日本各地で脈々と受け継がれている地域伝統芸能や古典芸能を紹介している「地域伝統芸能まつり」が、2月27日、28日の両日、東京・渋谷のNHKホールで開催されました。10回目という節目を迎える今年は「楽」をテーマに、全国から11の楽しさ溢れる地域伝統芸能と4つの古典芸能が集い、約4,800人の観客を魅了しました。
1日目には、今回が初登場となる山梨県から、千年以上もの歴史があるとされる「河口の稚児の舞」が登場。7歳から12歳までの目にも鮮やかな赤い衣装を着た少女が3つの舞を披露しました。出演した女の子は「振付を覚えるのは大変ですが、来年もやりたいです」と元気よくコメント。今後の継承に期待がもてます。青森県黒石市からの出演となった「黒石よされ」では、司会者や観客に黒石よされ学校の先生が“黒石じょんから”の手の振付を指導し、AOMORI花嵐桜組の皆さんと一緒に踊り、大いに盛り上がりました。
2日目のオープニングを飾ったのは、千葉県銚子市の「銚子はね太鼓」です。今回の舞台では、元気な小学生や女子高校生が日頃の成果を発揮し、クライマックスでは首とあばら骨で太鼓を支え担いだ2人1組の打ち手の一方が、相手を地に這わせ、太鼓を打つ勇姿を披露し、観客を圧倒しました。
地域伝統芸能まつりのもうひとつの楽しみに古典芸能があります。今回は沖縄に古くから伝わる歌舞劇の「組踊」が初登場しました。その中でも名作といわれている『二童敵討』のハイライト部分を組踊研修生の“子の会”が熱演しました。
2日間の大トリを飾ったのは、長崎市の「長崎くんち 龍踊」です。会場内から体長20メートルの龍体が登場し、独特の唐拍子に合わせてまるで生きているかのように踊る様は大変迫力がありました。会場からのアンコール“持ってこ~い、持ってこい”の掛け声に応じて3回もの再登場をし、会場全体が熱気に溢れたフィナーレとなりました。
●第10 回地域伝統芸能まつり
[会期]2010年2月27日、28日
[会場]NHKホール(東京都渋谷区)
[主催]地域伝統芸能まつり実行委員会、財団法人地域創造
[実行委員]梅原猛、岡本保、鎌田東二、香山充弘、黒木隆男、三枝成彰、下重暁子、鈴木健二、林省吾、山折哲雄、山本容子
*五十音順
[後援]総務省、文化庁、観光庁、NHK
◎出演団体等
第1日:「表児の米」(福井県坂井市)、「数河獅子」(岐阜県飛騨市)、「河口の稚児の舞」(山梨県富士河口湖町)、古典芸能・狂言『柑子俵』(野村小三郎ほか)、古典芸能・能『菊慈童』(梅若玄祥ほか)、「黒石よされ」(青森県黒石市)、「芦別獅子」(北海道芦別市)
第2日:「銚子はね太鼓」(千葉県銚子市)、「武雄の荒踊」(佐賀県武雄市)、「白石踊」(岡山県笠岡市)、「大海の放下」(愛知県新城市)、古典芸能・狂言『楽阿弥』(山本東次郎ほか)、古典芸能・組踊『二童敵討』(子の会)、「萩野鹿子踊」(山形県新庄市)、「長崎くんち 龍踊」(長崎県長崎市)