道府県参加の下、①地域におけるクラシック音楽のアウトリーチ手法による事業展開の普及、②域内のネットワーク形成、③アウトリーチ事業ノウハウの蓄積を目指し、平成16年度にスタートしました。今回実施した鹿児島セッションでは、公益財団法人鹿児島県文化振興財団が主体となって事業全体のコーディネートを行い、実際にアウトリーチ事業を行う市町村立ホールと新進アーティストに対する研修プログラム、公演事業を実施しました。
  参加アーティストは、マルシェ弦楽四重奏団(弦楽四重奏)、アンサンブル・ミクスト(木管五重奏)の2組です。9月下旬に鹿児島市の宝山ホールで、アーティストとコーディネーター、県財団、市町村公演事業担当者が一堂に会し、アウトリーチのプログラムづくりを行いました。45分間、子どもの心を引きつけるプログラムをつくるということがどれほど難しい作業か、アーティストもスタッフも実感させられましたが、この過程があったからこそ、アーティストへのスタッフの思い入れが強くなったことは間違いありません。
  マルシェ弦楽四重奏団は、ラヴェルの弦楽四重奏曲を使い、子どもたちのイマジネーションに働きかけ、それを表現してもらうことで、音楽の感じ方は多様であり、自由に楽しむことができることを伝えました。
  一方のアンサンブル・ミクストは、さまざまな楽器の音色や演奏方法を披露し、5人でひとつの音楽を奏でることの難しさや楽しさを存分に伝えるとともに、子どもたちとの共演では、子どもたちだけでなく、先生方も深い感銘を受けた様子でした。
  宝山ホールで開催されたガラコンサートでは、2組共に、事業の締めくくりにふさわしい堂々とした演奏を披露しました。花束贈呈が各市町の担当者により行われたため、アーティストが思わず涙するという感動的な一幕もありました。
  今回事業を担当された鹿児島県文化振興財団の本田祐子さんは、「アウトリーチで本物の音楽にふれた時の子どもたちの表情や反応を目の当たりにして、子どもたちに届けられて良かったと実感した。また、4つの市町と事業を一緒に実施したことで、より深いつながりや新たなネットワークが出来た。自身の財団でも若手芸術家の支援プロジェクトがあるので、今回のアウトリーチ事業で得たノウハウを活かしていければ」と振り返っていました。
  なお、平成25・26年度のアウトリーチ・フォーラム事業は島根県で開催する予定です。

 

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ガラコンサートの模様。マルシェ弦楽四重奏団、アンサンブル・ミクストの共演(2013年3月2日)

 

●平成23・24年度公共ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業 鹿児島セッション
[主催]鹿児島県文化振興財団
[共催]財団法人地域創造
[市町村公演事業実施団体]鹿屋市、長島町、中種子町、徳之島町
[実施日程]2012年1月28日~2013年3月3日
[チーフコーディネーター]吉本光宏(ニッセイ基礎研究所 主席研究員・芸術文化プロジェクト室長)
[コーディネーター]児玉真(地域創造プロデューサー、いわき芸術文化交流館アリオス チーフ・プログラム・オフィサー)、山本若子(N.A.T取締役)
[アシスタントコーディネーター]水谷英智(横浜市芸術文化振興財団)、小﨑久美子(アフィニス文化財団)
[演奏家]鹿屋市・徳之島町:マルシェ弦楽四重奏団(藤代優意・内藤歌子[Vn]、福田道子[Va]、伊藤七生[Vc])/長島町・中種子町:アンサンブル・ミクスト(梶川真歩[Fl]、小花恭佳[Ob]、尾上昌弘[Cl]、中田小弥香[Fg]、嵯峨郁恵[Hr])

◎問い合わせ
芸術環境部 大池
Tel. 03-5573-4185

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