Ⅰ 事業名 財団法人地域創造事業
Ⅱ 事業の目的
地域における創造的で文化的な表現活動のための環境づくり等に資する事業等を行い、もって美しく心豊かなふるさとづくりの推進に寄与することを目的とする。
Ⅲ 事業の内容
平成24年度において、次の事業を実施する。
1.研修交流事業 99百万円
(1)ステージラボ・アートミュージアムラボ
地域の公共ホール・劇場及び文化・芸術に携わる地方公共団体の職員を対象とした研修「ステージラボ」及び公立美術館等の職員を対象とした美術部門に特化した専門研修「アートミュージアムラボ」を実施し、事業の企画制作能力等の向上を図る。
(2)文化政策セミナー
市町村長及び地方公共団体の文化行政担当幹部職員を対象に、地域における文化・芸術活動についての理解を深めるセミナー等を実施する。
(3)都道府県・政令指定都市文化行政担当課長会議
都道府県及び政令指定都市の文化行政担当課長を対象に、文化・芸術振興の在り方等の理解を深め、地域創造と各地方公共団体との連携を一層強化するための意見交換等を実施する。
(4)リージョナルシアター事業
公共ホール等の推薦を受けた地域文化・芸術活動に貢献している演劇表現者及び当該公共ホール等の職員を対象に、演劇の手法を活用した地域交流プログラム(アウトリーチ、ワークショップ等)に必要な基礎知識と共通認識を深めるとともに、地域交流プログラムを企画・検討する研修等を実施し、地域に根ざした企画能力等の向上を図る。参加者は、企画した事業を本事業終了後、地元で実施する。
2.公共ホール等活性化支援事業 865百万円
(1)公共ホール音楽活性化事業
地域においてクラシック音楽を身近なものとするため、市町村等と共催で、公演や地域交流プログラムを実施する。また、企画から公演に至る過程において、企画・制作能力を高めるための機会を提供することで、地域の文化事業担当職員の人材育成と地域文化の活性化を図る。
①通常プログラム
市町村等との共催で、親しみのあるクラシック・コンサートと地域交流プログラムを実施する。これにより、クラシック音楽に触れる機会の少ない地域にコンサート等を提供するとともに、事業の企画・制作を通じて、公共ホールの担当者が実践的なノウハウを修得するための機会も提供する。
またモデル事業として、昨年度に引き続き市町村連携事業(過去に当事業を実施した公共ホールが中心となって、近隣市町村と連携して公演や地域交流プログラムを実施)を行うとともに、新たに都道府県、政令指定都市との連携により、人材育成・研修に重点を置いたプログラムを実施する。
②支援プログラム
通常プログラムで蓄積したノウハウを活用して、引き続き実施する身近で親しみのあるクラシック音楽演奏会及び地域交流プログラムを支援(1年目:2/3助成、2年目1/3助成)する。
③普及啓発プログラム(アウトリーチ・フォーラム)
都道府県・政令指定都市等との共催により、地域との交流を図るアウトリーチと身近で親しみのあるコンサートを組み合わせて開催する公演事業及び実施ホールの企画制作担当者や派遣演奏家などを対象とした研修事業を実施する。
(2)公共ホール現代ダンス活性化事業
地域において現代ダンスを身近なものとするため、市町村等と共催で、公演や地域交流プログラムを実施する。また、企画から公演に至る過程において、企画・制作能力を高めるための機会を提供することで、地域の文化事業担当職員の人材育成と地域文化の活性化を図る。
①通常プログラム
市町村等との共催で、ダンス公演と地域交流プログラムを実施する。これにより、コンテンポラリーダンスによる創造的で文化的な芸術活動のための環境づくりに寄与するとともに、事業の企画・制作を通じて、公共ホールの担当者が実践的なノウハウを修得するための機会も提供する。
②支援プログラム
通常プログラムで蓄積したノウハウを活用して、引き続き実施するダンス公演及び地域交流プログラムを支援(1年目:2/3助成、2年目1/3助成)する。
(3)公共ホール演劇ネットワーク事業
公共ホールの活性化、情報発信能力の向上を図るとともに、地域の演劇分野における環境づくりに寄与し、併せて創造性豊かな地域づくりに資することを目的に、複数の地方公共団体等が共同・連携して実施する演劇作品の上演及び演劇の手法を活用した地域交流プログラムを支援(助成率2/3以内)する。
(4)邦楽地域活性化事業
都道府県・政令指定都市等との共催により、日本の伝統音楽の継承・発展と、都道府県域内の公共ホールの連携促進や職員の企画制作能力の向上を図るため、公共ホールを拠点とした邦楽による地域交流プログラム及び公演や、市町村ホールの担当者や参加演奏家などを対象とした研修プログラムを実施する。
