一般社団法人 地域創造

平成22・23年度「公共ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業」和歌山セッション終了報告

 この事業は、都道府県の参加のもと、地域でのクラシック音楽のアウトリーチ手法による事業展開の普及や域内のネットワーク形成、アウトリーチ事業ノウハウの蓄積を目指すものです。平成22・23年度「和歌山セッション」では和歌山県文化国際課が主体となって事業全体のコーディネートを行い、実際にアウトリーチ事業を行う市町立ホールと新進アーティストに対する研修や公演事業を実施しました(開催データは右頁データ欄参照)。

 昨年9月上旬に田辺市の紀南文化会館で事業の全関係者が一堂に会し、市町公演事業で行うアウトリーチのプログラムづくりが行われた際には、紀伊半島に台風12号が襲来。その被害を目の当たりにしたアーティスト、スタッフにとっては、復興の意も込めたアウトリーチとなりました。

 なかでも甚大な被害を受けた新宮市を訪れたゼッパール・トリオ(ピアノトリオ)は、マーフィー『火の鳥の翼をください』の曲から火の鳥のイメージを子どもたちに絵にしてもらい、その絵と音楽とのコラボレーションで人々の夢や希望が飛び立つ様子、復興への祈りを表現。またカルテットNKB(弦楽四重奏)のテーマは「夢」。演奏家というひとつの夢を叶えた立場から、子どもたちとの共演を通じて、夢をもつこと、夢を諦めないことの大切さを伝えました。そして木管五重奏団Capriceは、楽器と音色の特徴を十分に生かし、さまざまな手法で音楽から子どもたちのイマジネーションに働きかけるプログラムを展開しました。

 事業を担当された文化国際課の田嶋安紀子さんは、「3組のアーティストがそれぞれの特色を出したプログラムをつくり込んでいく時のプロの表情、またアウトリーチで本物の音にふれた時の子どもたちの表情と反応がとても印象的でした。アーティストやコーディネーターの方々だけでなく、県内市町や会館の担当者と一緒に事業を実施することができ、とても楽しい2年間でした」と振り返っていました。

 なお、平成24年度は鹿児島県にて、研修会と県内6市町村での公演事業、総括コンサートを実施する予定です。

 

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子どもたちの絵を舞台に飾ったゼッパール・トリオのコンサート(会場:紀南文化会館)

●平成22・23年度「公共ホール音楽活性化アウトリーチ・フォーラム事業」和歌山セッション

[主催]和歌山県
[共催]財団法人地域創造
[市町村公演事業実施団体]橋本市、新宮市、紀の川市、紀美野町、有田川町、上富田町
[実施日程]2010年12月1日~2012年1月28日
[チーフコーディネーター]楠瀬寿賀子(津田ホールプロデューサー、公益財団法人せたがや文化財団音楽事業部部長)
[コーディネーター]丹羽徹(社団法人日本クラシック音楽事業協会事務局長)、能祖將夫(北九州芸術劇場プロデューサー、桜美林大学准教授)、津村卓(地域創造プロデューサー、北九州芸術劇場館長)
[アシスタントコーディネーター]鈴木真修(山形大学大学院)、角井智絵(株式会社日本国際音楽企画 宝塚エジュケーションクラブ講師)、川崎美紀(フリーランスコンサートプランナー、社団法人日本クラシック音楽事業協会企画制作担当)
[演奏家]橋本市、新宮市担当:ゼッパール・トリオ(村田千佳[Pf]、山田麻実[Vn]、山田幹子[Vc])/紀美野町、上富田町担当:カルテットNKB(勝村麻由子・田代藍[Vn]、渡邉智生[Va]、渡邉弾楽[Vc])/紀の川市、有田川町担当:Caprice木管五重奏団(齋藤碧[Fl]、山口裕加[Ob]、芹澤美帆[Cl]、東実奈[Fg]、元木智子[Hr])
[問い合わせ]芸術環境部 水口
Tel. 03-5573-4185

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