一般社団法人 地域創造

特集「2010年夏のフェスティバル」

 南アフリカで開催中のFIFAワールドカップ2010では連日熱戦が続いていますが、日本の夏のフェスティバルも負けてはいません。今年はなんといっても、新たに始まる2つの国際的なアートトリエンナーレに熱い注目が集まっています。
  ひとつは、「瀬戸内国際芸術祭~アートと海を巡る百日間の冒険」(7月19日~10月31日)。瀬戸内海の7つの島(直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島)と高松港周辺を会場に、17の国と地域から75組のアーティスト・プロジェクト、16のイベントが参加する世界で初めての“島巡り”アートプロジェクトです。この地域では、現代アートの支援者であるベネッセコーポレーション会長兼CEOの福武總一郎氏肝入りの「アートサイト直島」や旧精錬所の遺構を活かした「犬島アートプロジェクト」がすでに立ち上がっていますが、瀬戸内全体を射程に入れて、島固有の景観、民俗、生活、歴史や伝統に現代アートが関わることで、地域活性化や交流人口の拡大を目指しています。「在るものを生かし、無いものを創る」(総合プロデューサー・福武總一郎氏)というコンセプトで臨む取り組みは世界的な話題となること間違いなしです。
  もうひとつは、“都市の祝祭~Art and Cities”をテーマに開催される「あいちトリエンナーレ」(8月21日~10月31日)。国内外約70組のアーティストが参加する現代美術の国際展に加え、国内外から先鋭的な20団体が参加するパフォーミングアーツ、プロデュースオペラによって、ジャンルの垣根を越えた“アート(表現)の今”を立体的に紹介します。美術館や劇場だけでなく、公園や広場、オフィス街、歴史ある繊維問屋街など、まちなかでさまざまなプロジェクトが展開されるのも大きな見所です。
  この他、市民主体のアートプロジェクトを支援して9年目を迎える「アサヒ・アート・フェスティバル2010」には、地域の魅力を引き出し、コミュニティの再構築を図る企画が多数参加しています。例えば、空洞化が進む中心市街地の横丁でさまざまなパフォーマンスを行う八戸市の「八戸横丁アートプロジェクト」(9月3日~11日)、80年という長いスパンで取り組みをスタートさせて2年目となる隅田川再生のための「すみだ川アートプロジェクト」、わたらせ渓谷鉄道沿線などで美大生が中心になって取り組んでいる「WATARASE Art Project」などです。また、冬のスキーに対して夏の文化イベントに力を入れている札幌市では、「サッポロ・シティ・ジャズ」が期間を大幅に延長し、50日間にわたって開催されるほか、公共施設や文化施設、民間施設などを夜間開放し、さまざまなイベントを実施する「カルチャーナイト」(7月23日、前夜祭22日)が今年も行われます。100近い施設が参加を予定しており、夏の夜を彩ります。
  25年続いた東京の夏の風物詩、「〈東京の夏〉音楽祭」は昨年で終了してしまいましたが、昨年30周年を祝った霧島国際音楽祭(今年は初めて能舞台でチェロコンサートを実施)や今年20周年を迎える「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」など、老舗フェスティバルも多数予定されていますので、ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

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