(5)公立美術館活性化事業
公立美術館の企画制作能力の向上、連携の促進、所蔵作品の利活用等を図るため、複数の公立美術館による、公立美術館のコレクションを活用した共同巡回展の実施を支援する。
①市町村立美術館活性化事業(助成率2/3以内)
複数の市町村立美術館による、地域創造が企画提示する共同巡回展を実施する事業に対して支援する。
②公立美術館巡回展支援事業(助成率2/3以内)
複数の公立美術館が自主的な企画・制作により所蔵作品等を巡回展示する、共同巡回展の実施を支援する。
(6)地域の文化・芸術活動助成事業
地方公共団体等の自主事業の企画制作能力の向上及び公立文化施設の利活用の推進等を図り、さらに、地方公共団体の共同事業として、その成果を広く還元するとともに、文化・芸術の振興により創造性豊かな地域づくりの推進を図ることを目的に、以下のプログラムにより、地域の文化・芸術活動を助成する。
①創造プログラム(助成率1/2以内)
地域における文化・芸術活動に寄与する長期的展望を有し、先進性・テーマ性を備えた自主企画作品の制作・公演、自主企画展覧会のうち、発展的・継続的に事業を実施するうえで運営・住民参画の手法に顕著な工夫が認められる事業
②連携プログラム(助成率2/3以内)
原則として3以上の地方公共団体等が連携して自ら企画し、共同で制作する公演、展覧会等で、地域住民との交流を図るワークショップ、アウトリーチ等を伴う事業
③研修プログラム(助成率2/3以内)
公立文化施設等の企画運営に携わる者及び地域文化コーディネーターなど地域の文化・芸術活動を担う者の実践力向上を目指し、地方公共団体等が自ら主体的に企画・実施する広域的な人材育成研修事業
④公立文化施設活性化計画プログラム(助成率2/3以内)
公立文化施設が地域において果たすべき役割と、それを実現するための方策を登載した計画(公立文化施策の政策評価や市町村合併後の管理運営方策等の内容を含むもの)を策定する事業
(7)被災地支援事業
東日本大震災等の被災地の実情やニーズを踏まえた、地元自治体との連携による文化・芸術活動を通じた支援の実施に向け、適切な仕組みの検討を行うとともに、可能なものから実施する。
3.情報交流・調査研究等事業 187百万円
(1)情報交流事業
定期刊行物やホームページにより、地域の文化・芸術活動に資する情報提供を積極的に行う。
①ニュースレター発行事業
地域創造と各地域の文化施設、制作者等の芸術文化関係者とをつなぐ基本的な媒体として、各地域のユニークな公演・展示の情報や参考となる各地の取組事例及び地域創造の事業のお知らせ等を掲載した「地域創造レター」を毎月発行する。
②雑誌発行事業
文化・芸術環境づくりのケーススタディーや公立文化施設の有効な運営方法を模索する企画記事等を内容とする雑誌「地域創造」を年2回発行する。
③各種情報提供事業
ホームページの運営を通じ、地域創造及び公立文化施設に関する各種情報の提供を行うほか、地域創造が収集した地域の文化・芸術に関する情報の蓄積・データベース化を図る。
また、平成23年度に実施した「東日本大震災以降の被災県における公立文化施設及び文化行政に関する実態調査」のアンケートの結果について取りまとめて、その結果をホームページを通じて広く提供する。
(2)調査研究事業
地域の文化・芸術環境づくりについて全国的な視点から実態調査・分析・研究を行い、それらの成果を積極的に活用して、関係者の相談や疑問への対応を行う。
①災害時における地域の公立文化施設の役割に関する調査研究
東日本大震災の影響による経験をふまえて、災害時に公立文化施設に求められる役割とその対応策の参考となる資料を提供することを目的に、専門的な調査研究を行う。
②調査研究成果の活用
平成22、23年度に実施した「文化・芸術を活用した地域活性化(行政効果の検証)に関する調査研究」に係る成果を研修事業等様々な機会を通じ広く提供する。
(3)コンサルティング事業
①相談事業
財団に相談窓口を設け、地方団体における文化・芸術の振興による創造性豊かな地域づくりに関する相談に係る取り組みを充実させる。
②地域文化コーディネーター派遣モデル事業
文化・芸術の振興による創造性豊かな地域づくりに意欲的な市町村を支援するため、文化・芸術を用いた地域活性化に関する知見とノウハウを有する「地域文化コーディネーター」を市町村に派遣する。また、地域文化コーディネーターの助言により企画された事業に対して支援する。
(4)表彰事業
