一般社団法人 地域創造

平成23年度「公共ホール演劇ネットワーク事業」終了報告

 複数の公共ホールが連携し、演劇の手法を活用した地域交流プログラム(学校でのアウトリーチ、一般向けのワークショップ)と公演を実施する「公共ホール演劇ネットワーク事業」が終了しました。

 今年度は京都を拠点に活動する「劇団衛星」の代表で劇作家・演出家の蓮行さんがアウトリーチの講師となり、北九州市(9月6日~11日)、さいたま市(10月11日~16日)、東京都武蔵村山市(10月18日~23日)、愛知県豊橋市(11月1日~6日)、奈良県奈良市(11月13日~18日)の5カ所を巡り、計6つの小学校でのアウトリーチとホール内での公募型ワークショップを実施、演劇作品『劇団衛星のコックピット』の上演を行いました。

 奈良市立椿井小学校では4年生を対象に90分のアウトリーチを行いました。まず蓮行さんと劇団衛星の俳優2名で、新しい神話をつくるという動機づけを盛り込んだ「神話の世界へようこそ」と題した短い芝居を上演。その後、単純なコミュニケーションゲームからスタートし、子どもたちは星占いの12星座で春夏秋冬の4つのグループに分かれ、3分程度の劇づくりを開始します。星座別になることでグループの人数が均等にならず、少人数から大人数での共同作業を体験。創作時間は20分程度にも関わらず、10分も経つとほとんどのグループが立ち上がって稽古を始め、発表では「変なバナナの王国」「三つ子座の話」などというタイトルで、ユニークな創造性溢れるお芝居が披露されました。

 発表後は俳優が子どもたちにインタビュー。難しかったところや工夫した点をクラス全体で共有しました。最後に蓮行さんが「今日みんなが話し合って劇をつくり上げたことを『合意形成』と言います」と、ひとつの目標に向けていろいろな意見を出しあい、話し合いで解決していくことの大切さを話し、子どもたちは真剣な表情で聞き入っていました。

 終了後、担任の先生が「短い時間で劇を考えて発表することが本当にできるのかと思っていましたが、うまく引き出してもらいました。子どもたちの力を再認識でき、普段の授業では見られない姿を見ることができました」と話されていたのが印象的でした。

 今回代表館を務めた北九州芸術劇場の担当者は、「他館との協働で、他地域の状況を知ることができ、客観的に自分のホールについて考えながら事業を進めました。またアーティストとそれぞれのホールが密接に関わりながら事業を行うことで、双方が今後の活動で活かせるものが多いと思いました」と事業を振り返っていました。

 

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奈良市立椿井小学校でのアウトリーチ(発表の様子)

 

●公共ホール演劇ネットワーク事業に関する問い合わせ
芸術環境部 佐藤・堀木・大垣
Tel. 03-5573-4076
t.sato@jafra.or.jp

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