一般社団法人 地域創造

平成24年度「都市行政文化懇話会」報告

 文化芸術による地域づくりに高い関心をお持ちの市町村長を迎えた「都市行政文化懇話会」が、10月26日に地域創造会議室で開催されました。

 冒頭、今年4月に就任した梶田信一郎理事長から、単独で行うことが難しい事業を中心に「研修交流事業」「公共ホール等活性化支援事業」「地域伝統芸能等保存事業」「情報交流・調査研究等事業」の4本柱で実施している地域創造事業について紹介が行われました。続いて、1930年に開館して以来、倉敷市のシンボルになってきた大原美術館の理事長で財界人でもある大原謙一郎氏、第1回あいちトリエンナーレ芸術監督を務めた建畠晢氏(京都市立芸術大学学長、埼玉県立近代美術館館長)による講演がそれぞれ1時間にわたって行われました。

 大原氏は、開口一番、「日本は東京の論理と主張で動きすぎているが、私は地方の論理と主張をすることをトレードマークにこれまで活動してきた」と自らの立場を表明。「倉敷が受け継いできた江戸時代の景観と大原美術館を代表するエル・グレコの『受胎告知』が似合う町を目指してきた。そのためには、背景にある物語、つまり歴史と文化と心意気を受け継ぐ必要があり、それが町の立ち位置を決める。こうした物語は日本全国どこにでもあるはず」と熱い言葉が続きました。

 また、建畠氏は、近年、日本各地で盛んに行われるようになった町全体を会場にした国際展について紹介されました。「美術館は、文化として価値の定まった物=文化財を継承し、鑑賞することを目的としている。しかし、町を使う場合は、美術館とは違った発想に立つ必要がある。問題意識をもたない人や興味のない人にとってアートは石ころかもしれないが、多様性のための文化資源や、地域活性化や我々の寛容さを養うための文化資源としてとらえ直すと新たな価値が出てくるのではないか」と話されていました。

 

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左:大原謙一郎氏の講演
右:甲斐摩耶さん(ヴァイオリン)、 瀧村依里さん(ヴァイオリン)によるミニコンサートも行われた

 

●都市行政文化懇話会に関する問い合わせ
芸術環境部 仲田
Tel. 03-5573-4069

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