地域における文化・芸術の振興による創造性豊かな地域づくりに特に功績のあった公立文化施設に対し、「地域創造大賞(総務大臣賞)」を授与し表彰する。
4.地域伝統芸能等保存事業 177百万円
地域の伝統芸能等(祭り、伝説、神話、民話、伝統芸能、習俗等)を映像に記録・保存・収蔵するとともに、地域伝統芸能等の継承活動の成果を発表するための公演を開催すること等により、地域住民の新しいふるさとづくりへの取組みや地方公共団体の文化環境づくりを支援する。
(1)全国フェスティバル事業
地域伝統芸能等の保存・継承に関する国民的機運の盛り上げを図るため、「地域伝統芸能まつり」を開催する。
(2)映像記録保存事業(助成率2/3以内)
各地域で失われつつあり、これまで記録に残されてこなかった伝統芸能等をデジタルビデオ映像に記録・保存する市区町村に対して助成を行う。
併せて地域創造に映像ライブラリーを設置し、作成された映像記録を保存・収蔵し、広く一般の閲覧に供する。
(3)地域文化資産デジタルコンテンツ発信事業
映像記録保存事業により作成された映像等をデジタルコンテンツ化し、インターネットで発信する「地域文化資産ポータルサイト」を運営する。
(4)地域伝統芸能継承者(青少年等)育成事業(助成率2/3以内)
各地域で継続的に青少年等を伝統芸能等の継承者として育成しているその成果を発表する場としての公演を行う市区町村等に対して助成を行う。
平成24年度地域創造助成決定
●平成24年度は「地域の文化・芸術活動助成事業」「地域伝統芸能等保存事業」で合計141件を決定
平成24年度については、「地域の文化・芸術活動助成事業」、「地域伝統芸能等保存事業」の2つの助成事業について、平成23年7月下旬から9月末にかけて募集を行い、平成24年4月初旬に申請団体等へ助成決定の通知を行いました。
◎地域の文化・芸術活動助成事業
この事業は、文化・芸術の振興により創造性豊かな地域づくりの推進を図ることを目的に、さまざまな地域が自主的に取り組む文化・芸術活動に助成を行っています。
平成24年度は、地域の活性化に寄与する長期的展望を有し、発展的・継続的に事業を実施する上で、他の地域の参考となるような顕著な工夫が認められる公演や展覧会事業を対象とした創造プログラム、単独では実施できず、経費削減など連携することにより初めて実施できるもので、本プログラムのために新たに自ら企画し、3以上の地方公共団体等が連携して共同で制作する公演・展覧会のうち「地域交流プログラム」を伴う事業を対象とした連携プログラム、公立文化施設等の企画・運営に携わる者および「地域文化コーディネーター」など地域の文化・芸術活動を担う者のスキルの向上、ノウハウの習得などを目指す、地方公共団体等が自ら主体的に企画・実施する実践的な人材育成事業を対象とした研修プログラム、地域において果たすべき公立文化施設の役割と、それを実現するための方策を登載した計画を策定する事業を対象とした公立文化施設活性化計画プログラムの4つのプログラムで募集を行いました。
助成事業全体として、地域単独では実施できない事業であること、「地域交流」として地域と積極的に関わりをもつ事業であることを重視しています。またこれに加えて、創造プログラムでは「発展性」や「継続性」をもつ複数年事業であること、連携プログラムでは、連携事業としての「自主性」や「連携効果」などの要件がポイントとなっています。
今回は、全国から212件、6億9,440万円の助成申請があり、これに対し今年度は、124件、総額4億2,440万円について助成を決定しました。
[平成23年度:96件、2億7,530万円]
◎地域伝統芸能等保存事業
この事業では、地域住民のふるさとづくりへの取り組みや、地方公共団体の文化を通じた地域づくりの向上に寄与することを目的とし、市区町村が、各地域で失われつつあり記録にも残されていない伝統芸能等を映像に記録・保存する事業に対し助成する「映像記録保存事業」、各地域で継続的に青少年等を継承者として育成している成果を発表する場としての公演を開催する事業に対し助成する「地域伝統芸能継承者(青少年等)育成事業」の2事業について募集を行いました。
いずれの事業も、実施者が自ら主体的に企画・制作実施する「自主性」や、次年度以降の継続的な保存・継承活動に繋げていく「継続性」等の要件を満たすことが必要となります。
今回は、全国から20件、2,536万円の助成申請があり、これに対して17件、2,193万円について助成を決定しました。
[平成23年度:18件、1,734万円]
なお、近年の事業別の申請・決定の状況は表のとおりです。