複数の公共ホールが連携し、演劇の手法を活用したアウトリーチ・プログラムと公演を実施する「公共ホール演劇ネットワーク事業」が終了しました。
今年度は兵庫県立ピッコロ劇団が地元兵庫県尼崎市(7月14日~25日)、愛知県豊田市(9月14日~19日)、千葉県館山市(9月29日~10月3日)を巡り、計7つの小学校でのアウトリーチ・プログラムや各ホールでのワークショップ、前劇団代表の別役実氏が劇団のために書き下ろした『さらっていってよピーターパン』を公演しました。
豊田市立若林東小学校では、3年生37人を対象に劇団員の亀井妙子さんを中心とした3名の俳優がアウトリーチ・プログラムを実施。歩きながらの挨拶や握手、氷鬼などのコミュニケーションゲームで身体と心をほぐした後、“だるまさんが転んだ”のルールを使って、鬼である俳優が「とけい」と言うと文字の数の3人で一つの時計を表現するという想像力と創造力を養うプログラムを体験。男の子と女の子が共同作業をする場面が徐々に増え、子どもたちの表現力も豊かになっていきます。どんな工夫や面白さがその表現にあるのかを俳優が言葉にすることで、さらに子どもたちが伸び伸びしていきました。
担任の先生が、「子どもたちのコミュニケーション能力を高めていくことは、そのことを狙って行っているグループ学習や体験学習では難しいと感じていました。今回のワークショップでは、短い時間で男の子と女の子とのコミュニケーションがスムーズになっています。また、普段は男の子に押されがちな女の子たちが、表現することに対して積極的に笑顔で取り組んでいたのに驚きました」と振り返っていたのが印象的でした。
事業を担当した豊田市文化会館の永坂正和さんは、「昨年度の全体研修会で同じプログラムを自分たちが体験していたので、学校の先生への説明の際、とても役に立ちました。また、世界中から人が集まるトヨタのお膝元・豊田市という場所で演劇のアウトリーチを実施することで、改めて地域性を実感しました。今後も市民の中にある“ものづくりDNA”を刺激するような事業を継続して実施していきたい」と今後の展望を語っていました。
22年度「公共ホール演劇ネットワーク事業」終了
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